ストーリー性を感じる写真ってどんな写真?映画のワンシーンのようなシネマティック写真の撮り方

こんにちは、アート×写真家リョウ(@ryo_creativephoto)です。

「ストーリー性のある写真ってどう撮ればいいの?」

「エモい写真はどうやって撮ればいいの?」

写真家を目指していて、上記のような悩みを持ったことはありませんか?

そんなストーリー性のある写真やエモい写真を、僕はひとまとめにして「シネマティック写真」と読んでいます。

シネマティック写真と言っても正直、人によって感じ方が違うので「これが正解です」と決めることができないのが現状。

だけど僕なりにシネマティック写真のイメージをもっていて、そのイメージをモデルと共有することでストーリー性のある写真やエモい写真を撮ることができるんです。

では具体的に、どうやってシネマティック写真を撮ればいいのか。それをこれから写真家を目指す人のためにシェアしたいと思います。

どこにでもあるような写真ではなく、自分らしくオリジナリティーのある写真を撮りたいと思ったなら、ぜひ参考にしてください。

ストーリー性のある写真とは

まず「ストーリー性のある写真」とはどのような写真かを説明すると写真の中にドラマがあり感情を揺さぶられるような写真だと僕は考えています。

たとえば『心象写真』のように、自分の心の中に思い描いている物語を表現して、見る人の心が揺さぶられる写真。

シネマティック写真

上の写真は僕が撮影した枯れススキの写真ですが、写真の質感、明るさの調整、色温度を調整して、シネマティック写真にしています。

シネマティック写真を撮るときのポイントは、ほんのり暗く撮ること。

寂しそうで、どことなく憂鬱な感情が見えてきそうな絵をイメージしてみてください。不思議と写真がそのイメージに近くなってきますよ。

もちろん、撮影するときのカメラの設定、構図、背景のぼかし具合、ピントなどバランスが合わなければシネマティック写真になりません。

そこで僕がシネマティック写真を撮るときに意識していることは、次の3つです。

  • シネマティックに感じる構図
  • 映画のような質感を出す
  • 写真を撮影した背景(過程)を伝える

シネマティックに感じる構図

シネマティック写真を撮る場合、「3分割構図」を意識すれば写真に余白が生まれ、写真を見た人がその余白に何かのストーリーを想像します。

構図については下記の記事で詳しく解説しているので、今回の記事と合わせて読んでもらうことで、シネマティックに感じる構図のイメージができるでしょう。

映画のような質感を出す

もちろんカメラの設定でシネマティックになるように、撮影技術を上げることが大事ですが、味付けとしてレタッチソフトを使うことも必要です。

とくに、AdobeのLightroomやPhotoshopがあれば、さらに写真の表現を上げることができます。

Lightroomの場合は、1つシネマティックの質感になるプリセットを作っておけば、その他の写真もワンタッチで同じ質感にすることができて、レタッチの効率を上げることができます。

映画の質感にするポイントは、彩度を低くしてコントラストを弱めにすること。

彩度の差やコントラストに差が出てしまうと、綺麗で高画質な写真になりますが、長く見ていると目が疲れてきます。

たとえば、テレビの画質設定の「ダイナミック」を思い浮かべてもらうとわかりやすいと思います。

テレビの「ダイナミック」は、色が鮮やかで映像が明るく綺麗に見えますが、長く見ていると目が疲れてきますよね。

写真も同じで、彩度やコントラストを上げすぎると違和感が出て目が疲れます。

長期的に見たくなる写真にするには「レトロで懐かしさ」を感じる質感にするのがオススメです。

写真を撮影した背景(過程)を伝える

写真を撮影した背景(過程)を伝えることで、その写真家がどういった想いでその写真をとったのかを想像することができるため、写真の中にストーリーが見えてきます。

人は、ストーリーがあるものに共感することができて興味をもちます

撮影した写真をただポートフォリオサイトに公開するより、撮影したときの気持ち、どんな状況で撮影したのか、撮影することになった経緯などを添える方が興味をもってもらえます。

