人物を撮影した後、「肌をもう少しきれいに整えたい」と思うことがよくある。
モデルと作品撮りをしている時は気にならなかったが、帰って写真を確認すると「どうしてもこの写真の肌感が気になる」となってしまう。
そこであることを思い出した。Luminarには、“人物写真向けのレタッチ項目『ポートレート機能』がある”と。
今まであまり深く触ってこなかった、Luminarのポートレート機能。
AIが人物の顔や肌を認識し、肌だけの質感を整えたり、顔だけの印象を調整したりできる機能で、複雑なマスクを作成しなくても細かな範囲選択をしなくても、比較的簡単に美肌補正できる。
今回は、Luminarを使った美肌補正の仕方と、実際にどこまで自然な美肌にレタッチできるのかを検証してみた。
これまで、美肌補正に関わる部分はLightroomを使ってきたが、今回の検証で、新たな美肌補正の楽しさも見えてきた。
Luminarで自然な美肌補正はできる?
結論から言うと、Luminarでも人物写真を自然な美肌に整えることは十分できる。
特に便利なのが、AIが人物の肌を認識して肌や顔を個別に調整できる点だ。
従来の写真編集では、肌だけを補正するために選択範囲を作ったり、ブラシで細かくマスクする必要があった。
ところが、LuminarはAIが人物の顔や肌を認識してくれるので、こうした選択やマスキング作業をする必要がない。
もちろん、100%完璧に認識してくれるわけではない。
写真によっては、顔だけの明るさを変えたいのに、なぜか手の甲まで明るくなってしまうこともある。
とはいえ、LuminarのAI認識力はとても優れていて、大抵の写真は「顔だけ選んでるよ」「目の隈だけ明るくできるよ」と、顔だけでも精度の高いパーツ別の補正ができる。
「ここまでできるんだったら、もっと早く使っておけばよかった」と、少し後悔している。
Luminarで美肌補正をしていて思ったことは、AIによる補正を「肌を消すために使う」と意識すると、違和感の肌になってしまう。
だから僕は、「写真として自然に見える状態へ整えるために使う」ことを意識する。そうすれば、自然な美肌になってモデルからも喜ばれるようになった。
AIによる美肌補正機能
Luminarの人物写真向け機能の中に、肌の質感を滑らかに整えたり、肌の欠点を目立ちにくくしたりする『スキンAI』という機能がある。

例えば、
・肌の質感を滑らかにする
・肌のトーンを整える
・顔全体の印象を自然に整える
といった補正が、スライダーだけで直感的に補正ができる機能だ。
これまで、何回もLuminarを使ったいたのに、この『スキンAI』の魅力をスルーしてたなんて。
人物に関わる補正はLightroomで、質感と世界観を整えるためにLuminarと決めつけていたせいかもしれない。
そもそも美肌補正は、強くかければかけるほど違和感が前に出て、肌の細かな質感まで失われて「加工した写真」という印象が強くなってしまう。
僕はLuminarは、その「強くなる傾向にある」と思っていた。
しかし実際に使ってみると、Lightroomとは違って顔のパーツに集中した補正が直感的にできるため、自然な美肌補正が楽しくなってくる。
1枚1枚時間をかけて、細かく丁寧に補正したい場合は、Lightroomが向いている。しかし、そこに時間をかけてしまうと、世界観設計に集中できなくなる。
Luminarの「スキンAI』は、何百枚もの写真を自然な美肌にする場合に向いている。ゆとりが出た時間を、世界観設計に費やせるので、これもまた写真作品には必要だ。
それぞれの特徴を生かすために僕は、LightroomとLuminarを使い分けることにしている。
Luminar Neoは、2026年8月より『Luminar』へとアップグレードし、Ai機能に進化や、新しい項目など、写真家にとって必要な項目が追加される。
アップグレードの内容については、下記の記事で詳しくまとめている。
顔全体を自動で認識して補正
今回、Luminarのポートレート機能を使って感じたのは、AIの人物の顔を認識する精度の高さだ。
モデルの写真を読み込んだ後、人物に特化した編集項目(ポートレート機能)を使ってみたところ、顔や肌などパーツごとの調整が簡単にできることがわかった。
写真を初めてまだ編集に慣れていない人でも、細かな選択範囲を作ることなく比較的容易に人物のレタッチができる。
なので、「Photoshopのような細かなレタッチは苦手だけど、どうにかして写真を綺麗に仕上げたい」といった人にLuminarは、非常に扱いやすいツールになるだろう。
美肌補正の簡略化は決して手を抜くという意味ではなく、同じ作業を効率的に行い、ゆとりの時間を世界観設計に費やす。
これが、Luminarを効果的に使う方法ではないだろうか。
Luminarで使える人物レタッチ機能の紹介
では具体的に、Luminarの人物レタッチに特化した項目『ポートレート機能』がどんなものかを紹介しよう。
今回は、僕自身が美肌補正に使った項目を共有するので、参考にしてほしい。
『スキンAI』で肌を整える
まずポートレート機能で試したのは、肌の補正に関わる『スキンAI』だ。
スキンAIは、肌の質感を滑らかにしたり、肌の欠点を目立ちにくくするもの。
例えば、撮影時にできていた一時的な肌荒れや小さなニキビなどは、写真作品として気になる部分で取り除くことが多い。
どんなに綺麗な肌をしている人でも、光と影のバランスによって肌の凹凸が目立つことがある。
そういった、肌の凹凸を自然に滑らかにするのが、この『スキンAI』だ。
今回のモデルさんも肌は綺麗だったが、光の加減で少し気になる部分が出てしまった。
こうした部分をスキンAIで整えたことで、モデルの魅力を引き出すことができた。

