「ポートレート撮影の後、気づけば何時間もレタッチに追われていた。」そういった経験がよくある。
肌の質感、目元の明るさ、髪の乱れ、トーンの統一、ひとつひとつ丁寧に仕上げれば、それだけ作品の完成度は上がる。
しかし、「時間」という見えないコストが積み重なってしまうのも確かだ。
SNS発信の準備もしなければいけないのに、レタッチに時間がかかっていては投稿が後回しになって、SNSが放置状態になってしまう。
写真は、“撮ること”だけに集中するより、むしろ撮影後の工程こそが作品の印象を大きく左右する。
だからこそ、作業時間に余裕がない状態は表現そのものを削ってしまうということにもなる。
本来なら、もっと構図や光、被写体との関係性に向き合うべきではないだろうか。
そう思っていると、あるひとつの選択肢が見えてきた。
それは、AI機能が搭載された現像ソフト『Luminar』で有名なSkylum社が開発した、ポートレートに特化したツール『Aperty(アパティ)』である。
Luminarについては、下記の記事で詳しくレビューを書いているので、そちらをご覧ください。
気になって『Aperty』の動画を見てみると、写真家のレタッチ作業の効率について考えさせられた。
動画は英語なのに、なぜか共感できるのが不思議なところだ。
「Aperty(アパティ)」とは?
とくに最近、「Aperty(アパティ)」の存在が気になってしょうがない。なので、僕なりにApertyについて調べてみた。
Apertyは、「人物写真(ポートレート)の大量レタッチ」を限りなく効率化したソフトである。
AIが人物の顔や口・肌を認識してくれるため、スライダーで直感的にレタッチができる。
ポートレート撮影をメインに撮っている写真家にとって、これほど魅力的なツールはないだろう。
しかし、Luminarユーザーである僕は、次のように思った。
「Luminarにも『ポートレート機能』はあるけど何が違うのだろう?」
そんなちょっとした好奇心から、ApertyのDemo版を試さずにはいられなかった。
Apertyには、3日間の無料お試し期間があるので、休みの日に合わせて、僕自身が試してみることにした。
作例 | Apertyでどこまで整うのか
さっそく、Apertyによる基本的な補正を見てみよう。※参考に使用している写真は、Skylumから提供していただいた写真を使用してるので、複製利用、2次利用はご遠慮ください。
美肌補正
まず、人物レタッチの軸となる『美肌補正』が、どこまでの仕上がりになるのだろう。
大抵のレタッチツールは、マスキングをして顔だけを補正するやり方になる。
しかしApertyは、そこが従来のレタッチツールとの違いがある。
Apertyは、AIが人物の顔の質感を認識して気になる凹凸をスライダーだけで滑らかにできる。
今までのように、「補正したい部分だけマスキングしてなじませる」と言った手間が必要ない。
つまり、直感的に凹凸の変化を見ることができるので、時間をかけていた美肌の作業が大幅にカットできる。
その空いた時間を、世界観設計に使えば、写真のクオリティーはどんどん上がる。
スライダーで調整できる魅力は時短だけではなく、「やりすぎない」という安心感もある。
時間をかけすぎないからこそ、正解を見失わないレタッチができる。
目の下の影(クマ)取り
次に、目の下のクマについて。
どんな人でも、目の下に影ができてそれが「クマ」に見えてしまう。
特に、屋外でポートレート撮影をする場合、どうしても太陽の光が頭上に位置するので、目の下には影ができやすい。
この、目の「クマ」だけを明るくする機能があった。
この機能も、スライダーで直感的に確認しながら調整できるので、「やりすぎない」安心感がある。
明るさ補正
次に、人物をメインに写真全体を明るくする機能。
通常の明るさ調整は、写真全体が同じように明るくなるため、「人物は明るくしたいけど、背景は明るくしたくない」と思っても、背景が白とびしてしまうことが多い。
ところがApertyの明るさ調整は、人物を認証して周りの風景を明るくしすぎず、なおかつ、人物を際立たせるくらいのバランスで明るくしてくれる。
思い出は、暗いより明るい方がいい。
ウエディングポートレートやスナップ写真には、とても嬉しい機能ではないだろうか。
Apertyは、人の記憶をも明るくしてくれるのかもしれない。
コントラスト調整
明るさ調整に似ているかも知れないが、このコントラスト調整も「やりすぎない」調整ができる。
コントラストは、人の心をストレートに表現する。
「わが子も心から楽しんでいる姿を、そのまま残したいい。」
その思いを実現させて挙げることも、写真家の役目。
これまで、すべて手作業で行っていた工程が、ここまでシンプルになる。
顔だけを明るくする
実際に、僕自身が撮影したモデルの写真で確かめてみた。
撮影が終わり、データを確認すると、顔が暗く感じることも多い。
特に僕の場合は自然光を使うので、顔が暗くなることが多く、いつもPhotoshopでマスキングして明るくしていた。
しかしApertyは、AIが人物の顔を認識してスライダーで簡単に明るくできる。

決して手を抜くと言うものではなく、必要な工程だけに絞った作業と言えるのではないだろうか。
美肌補正に何時間もかけて、自分らしい世界観が設計できなくなるのは本末転倒。
綺麗に美肌にしても、オリジナリティーがない写真をモデルさんに「これが僕の世界観です。」と渡せるだろうか。
それを考えると、美肌はAIに任せて自分の世界観に時間をかける方が意味があると、僕は思う。
AIを使っても手動で調整しても、結果が似たような美肌になるのなら、僕は美肌をAIに任せて世界観設計に時間を費やす方を選ぶ。
Apertyが目指しているのは「効率化」ではなく「余白」
Apertyは、単なる時短ツールではない。むしろ、「レタッチを簡略化することで、写真家の時間を取り戻す」という思想で開発されたツールである。
AIベースのポートレート補正によって、
・目元や輪郭を自然に補正する
・複数枚をまとめて処理する
といった作業が、少ないステップで完結する。
重要なのは、クオリティを落とさずに、判断の回数を減らせるという点だ。
これによって生まれるのは「時短」ではなく、“考える余白”である。
次の撮影プランを練る時間。作品の世界観を深める時間。被写体との関係性を築く時間。こうした時間こそが、本来の写真家にとって重要なはずだ。
一つの疑問:Luminarではできないのか?
