モノクロ写真は下地で決まる。気配を残すための作り方。

モノクロ写真を撮り続けていく中で、あることに気がついた。
それは、「モノクロ写真は下地で決まる」ということ。

仕上げではなく、その前の段階ですでに空気は決まってしまうのだ。

正直、僕はLightroomの白黒プリセットを使えば、それなりに雰囲気が出るものだと思っていた。

色をなくすだけで、自然と静けさが生まれ、
それっぽい一枚になるはずだった。

しかし、実際にやってみると、何かが足りない。

ただの白黒写真で、軽い。浅い。何も残らない。

同じ場所で撮っても、同じように編集しても、
なぜか、想いが見えてこない。

そんな違和感を抱えたまま、
表に出すことのないモノクロ写真ばかりを作り続けていた。

コントラストを調整してみたり、
黒を締めてみたり、
粒子を加えてみたり。

どれだけ整えても、決定的な何かが足りない。

そんなある日、ふと気づいた。

モノクロは最後で決まるものじゃない。
その前の段階で、写真の空気感はすでに決まっている。

静けさを写すこと。
そして、気配を残すこと。

そのために必要なのは、
モノクロにする前の“下地づくり”だった。

モノクロは「加工」ではなく「設計」

モノクロ写真というと、最後に色を抜いて仕上げるものだと思われがちだ。

だけど実際には、その前の段階で世界が決まってしまう。

光の入り方、
コントラストの設計、
空気の密度。

それらが整っていなければ、
どれだけ丁寧にモノクロ化しても、ただの白黒写真で終わってしまう。

逆に言えば、下地の時点で世界が整っていれば、
モノクロ化は“整えるだけ”の工程と言えるだろう。

だから僕は、モノクロを「加工」ではなく「設計」として捉えている。

ー写真家リョウのモノクロ設計ー
 Luminar Neoで世界(下地)を作り、Photoshopでモノクロに設計する。

Luminar Neoで作る、空気の下地

今回、モノクロになる写真はこちら。


撮影 : 写真家リョウ

僕のモノクロ写真は、
Luminar Neoで下地を作るところから始まる。

ここでやっているのは、単なる補正ではなく、
「どんな空気を残すか」を決める作業だ。

主な下地設計の流れは、こうだ。

・コントラストで“奥行き”をつくる
・光で“視線”を整える
・色温度で“気配”を残す

普通のモノクロ写真と、写真家リョウのモノクロ写真と何が違うのか。

説明より、見てもらう方がわかりやすいということで、まずはこちらを見てほしい。

【白黒フィルターを適用しただけの場合】

【写真家リョウが調整したモノクロ加工】

どちらが良いというわけだはなく、僕の場合は、「奥行き感、静けさ、気配」を表現したモノクロ写真だ。

これには、下地から整える必要がある。

コントラストで“奥行き”をつくる

まず意識しているのはコントラスト。

強くしすぎれば情報は整理されるが、空気は失われてしまう。
弱すぎれば、全体がぼやけてしまう。

大事なのは、立体感ではなく“奥行き”をだすこと。

奥に空気が続いていくような感覚を意識して、
コントラストを微調整していく。

光で“視線”を整える

次に、光のバランス。

どこに視線を置くのか。
どこに余白を残すのか。

明るさはただの露出ではなく、
写真の中での“視線の流れ”を決める要素になる。

ここで無理に持ち上げすぎると、
本来あった静けさが壊れてしまう。

色温度で“気配”を残す

僕のモノクロ写真は、ほんの少しだけブルー寄りにしている。

温かみのある色に寄せると、人の存在や感情が前に出てくる。
一方で、少し温度を下げることで、空間や余韻が残りやすくなる。

静けさだけで終わらせないために、
気配を残すために。

そのバランスを、ここで整えている。

下地で決まる「静けさ」と「気配」

ここまでの工程でやっていることは、
すべて同じ方向を向いている。

それは、静けさをつくること。
そして、その中に気配を残すこと。

モノクロにする前の段階で、
すでにその写真の“温度”や“密度”は決まっている。

だからこそ、この下地づくりが一番重要になる。

【加工前】

【加工後】

加工前より加工後の方が、コントラストが強くなり、彩度も上がっている

これが、モノクロ写真でメリハリを出すためのポイントになる。

Photoshopは「残す」ための仕上げ

下地が整ったら、最後にPhotoshopでモノクロに仕上げている。

ただ、この工程は「作る」というより、
すでにある空気を“壊さないように残す”作業に近い。

コントラストを強くしすぎないこと。
黒を締めすぎないこと。
情報を削りすぎないこと。

ここでやりすぎてしまうと、
せっかく作った気配が消えてしまう。

だからこそ、あくまで微調整にとどめている。

【モノクロ写真の完成】

まとめ:モノクロは、最初に決まっている

モノクロ写真は、最後の仕上げで決まるものではない。

その前の段階で、すでに空気は決まっている。

静けさを写し、気配を残すために必要なのは、
モノクロにする前の“下地づくり”。

もし、モノクロにしても何かが足りないと感じているなら、
それは仕上げではなく、その前の工程に原因があるのかもしれない。

Luminar Neoについて

今回紹介した下地づくりは、主にLuminar Neoを使って行っている。

直感的に操作できるだけでなく、空気感や質感のコントロールがしやすく、「設計する編集」がしやすいツールだと感じている。

実際にどんな機能を使っているのか、どこが他のソフトと違うのかについては、こちらで詳しくまとめている。

現役写真家が、実際に使った感想

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