ここで僕が意識したことは、肌のシワやほくろなど、その人の個性につながる部分まで完全に消してしまわないこと。
個性を消してしまうと、いかにも作られた写真になってしまう。なのでまず写真をよく観察し、その人の個性を見分けるところから始めた。
『フェイスAI』で顔の印象を調整する
次に、肌だけでなく顔そのものに対しても調整ができる『フェイスAI』を使って、顔の明るさや目元(目のクマ)などを調整した。
これを調整することで、人物写真全体の印象を整えることができる。

下記の写真は、「目の下のクマ」に見えてしまうポイントを補正した写真だ。

人の顔の作りの関係上、目の下はどうしても影ができやすく「クマ」のように見えてしまう。
特に太陽が真上にある時間帯で撮影をすると、目の下に影ができてクマができやすい。
そう言った、細かい目の下のクマもマスキングせずに、スライダーで直感的に除去することができる。
仕組みとしては、AIが目の下の影を認識して、その部分だけをスライダーで明るくして、周りの肌の明るさにつかづけるといった感じだ。
このフェイスAIは、顔が少し暗く写ってしまった場合でも、顔の暗い部分だけを適切に明るくできる。
顔が自然な明るさになることで、加工したような違和感がなく、より人物に視線が集まりやすくなる。
もちろん、この部分も「変える」意識ではなく「整える」という意識で使った。
ポートレート機能の中には「目を大きくする」という項目もあるが、顔の形やパーツを大きく変えてしまうと人物そのものの印象が変わってしまうので、僕はあまり使わないだろう。
ボディAIで体型を調整する
Luminarには、必要に応じて身体全体の見え方を調整する項目『ボディAI』もあるが、本記事の『美肌補正』とは目的が違ってくるので、ここでは割愛しよう。
作品として人物を撮影している場合、過度な体型補正は写真の自然さを損なう可能性が高まる。
そのため、個人的には「補正できるから使う」のではなく、写真全体のバランスを見ながら必要な場合にだけ使用するのがいいだろう。
『ボデーAI』については、また改めて検証してみようと思う。
実際に行った美肌補正
では、実際に僕が撮影したモデルの写真を使って、自然な美肌補正をやってみた。
念のために言っておくと、モデルの肌が荒れているのではなく、撮影時の光の加減で肌荒れに見えてしまった写真を使わせていただいている。
今回の美肌補正で意識したことは、
という部分だ。
補正前
まずは、補正前の写真を確認してみよう。

全体的に暗く、モデルの顔に光と影の差の強さが目立って、少女らしさのあるモデルさんの印象が、光と影のコントラストの強さで、肌荒れっぽく暗い印象になってしまった。
実際に撮影しているその時はそれほど気にならなかったが、後になって高解像度の写真で見ると、肌の凹凸感がとても目立ってしまう。
ここで僕は「肌に問題があるから補正する」と意識せず、写真で見たときに視線が肌の一部分に集中してしまうので、その部分を自然に整えるということを意識した。
補正後
Luminarのポートレート機能を使うことで肌の印象が滑らかになり、顔全体がすっきりとした印象になった。

