人物撮影の基本設定 | シャッタースピードを上げて「ブレ」をなくす

写真撮影の仕事をする場合、ピントが合わない写真はNGと言われています。

もちろん例外もあって、意図的に「ブレ」や「残像」を作って動きを強調したり、アートな写真にしたい場合は問題ありません。

だけど一般記念撮影での「ブレ」はクレームになる場合があるので、気をつけたいところ。

そこで今回は、写真撮影の基本とも言える「ブレない写真」を撮る方法について解説したいと思います。

最初に僕の経験から言うと、屋外での撮影ならシャッタースピードを「1/500」から上、室内なら「1/200」を基準にするとブレない写真が撮れます。

もちろん、一眼レフをしっかり持って構えて撮ることが前提となります。

「いつも気をつけているのに『ブレ』てる写真が多いのはどうして?」
「M(マニュアル)で撮る場合のシャッタースピードはどれくらいが目安?」

と悩んでいる場合は、当記事を参考にして撮ってみてください。

ピントが綺麗に合って、さらに魅力的な写真を撮ることができますよ。

写真家なら「M(マニュアル)モード」

「写真家なら『M(マニュアル)モード』で撮れ」とよく言われます。

『M(マニュアル)モード』とは、シャッタースピード、絞り、ISOを全て手動で設定して撮影するモードです。

主に、一般記念写真撮影の前撮り、ポートレート、風景写真、アート写真のように、動きが少ない写真を撮る場合に使うモード。

ちなみに、子供の写真、動物の写真、結婚式のスナップ写真のように、よく動く被写体を撮る場合は『Tv(シャッタースピード優先)モード』で撮るのが一般的です。

その上で、色温度(ホワイトバランス)を操れるようになると、より写真の技術は向上します。

『M(マニュアル)モード』で撮る理由

『M(マニュアル)モード』で撮る理由について、例えば、

「シャッタースピードをこれくらいにして、絞りで背景をどれくらいボケさすか、できるだけISO100でノイズが出ない写真にしたい」

と言うように、自分の頭の中でイメージした写真を撮りたい場合『P(全自動)モード』では撮ることができません。

『P(全自動)モード』は、全てカメラ任せの設定になってしまうため、場合によっては明るすぎたり黒つぶれになったり、色がおかしくなることが多いからです。

一眼レフ初心者の場合は、カメラに慣れるために『P(全自動)モード』をオススメしていますが、最終的には『M(マニュアル)モード』で撮影できるようにならなければ写真家とは言えません。

少しずつ一眼レフの「クセ」を覚えながら、自分の頭の中でイメージした写真を撮ること。

だからと言って『P(全自動)モード』から『M(マニュアル)モード』と言うのはなかなか難しいもの。

なので、モードを段階的に試しながら撮ることが写真家への近道となります。

動きのある被写体は「Tv(シャッタースピード優先)モード」

『P(全自動)モード』で一眼レフに慣れてきたら、次に『Tv(シャッタースピード優先)モード』で撮影をすると、どうなるかを試してみてください。

『Tv(シャッタースピード優先)モード』は、シャッタースピードを自身で設定し、それに合わせて絞り、ISOが自動で設定されるモードです。

写真家をしていてNGとされていることが、手ブレしたり、ピントが合っていなかったりすること。

『Tv(シャッタースピード優先)モード』で撮影をすることで、手ブレや被写体ブレを防ぐことができるし、被写体にピントを合わす練習になります。

ちなみに、ニコン、オリンパス、ソニーの場合は「Tv」ではなく「S」と表記されています。

では具体的に人物を撮影するときのシャッタースピードはどれくらいに設定をするのがいいのかと言えば、次の2つが基準になります。

  • 屋外なら「1/500」から上
  • 室内なら「1/200」を基準

シャッタースピードの数字は大きくなるほど早くなって、被写体が動いていてもぶれることなく撮ることができます。

例えば、走っている人、動いている電車、空を飛んでいる鳥、風に揺れている植物、滝、雨など。

実際にシャッタースピードが違うとどれだけ被写体がブレてしまうのか、下の写真の落ち葉に注目してみてください。

シャッタースピード1/800の場合

シャッタースピード「1/800」で撮影すると、シャッターを押してから写真が撮れる時間が短くなるため、上に舞い上げた落ち葉の一瞬を捉えることができて止まって見えます。

シャッタースピード1/160の場合

シャッタースピード「1/160」で撮影をすると「1/800」と比べてシャッターを押してから写真が撮れる時間が長くなるため、上に舞い上げた落ち葉の残像が出てしまいます。

そこで『Tv(シャッタースピード優先)モード』が存在する理由についても、知っておく必要があります。

シャッタースピードによって、カメラに光を取り込む量が調整されます。

シャッタースピードを早く(数字を大きく)すると、ブレは無くなりますが光を取り込む時間が短くなるため、暗い写真になってしまいす。

シャッタースピードを遅く(数字を小さく)すると、光を取り込む時間は長くなって明るくなりますが、ブレやすくなってしまいます。

そうならないためにカメラが別の方法で明さを調整してくれるモード、それが『Tv(シャッタースピード優先)モード』です。

最近の一眼レフには、手ぶれ補正がついています。

だけど、被写体が動いてブレてしまうのは手ぶれ補正では限界があって防げません。

そのために、シャッタースピードを上げて被写体のブレを防ぎます。

シャッタースピード「1/60〜160」はブレてしまう

僕は写真家になる前「シャッタースピードは1/160が基準で明るさが足りない場合はシャッタースピードを1/60まで下げればいいと」と言うサイトを見て、それを守っていました。

