「アートな写真に挑戦したい」そう思ってシャッターを切るが、いつもとあまり変わらない写真になってしまう。
意識して撮っているのに、どこか浅い。その原因は、“センス”ではなく、「どの焦点距離で世界を捉えるか」によるものだと気づく時期がやってくる。
これまで50mmで撮っていた世界を、18mmに変えると世界が一気に広くなる。
18mmという焦点距離は、単なる広角レンズと思われるが、その奥には、“世界の関係性を写すための視点”が見えてくる。
焦点距離「18mm」は、どんな世界か

焦点距離「18mm」は、目に見える範囲をさらに広げて、広角で世界を見ることができる。しかし、その本質は、ただ「広く写すこと」ではない。
・被写体同士の関係性。
・写された空間そのものの流れ。
それらを一枚の写真に閉じ込めたもの。つまり、18mmは“空間を圧縮するのではなく解放するレンズ”になる。
50mmが「人の視点」だとすれば、18mmは「物語の視点」である。
そして18mmを使うために重要なのがのが、「構図」と「モチーフ」の関係性だ。
この2つの要素の選び方で、広角な世界は大きく変わってくる。
構図とモチーフの選び方
18mmで撮る場合、最も重要とされているのは「何を主役にするか」だ。
広く写る分、主役が曖昧になりやすい。だからこそ、意図的に“主役”を決める必要があり、主役をどう生かすかを考えなければいけない。
- 手前に主役を置くのか、あるいは奥に主役を置くのか。
- 奥に余白を残すのか、それとも手前に余白を残すのか。
- 線で視線を誘導し、安定感を持ってもらう。
この3つがあれば、写真は一気に“物語”へと変わっていく。
例えば参考として、映画監督のウェス・アンダーソンの世界観がわかりやすく、『グランド・ブダペスト・ホテル』と言う映画をご存知の人も多いだろう。
シンメトリーな構図なのに、どことなく不思議な世界観を感じさせる。
広角、水平線、シンメトリー(左右対称)、中央配置、余白。
18mmで撮ると、全てが詰まった写真を撮ることができる。
ウェス・アンダーソンの映画では、『27mm〜40mm』で撮られているが、APS-Cで換算するとちょうど18mmという感覚に近い。
彼の映像は、極端なシンメトリーと配置によって、空間そのものに“物語”を埋め込んでいる。それを、18mmを使って撮ると、以下のような現象が起こる。
・被写体が写真の中に“存在”として浮かび上がる
・一枚の写真に物語が生まれる
・構図が「配置」ではなく「演出」に変わる
つまり、ただの写真ではなく、ストーリー性が見える写真に生まれ変わるのである。
18mmを使い始めると「ぶつかる壁」
18mmを使い始めると、誰もが同じ壁にぶつかる。ただの広い風景になり、情報量だけが多い写真になる。
それは「写っている」のではなく、「写ってしまっている」状態だ。
広角は自由度が高い分、意思がなければ、ただの記録になりやすい。
解決策としての考え方
では、どうすればいいのかというと、その答えは、とてもシンプルだ。
つまり、“決めること”である。
・主役を中央に置くか、端に寄せるか
・空間を広く見せるか、圧迫させるか
この選択を、すべて意図的に行うことである。
特に有効なのが、「中央配置」と「端寄せ」の使い分けだ。
中央に置けば、静けさと支配感が生まれる。端に寄せれば、余白と物語が生まれる。
迷った時は、ウェス・アンダーソン の構図を真似してみると見えてくる。
ここで重要なのは、“自分の意思で配置しているかどうか”だ。
少しだけ、別の世界を覗いてみる
「18mmで撮られた写真を実際に見てみたい」もしそう思ったなら、それはすでに“視点”が変わり始めている証拠だ。
言葉では伝えきれない空間の余白や、被写体と距離の関係性。そういうものは、やはり写真でしか伝わらない。
ここに数枚だけ置いているが、本来の空間の流れや余白はまだ一部に過ぎない。


もしもう少し深く見てみたいという人に向けて、写真家リョウの世界観がどう作られているのかをまとめた『解剖書』をnoteにまとめているので参考にしてもいいだろう。
まとめ
18mmは、ただ広く撮るレンズではない。
・被写体をどこに置くか
・余白に何を残すか
そのすべてが、写真に現れる。つまり、18mmは心の中のイメージを再現させるレンズである。
だからこそ、構図の役割を理解する必要があり、そこが最も面白い部分でもある。
主役はあくまで「18mmという視点」である。機材でも、編集でもない。
その視点を手に入れたとき、写真は“景色”から“作品”へと変わるだろう。
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そっと、静かな余韻の中へ。


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