朝8時。通勤ラッシュの駅のホームは、少し早足の気配で満ちていた。
湿気を帯びた空気のせいか、電車の窓ガラスがほんのり曇っている。
しばらくして列車のドアが開き、乗り換えのためにドアを出ようとした時、ドア枠から一つの雫が落ちたのを見た。
この一つの雫が、人混みが苦手な僕の心を落ち着かせてくれた。
今日、雨の日の撮り歩きに選んだ場所は、京都の出町柳(でまちやなぎ)。
6月に予定している『東京中目黒』の下見前に、地元・京都で自分自身が「静けさ」や「余韻」をどれだけ丁寧に感じとれるのかを確かめるため。
出町柳は、どことなく中目黒に似てるところがあるようだ。
川沿いにあるレトロな建物、川に浮かぶ雨の雫が見れる場所、傘越しに感じる雨の静けさ。
出町柳は京阪電鉄で向かうことになり、特急を乗れば早く着く。だけど、今日はあえて準急に乗のった。
終点の出町柳までは時間がかかるけれど、その分、流れる景色も人も観察できるし、ゆったりした時間を感じることができる。
四条を過ぎたあたりから、だんだん車内の人影が減っていく。
アナウンスで告げられる一駅ごとの名前が、まるでリズムのように静けさへと誘ってくれる。
そして、出町柳に到着。

傘を差しながら歩き出すと、雨の音が周囲の喧騒をそっと包み込むように、静けさが深まっていくのを感じた。
最初に向かったのは「糺の森(ただすのもり)」。
参道に差し込むやわらかな雨の光が、地面をしっとりと濡らし、木々の葉が静かに揺れていた。
鳥の声も、足音も、雨音も、すべてが繊細なレイヤーのように重なって、世界がひとつの静寂に溶けていく。
そのまま鴨川まで下り、川沿いを四条方面へと歩く。
この日の雨は『しとしと』というより、『バシャバシャ』と言った感じだが、その雨音もまた心の疲れを洗い流してくれる。
水かさが増した川の勢いと、しっとりと濡れたレトロな橋の佇まいが、対照的で美しい。

人の気配が少ない雨の日の川辺は、どこか時間が止まったように感じられる。
ベンチに腰をかけようとしたが、濡れていて断念したけど、それさえも心地よい。
濡れた木の質感、誰も座っていないベンチが、雨の日の静けさを演出している。
雨が街の表面に溜まったざらつきや疲れを、そっと洗い流していくような気がした。
こうして、少しずつ心に余白が戻ってくる。
焦りが溶け、静けさが戻ってくる。
「静かな余韻」は、見つけようとするよりも、その場に“ただ居ること”で自然と訪れるものなのかもしれない。
『静かな余韻を楽しむ京の町 — When Rain Washes the City Clean —』
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