まだ少し顔に影が残っているが、この場所(環境)を考えると、このくらい影を残す方が写真全体のバランスが自然に見えて違和感がない。
補正前と補正後を並べて見比べたときに「どこを補正したのか分からない」くらいが、人物写真ではちょうどいい感じになる。
わかりやすくBeforeとAfterで見てみよう。下記の画像に重なっているスライダーを左右にスライドしてみるとその違いがわかるだろう。
【(左)補正前 / (右)補正後】
美肌補正を強くすると綺麗になったように見えるが、肌の細かな凹凸や質感まで消えてしまうと、実際の人物とは違う印象になってしまう。
そのため、補正後は必ず補正前の写真と比較しながら調整することが重要。
調整値の目安
美肌補正には、特に「この数値が正解」というものはない。
僕の場合は、まず弱めの設定からスタートし、補正前と補正後を比較しながら調整している。
人物の年齢や肌の状態、写真の用途、光の当たり方によって適切な強さは変わってくる。
SNSに投稿する写真とプリントして展示する写真では、必要なレタッチも違ってくる。
美肌補正のコツとしては、最初は弱めの設定から始めて、少しずつ補正量を増やしていくと自然な仕上がりが作りやすくなる。
その逆のパターンもあり、いきなり最大値にして少しずつ下げていき、自然に見えるところまで下げる。この方法は、極端に肌の凹凸が目立つ場合に使える。
そして、ある程度調整したら一度、補正をオフにして元の写真と比較してみると、その差がわかる。
重要なのは「補正したことが分かる写真」ではなく、「人物の印象が自然に整った写真」を目指すことである。
Luminarで見えた人物写真を自然に仕上げる3つのコツ
LuminarのAI機能は非常に便利だが、最終的な仕上がりを決めるのは『補正量』になることがわかった。
今回僕がLuminarを使って、人物写真を自然に仕上げるために意識したポイント3つをお伝えしよう。
肌を滑らかにし過ぎない
今回の美肌補正で最も注意したのが、肌を滑らかにし過ぎないことである。
補正というものは時間をかければかけるほど目が慣れて、「もう少し強くしよう」となって正解が見えなくなってしまう。いわゆる、『ゲシュタルト崩壊』という現象だ。
人の肌には細かな凹凸や質感があり、それらをすべて消してしまうと、肌がプラスチックのように見えてしまう。
試しに今回の人物写真を、スキンAIで100%にした状態を見てみよう。

滑らかな美肌にはなるが、肌の滑らかさが人らしくなくなって不自然になった。
ここまで肌を滑らかにすると、引きで見ても不自然さが残る。

特に高解像度の写真では、補正のやり過ぎが前面にでてしまう。
なので僕は、「もう少し補正したい」と感じたところで、一度止める。そのくらいがちょうどよく、人らしさが残る。
目元だけ少し明るくする
人物写真では、目元の印象が写真全体の雰囲気に大きく影響する。そのため、肌を大きく変えるよりも、目元をほんの少し明るくするだけで人物の印象が変わることも多い。
下記の写真は、目元周辺を重点において明るく補正した写真だ。
【補正前 / 補正後】
ただ、目を大きくし過ぎたり極端に明るくすると、それもまた不自然になってしまう。
なので、「目を加工する」のではなく、「写真の中で目に自然に光が入っているように見せる」という意識で調整すると自然な仕上がりになる。
全体の色味も整える
人物写真では、肌だけを補正して終わりではなく、写真全体の色味や明るさも重要になる。
例えば、肌をきれいに補正しても写真全体が黄色くなり過ぎていたり、顔だけ明るくなり過ぎていたりすると、違和感が残る。
そのため、
・色味を調整する
・肌を補正する
・顔や目元を必要に応じて調整する
という順番で仕上げていくと、全体のバランスが取りやすいので、僕はこの流れを常に意識している。
Lightroomとの違い
これまで僕は、人物写真のレタッチはAdobe Lightroomを使っていた。
もちろんLightroomは人物写真に向いていて、本格的な写真編集ができるので今でも使っているが、どうも同じ作業を1枚1枚する時間が勿体無い気がしていた。
一方でLuminarは、AIを活用して複雑な作業を簡略化できることがわかり、これをうまく活用すればもっと写真の幅が広がるのではと考えた。
「じゃあ、LightroomとLuminarとは一体何が違うのだろう?」と疑問に思い、比較するために表にまとめてみると、ある一つの方法が見えてきた。
| 比較項目 | Luminar | Lightroom |
|---|---|---|
| 美肌補正 | AIを使って簡単に調整 | 細かな調整が可能 |
| 操作の手軽さ | ◎ | ○ |
| 細かなレタッチ | ○ | ◎ |
| 作業スピード | ◎ | ○ |
| 初心者の使いやすさ | ◎ | ○ |
Lightroomは、写真を細かなところまで自分でコントロールしたい場合に使い、Luminarは、AIを活用して短時間で写真を仕上げたい時に活用する。
つまり、どちらかが優れていると考えるのではなく「どこまで自分で細かく作り込みたいか」によって使い分けるという方法だ。
こんな人にはLuminarがおすすめ
Luminarの人物レタッチ機能は、特に次のような人におすすめだ。
ポートレート撮影をする人
モデル撮影やポートレート撮影をしている人なら、Luminarの人物向けAI機能を活用することで、撮影後のレタッチ作業を簡略化できる。
撮影枚数が多い場合にも、AIを使ってベースとなる補正を行えるのは大きなメリットだ。
それに、ある程度の美肌補正ができたら、その設定をプリセット化すれば、他の写真にもワンクリックで適用できて、美肌の下地が早く整う。

