「100ページのモノクロ写真集を作りたい」
そんな、純粋な衝動から始まったこの企画は、いつの間にか出口のない迷路へと姿を変えていた。
構成を練る時間は、至福だ。しかし、いざ具体的な設計へと駒を進めると、いくつもの高い壁が目の前に立ちはだかる。
「世界観を維持するための最適なリズムとは何か」
「写真は語るべきか、それとも言葉を添えるべきか」
「思想をデザインという形に落とし込むには、どうすればいいのか」
問いを重ねるほどに、思考は濁っていく。
タイトルである『静けさ』という言葉さえ、自分の手から零れ落ちていくような感覚があった。
気づけば、私は「届ける相手」のことではなく、「自分はどう見られたいか」という独りよがりな迷いに囚われていた。
2025年11月、SNSで詳細を伝えると約束したはずの計画は、そのまま約3ヶ月ものあいだ、空白のなかに置き去りにされた。
しかし、この停滞という名の「静寂」が、あるひとつの変化をもたらした。
それは、“シネマティックな世界をカラーで発信すること”への挑戦だった。
頭のなかでこねくり回すだけの思考を一度捨て、行動へと転換する。
Instagramに専用のアカウントを開設し、Threadsでその背景にある思想を言葉にする。

皮肉なことに、この「色のついた世界」への没入が、凍結していたモノクロ写真集の歯車を再び動かすキッカケとなった。
カラーとモノクロ。この二つは、私という写真家を支える「並行世界」なのだと気づいたからだ。
モノクロで、心の奥底にある心象風景を、静かに沈殿させる。
カラーで、体温や光の粒が混じり合う、人の気配を感じる世界を切り取る。
一見すると対極にある二つの視点。しかし、色を取り除いた先に見えてくる骨格があるように、色を載せることで初めて浮き彫りになる情緒がある。
この境界線を明確に引くことができたとき、僕のなかで「写真家リョウ」としての軸が、より強固なものへと変わった。
現在、ようやく制作の「余白」が整った。
止まっていた時間は、決して無駄ではなかったと確信している。

2026年6月に、この100ページの物語を、まずは予約販売という形で皆さんの元へ届けることを決めた。
迷い、
遠回りし、
ようやく見つけた「静けさ」の現在地。
その断片を、これから少しずつここで綴っていこうと思う。
静けさを感じるモノクロ写真ギャラリー
忙しない日常に、
ほんの少しの静かな時間を。
光と影のあいだに、
言葉にならない何かが残る。
今、心に残った余韻の続きを——
Artgeneに置いています。
▼
▼



