写真家リョウのモノクロ編集 | Photoshopで“空気感”を作る方法

モノクロ写真とは、単純に「色を消した写真」ではない。

色彩という情報を削ることで、光や影、静けさ、余白が重なり合った“感情の表現”になると僕は思っている。

雨の日の街。
窓に落ちる光。
少し曇った空気。

カラーでは伝わりきらなかった感覚が、モノクロにすると浮かび上がることも多い。

僕は普段、Photoshopを使ってモノクロ写真を仕上げているが、
編集で劇的に変えるというより、「撮影時に感じた空気感を整える」感覚に近い。

この記事では、実際に僕がどのような流れでモノクロ写真を作っているのか、その考え方も含めて紹介していこうと思う。

写真家リョウが撮影した京都のモノクロ写真-1

はじめに

ここで公開しているモノクロ写真編集は、
一般的なモノクロ写真ではなく、
写真家リョウのモノクロ写真の世界観を表現している。

静けさ、余白を意識したモノクロ写真の編集工程の一部だが、
写真家リョウの世界観がどのようにして作られているのか。

撮影後からモノクロ加工へのストーリーに、ぜひ触れてみてほしい。

編集前の写真を確認する

編集は、撮影した瞬間から始まっている。

モノクロ写真の場合、特に重要なのが「光と余白」だ。

例えば、

雨の日の柔らかい反射
曇り空のフラットな陰影
窓際の自然光
夜の街灯の滲み

こういった要素は、カラーよりもモノクロの方が空気感として残りやすい。

そのため撮影時点で、

「この写真はモノクロにすると静けさが出そうだ」

という完成イメージを持ちながらシャッターを切る。

構図についても同じで、情報量を増やすより、“余白をどう残すか”を意識している。

背景を整理し、視線が自然に流れる構図を作ることで、
編集時に世界観が整えやすくなる。

写真家リョウが撮影した京都の空

Photoshopでモノクロ化する

現像は主に、LightroomとPhotoshopを使っている。

最初に行うのは、
Lightroomでシネマティックな質感を作る。

明るさ
コントラスト
ハイライト
シャドウ
色温度

これらを微調整して書き出す。

その後、Photoshopでモノクロ写真へと創り上げていく。

写真家リョウのモノクロは、単純な白黒変換ではない。

まずは、白黒フィルターで、写真全体の空気を落ち着かせ、
その後、静けさを表現するための調整を行う。

Photoshopの色調補正で「白黒…」を適用しただけだと、
“ただ色を抜いただけ”になってしまう。

【「白黒..」を適用しただけの写真】

もちろん、これはこれで作品になるかもしれないが、
もっと写真家リョウらしい「静けさ」を感じる要素がほしい。

そこで重要なのが、階調の整理である。

例えば、

・黒を少し強くする
・白を飛ばしすぎない
・中間調を丁寧に残す
・ほんのり青を加えて静けさを表現する

こういった調整を行うことで、静かな空気感が生まれてくる。

逆にコントラストを強くしすぎると、
静けさよりも「強さ」が前に出てしまう。

写真によってはそれも魅力だが、
自分の作品では“余韻”を残す方向に寄せることが多い。

“静けさ”を作るためにしていること

モノクロ写真で最も大切なのは、情報を減らすことだと思っている。

現代の写真は、解像感も高く、色も鮮やかである。
だからこそ、あえて引き算をすることで、見る人の感情が入り込む余白が生まれる。

編集時に意識しているのは、次のような点だ。

黒を潰しすぎない

真っ黒にすると印象は強くなる。
しかし、少しだけ階調を残すことで、空気が柔らかくなる。

暗部にわずかな情報を残すことで、“静かな深さ”が出やすい。

【黒を潰した例】

【黒を柔らかくした例】

白を飛ばしすぎない

窓の光や空など、白が強すぎると視線が止まってしまう。

そのため、ハイライトはできるだけ自然に抑える。
「見せる光」ではなく、「感じる光」を目指している。

【白を飛ばしすぎた例】

【白をソフトに残した例】

タワーの白い壁は飛ばしすぎず、でも白っぽく見せる。

ほんのり青よりにする

最後の仕上げとして、
カラーバランスの中間調をほんのり青よりにしている。

こうすることで、『静けさ』を表現することができる。

余白を残す

編集で全てを説明しないことも大切だろう。

暗部を残す。
情報を削る。
静かな空間を作る。

そうすることで、写真を見る人が、
それぞれの感情を重ねられるようになる。

【完成した写真】
写真家リョウが撮影した京都のモノクロ写真-1

シネマティックに見せる仕上げ

最近は「シネマティック」という言葉をよく見かける。

ただ映画っぽい色を作ることだけが『シネマティック』ではなく、
感情が流れる空気”を再現することだ。

そのための仕上げとして、

・光の方向を整理する
・周辺減光を少し加える
・トーンカーブで視線誘導を作る
・不要な情報を暗く落とす

といった微調整が欠かせない。

特に周辺減光は、シネマティックな表現にはとても効果的である。

もちろん、やりすぎると不自然になるが、
少しだけ使うことで視線が中央へ集まりやすくなる。

周辺減光とは、写真の四隅にほんのりと黒を入れること。


撮影 : 写真家リョウ

また、短時間でシネマティックな空気感を整えたい時は、
Luminar Neoを使うこともある。

AI機能によって全体の雰囲気を素早く作れるため、
作品の方向性を探る段階ではかなり効率的だ。

Before / Afterで見るモノクロ編集

モノクロ編集で大きく変わるのは、「色」ではなく「感情」である。

Beforeの段階では、単なる街の風景だった写真が、Afterでは静かな物語を持ち始めることがある。

例えば、

光の印象を柔らかくする
不要な情報を減らす
階調を整える
空気の流れを意識する

こうした積み重ねによって、一枚の写真に“余韻”が生まれていく。

編集とは加工ではなく、「感じた空気を整理する作業」なのかもしれない。

Before

After

モノクロ写真で大切なのは“編集技術”だけではない

Photoshopの技術だけで、
理想のモノクロ写真が生まれるというものではない。

そこには、“写真家の思想をのせる”こともとても重要だ。

・なぜその光に惹かれたのか。
・なぜその瞬間を撮りたかったのか。
・その場所で何を感じたのか。

そういった感覚が、最終的に写真の空気感へと繋がる。

モノクロは、人によっては
「色が失われてしまった写真」
という人も多いだろう。

だけど、それと同時に、
感情を残す表現”でもあると僕は思っている。

静かな雨の日。
曇った窓。
夜に変わる直前の街。

そうした何気ない時間の中にある空気を、
これからも写真として残していきたい。

写真家リョウが撮影した鎌倉のモノクロ写真

静けさを感じるモノクロ写真ギャラリー

忙しない日常に、
ほんの少しの静かな時間を。

光と影のあいだに、
言葉にならない何かが残る。

今、心に残った余韻の続きを——
Artgeneに置いています。

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