画像:美肌補正したデータをプリセット化して他の写真に適用
SNS用の写真を素早く仕上げたい人
Instagramなどに投稿する写真を毎回細かくレタッチするのは、意外と時間がかかるもの。
Luminarなら、AIを活用して人物写真を短時間で整えることができるので、「撮影した写真をなるべく早くSNSに投稿したい」という人も使いやすい。
Lightroomより簡単に編集したい人
写真編集を始めたばかりの人にとって、マスクや細かな選択範囲を使ったレタッチは少し難しく感じるだろう。
Luminarは、AIによる人物認識を利用できるため、複雑な操作を減らしながら写真を仕上げることができる。
美肌補正をきっかけに、Luminarを使い始めた人が、次に世界観作りまでできる。
僕自身がLuminarを使った感想を書いた記事があるので、そちらも参考に読んでみてほしい。
AIでレタッチを効率化したい人
写真編集では、すべてを手作業で行う必要はない。
AIに任せられる部分はAIに任せ、その上で自分の感性を加えていく。こうした使い方をすると、写真編集にかかる時間を減らしながら、自分らしい作品に仕上げることが可能になる。
先ほど話したように、自分らしい設定をプリセット化すれば、どの写真も世界観を統一することもできる。
僕の場合、「静けさ」をテーマにしたモノクロ写真や、映画のワンシーンのようなシネマティック写真を作っているので、その質感をLuminarのプリセットで統一している。
ほんのり青味がかった、写真家リョウのモノクロ写真用プリセット。

コントラストを柔らかくした、シネマティック用のプリセット。

このようなアートな写真を作る場合でも、自然な美肌補正は世界観を整えるためにも重要な要素となる。
不自然な肌のままモノクロにしても、写真全体に不自然さが残ってしまう。
自然な美肌補正は、アート写真の軸とも言えるだろう。
まとめ
Luminarには、人物写真の肌や顔をAIで認識して補正できる機能が搭載されていて、美肌補正だけではなく、顔や目元なども調整できるため、ポートレート写真の仕上げに活用できる。
ただし、人物写真のレタッチでは「補正すればするほどきれいになる」というわけではない。肌の質感を残しながら、写真を見たときに自然に感じられる程度に整えることが大切だ。
特におすすめの使い方は、「肌を消す」のではなく「肌を整える」感覚でLuminarを使うこと。
AIに任せられる部分はLuminarに任せ、その上で写真家自身が仕上がりを判断する。そうすることで、AIによる効率性と、自分自身の表現を両立できる。
人物写真のレタッチをもっと簡単にしたい人にとって、Luminarは非常に使いやすい選択肢のひとつになるだろう。
Luminarで実際にどのような写真編集ができるのか、さらに詳しく知りたい方は、こちらのレビュー記事も参考にしてほしい。
また、現在のLuminarの購入プランやキャンペーンについて知りたい方は、こちらの記事で定期的に更新しているので、チェックしておいてほしい。