写真家がポートフォリオサイトを持っておく3つのメリットについて書いた記事もあるので、ぜひ読んでみてください。

暗めでもストーリー性のある写真になる

ポートレート写真を撮影する場合、ほとんどの写真家がモデルさんを明るめに撮っています。

もちろん明るく撮ることで、モデルさんを可愛く綺麗に撮ることはできます。

だけど明るく撮った写真だけが、作品ではないんですね。

写真を撮る環境が薄暗ければ、その暗さを利用して「憂鬱な感情」を表現すれば、そこにストーリーが見えてきます。

無理に明るく撮らない方が、モデルさんの溢れ出た感情をストレートに伝えることができます。

スネマチック写真 リョウ

憂鬱な感情というのは『心の底』に響きやすく、心が揺さぶられる写真になります。

「悩み、不安、寂しさ」を表現した作品が共感されやすい理由は、どんな人でも弱い部分をもっていて人間らしさがあるからなんですね。

「今の自分の状況と同じだ」「私も今そんな気持ちになっている」と思ってもらうためには、暗い世界を表現することも大切です。

シネマチック写真 リョウ

人がストーリー性を感じるものに共感する理由は、幸せや愛情を感覚的に受け入れる「オキシトシン」というホルモンが増加するからだと言われています。

SNSもインパクトのある写真を投稿するよりも、ストーリー性のある写真を投稿する方が共感されやすくフォローにも繋がります。

この「ストーリー」を取り入れると効果的なものは、写真だけではなく、文章、歌、SNSの投稿などにも効果的です。

ポートレート写真とシネマティック写真は何が違う?

ポートレート写真と言えば、屋外でモデルさんを撮影する写真。ポージングをして、カメラ目線で明るく綺麗に撮影する写真のイメージがあります。

たとえば、このような写真。

color clips photo
写真引用 : Color Clips

僕のシネマティック写真は、ポージングをしてカメラ目線で笑顔ではなく、モデルのその時の一瞬の自然な表情を撮った写真です。

さらに、Lightroomを使って映画の質感にレタッチをした写真が特徴です。

シネマチック写真 リョウ

シネマティックな構図

僕がシネマティック写真を撮るときに意識していることは、被写体をフレームの中央に配置しないこと

できるだけ左右どちらかに被写体を寄せて配置し、余白を入れるようにしています。

ではここから、3つの構図について話していきます。

  • 黄金比
  • 3分の1構図
  • 日の丸構図

黄金比

黄金比は、デザインやアートや写真をつくる上で最も安定的で美しいとされている『1:1.618』の比率です。

下記のような図形を見たことはありませんか?

黄金比

被写体の一番見せたい部分を、フレームに対して渦のスタート地点(上の図では小さな正方形部分)に配置することで、バランスが良く、安定したデザインになると言われています。

ただ、毎回この黄金比で撮影するのは難しいため、次に解説する『三分割構図』を取り入れてみてください。

三分割構図

黄金比に近い構図という意味では、三分割構図というものを意識して写真を撮る人が多いです。

最近よく聞く『エモい写真』も、この三分割構図を意識することで撮ることができます。

黄金比や三分割構図を意識して余白をとることで、写真を見る人に「そこに何かのストーリーがある」と期待感をもたせることができます。

日の丸構図

次に、被写体をフレームの中央に配置した写真。

この構図は『日の丸構図』と呼ばれていて、記念写真や結婚式の前撮りの場合は中央に配置することが多いです。

シネマティック写真を撮る場合、被写体を中央に配置してしまうと記念写真っぽさが出てしまってありふれた写真になってしまいます。

もちろん、シネマティック写真を撮る場合でも中央に配置することもあります。

たとえば、こちらの写真。


[ Canon EOS 7D MarkII  ƒ/5.0  1/320  50mm  ISO160 ]