ここまでApertyのDemo版を使ってみて、一つの疑問が生まれてきた。
「Luminarにも『ポートレート機能』が付いているけど、Luminarで美肌補正はできないのか?」
と言うものだ。
結論から言えば、Luminarでも美肌補正はできる。
Luminarで美肌補正をする方法については、こちらの記事で詳しく話しているので、そちらをご覧ください。
「結局、どっちがいいの」と思っただろう。
そこで、ApertyのDemo版を使って僕が感じたことをまとめると、
- Luminarに向いている人
人物写真を含めて作品をつくりたい人。個展、額装作品販売、写真集を作成に向いているツール。 - Apertyに向いている人
ポートレート撮影だけに集中したい人。ウエディング写真、一般記念写真、商業写真に向いているツール。
と言う結論に至った。
Luminarとの役割の違い
ここで一度、『Luminar(旧Luminar Neo)』との違いについて、僕自身も整理しておくことにしよう。
Luminar(旧Luminar Neo)
・色、光、空気感のコントロール
・“世界観”を仕上げるツール
・アート作品向け
Aperty
・肌や顔の自然なレタッチ
・作業効率の最適化
・仕事で使う人向け
つまり、Luminarは表現を作るツール、Apertyは作業を整えるツールである。
もちろん、2つのツールを使い分けることもできる。
例えば、こんな流れが自然だろう。
2. Luminarで作品の世界観を作り込む
この分業によって、作業は驚くほど軽くなるはずだ。
作業時間が減ると、写真の質は上がる
一見すると矛盾しているが、これが、僕が導き出した答えである。
作業時間が短縮されることで、
・集中力が持続する
・判断が鈍らない
・過剰なレタッチを防げる
結果として、写真の“ちょうどいいバランス”を保ちやすくなる。
長時間のレタッチは、どうしても「やりすぎ」を生みやすい。
細部にこだわるほど、全体のバランスが崩れていき、時間をかければかけるほど、正解が遠く離れていく。だからこそ、適切なところで手を止められる環境が必要だ。
Apertyは、そのためのツールと考えれば使う意味はある。
2026年現在、Apertyは3日間の無料トライアルができる。もし合わなければ、無料期間内に解約すれば費用はかからない。
Luminarユーザーにとっては拡張と言う考え方
すでにLuminarを使っている僕にとってApertyは、置き換えではなく“拡張”といったイメージになる。
この流れができると、作業の質がより安定するだろう。
Luminarでも美肌補正ができるが、余計な機能が必要ないといった場合は、Apertyとの相性はいい。
「多機能が付いているならLuminarを検討してみようかな」と思った場合は、以下の記事を参考にするといいだろう。
写真家リョウが、実際にLuminarを使用して感じたこと。
Luminarを、少し手でもお得に購入する方法。
2026年秋、Luminarアップグレード情報まとめ。
最後に | 時間をどう使うかは、写真にそのまま出る
写真の質は、機材だけで決まるものではない。どれだけの時間を、どこに使ったか。その積み重ねが、そのまま作品に現れる。
もし今、レタッチに時間を奪われていると感じているなら、一度作業の流れを見直してみてほしい。
人物レタッチに特化した『Aperty』が必要になるか、多機能が付いた『Luminar』が必要になるか、答えが見えてくるだろう。
無理に2つを取り入れる必要はない。
「こういうやり方もある」と知っておくだけでも、写真活動への視野はどんどん広がっていくはずだ。
僕の答えはもう決まっている。
写真家リョウは、写真作品に重きを置いているので、Luminarデスクトップ版との相性がいい。
あなたは、どっちの相性を選ぶ?