ところが、いつまでたっても被写体ブレが改善されず悩んでいました。

そこである写真家の講座に参加した時に「被写体ブレをなくす方法はシャッタースピードは『1/250』から上が理想」だと知りました。

シャッタースピードを上げると、カメラが適切な光を取り込もうとISO感度を上げます。

ISO感度の数字が上がれば明るくなりますが、数字が上がりすぎるとノイジーな写真になります。

ただ最近の一眼レフは「ISO6400」でもノイズは目立たないので、問題はないと言えます。

なので人物をブレずに撮りたい場合は、シャッタースピードを「1/500」前後で撮ること意識してみてください。

慣れたら「M(マニュアル)モード」にレベルアップ

しばらく『Tv(シャッタースピード優先)モード』で撮影をしていると、徐々にシャッタースピード、絞り、ISOのバランスが見えてきます。

そこからさらにレベルアップするために、全て自身で設定する『M(マニュアル)モード』での撮影になります。

正直、僕は今でも『M(マニュアル)モード』に苦戦することがあります。

それほど『M(マニュアル)モード』は、なかなか難しい設定ですが、自分らしい写真の表現をするなら必要な知識になります。

背景にどれくらいの「ぼかし」を入れて、人物をどれくらい際立たせればシネマテッックな写真になるのか。

背景と人物を同じピントで、心に響くようにほんのり暗くアートのような写真ににするのは、どの設定のバランスが良いのか。

そういったイメージを再現するには『M(マニュアル)モード』じゃないと出せないんですね。

ISO感度が高くても気にしない

僕は、明るさを取り込むためにISO感度の数字を上げて撮る場合があります。

一般的には「ISO/2000、ISO/6400」と聞くと、

「ノイズがのってしまうからISO/1600までが限界」

と言われています。

ISOとは感度なので、数字を上げると明るく撮ることはできますが、ノイズが目立ってしまいます。

だけど最近の一眼レフは機能が優れているので、多少ISO感度を上げても小さなモニターで見る分にはノイズは気にならないんです。

もちろんストックフォトや印刷物を目的に撮影をする場合は、ISO感度を低く設定する必要があります。

だけど、最近の一眼レフカメラの性能を考えると、たとえ「ISO/6400」になっていたとしても、スマホやパソコンの画面で見る分にはそれほど違いはありません。

例えば、下記の写真は「ISO/3200」で撮影した写真です。

アート×写真家リョウ 作品撮り

こちらは「ISO/100」で撮影した写真です。

coaフォト アート ポートレート

レンズの性能、レタッチの仕方、Webへのアップロードによって若干写真は劣化しますが、そこまで大きな違いはありません。

僕の写真の場合は、フィルム調を意識してレタッチしているので、ほんのりノイズが入った方が効果が出るんです。

なので僕は、ISO感度を「オート」にしてピントを合わせることに集中しています。

もし、どうしてもISOを低くして綺麗な画質で撮りたいなら、シャッタースピードを遅くして一眼レフを三脚につけて撮る方法もあります。

ただその場合「手ブレ」はおさえることができますが、「被写体ブレ」を防ぐことはできないので、モデルさんに頑張って静止してもらう必要があります。

その点、シャッタースピードを上げれば、モデルさんが少し動いてしまっても写真には静止した状態で撮ることができるので、楽しくポートレート撮影をすることができます。

被写体ブレを防ぐことができなければ、いくら美肌補正をしても「ブレ」がある以上、写真の魅力を伝えることができません。

美肌補正は、モデルさんに適正なピントが合っている上で行うから綺麗な写真になるので、まずはブレない写真を撮ることを意識しましょう。

その上で自然な美肌補正をするレタッチ術を参考にすれば、さらにモデルさんの魅力が上がりますよ。

最後に

今回は、人物撮影をするときに「ブレ」をなくす方法について話してきました。

一般記念写真の仕事をする場合、「手ブレ、被写体ブレ」はNGとされています。

どうしても「ブレ」を改善できないと悩んでいるなら、シャッタースピードを上げて撮るようにしてみてください。

今回の内容をまとめると、次のようになります。

  • 屋外なら「1/500〜」数字を大きくする(最低でも「1/250」)
  • 室内、曇り、雨の日なら「1/250」
  • 慣れるまでは『Tv(シャッター優先)モード』で撮る
  • ISO感度はオートでもOK(ISOの数字が上がっても気にせず撮る)
  • なれてきたら『M(マニュアル)モード』で撮る

ただしストックフォトに写真をアップする場合は、ISO感度をできるだけ「1/100〜400」あたりで撮影すること。

その場合は、シャッタースピードの数字を小さくすることになるので、三脚に一眼レフをつけて撮るようにしましょう。

商業写真になると「ISO100〜400」が基準なので、三脚での撮影やストロボ撮影が必要になります。

今回の記事で「ブレ」を改善することができたら、次のステップは「レタッチ」の基本をマスターしましょう。

写真家が使っているレタッチソフトについては、こちらの記事を参考にしてください。

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