この写真の場合は、背景のススキと手前のボケたススキを強調して、自然の中に迷い込んだ演出を意識しています。

このように『黄金比』や『三分割構図』を意識することで、シネマティックで心が揺さぶられる写真を撮ることができます。

遠くを見てもらうとストーリー性が生まれる

僕がストーリー性のある写真を撮るのに意識していることは、できるだけカメラ目線ではなく遠くを見てもらうことです。

モデルさんの自然な表情を撮るために、できるだけ自由に動いてもらいます。

細かなポージングをほぼ指定しませんが、下記の写真ように「横向きで遠くを見てください」くらいは伝えさせていただいてます。


[ Canon EOS 7D MarkII  ƒ/2.8  1/250  85mm  ISO100 ]

僕の写真を見ると気づくと思いますが、横向きの写真が多く、笑顔の写真がほとんどありません。

写真家リョウのポートフォリオサイトを見る

僕のシネマティック写真のイメージは、できるだけモデルさんの自然の表情を撮ること。

そのためにシャッターを押す前後は、ほとんど無口になります。

もちろんシャッターを押さないときはモデルさんと世間話をしますが、撮影中はモデルさんが表現に集中できるように無言になります。

たまには笑顔を撮ることもありますが、僕から「笑ってください」と笑顔を指定すことはほとんどありません。

笑顔を撮るときは自然な感じに

そんな僕でも、笑顔が欲しいときもあります。

そんな時は、会話をしながらシャッターを押しています。

その方が、自然な笑顔を撮ることができるからなんですね。

たとえば、こちらの3枚の写真のような感じです。

アート×写真家リョウ シネマチック写真

アート×写真家リョウ シネマチック写真

アート×写真家リョウ シネマチック写真

世間話をしながら撮ると、とても自然な感じの笑顔を出してもらえます。

モデルさんも、ずっと素の表情のままだと楽しくないし疲れますからね。

フェイスラインを意識して撮影する

そして最後にもう1つ、僕がシネマティック写真を撮影するときに意識していることは「フェイスライン」です。とくに、モデルさんの綺麗な顎(アゴ)のラインを撮ることです。

女性モデルの場合は、とくに顎(アゴ)のラインが綺麗に撮れるとすごく喜んでもらえます。そうすることで、モデルさんの撮影のモチベーションにも繋がります。

ポイントは上を向きすぎないように、気持ち顔が上に向くイメージで、半逆光気味で「光と影」をうまく使ってフェイスラインの輪郭をだすこと。

と言っても、夕日が出たときに光の方を向いて少し上を向いてもらえば、上記のような写真を撮ることができます。

最後に

と言うことで、今回は『ストーリー性のあるシネマティック写真の撮り方』についての話をしてきましたが、いかがでしたか?

僕がシネマティック写真を撮るときに意識していることは、

  • 安定的でバランスが良い構図
  • カメラ目線より遠くを見てもらう
  • 時には会話をしながら自然な笑顔を撮る
  • モデルさんの綺麗なフェイスラインを撮る

このようなことを意識するだけでも、ストーリー性のあるシネマティック写真を撮ることができます。

最近では、スマートフォンでも機種によっては、シネマティックモードで撮影できるものもあります。

だけど、一眼レフと比較できるほどのクオリティーはまだ出すことができません。

僕らしいストーリー性のあるシネマティック写真は、僕の頭の中にしかない世界

ここで、僕のシネマティック写真の撮り方を解説したところで、それを100%真似することはできないと思います。

反対に、あなたらしいシネマティック写真はあなたにしか撮れない写真で、僕には撮れないと言うことになります。

SNSが普及している今の時代、これからは写真の魅力を上げる方法を伝えることも必要です。

自分らしいストーリー性のあるシネマティック写真は、他の写真家との差別化をするために、必要な撮影技術になっていくと僕は考えています。

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