RAW現像と聞くと、
「明るさを整える作業」
「色味を調整する工程」
そんなイメージをもっている人が多いかもしれません。
写真家にとってRAW現像は、ただの調整作業ではなく、この写真をどこで終わらせるかを決める時間なんですね。
シャッターを切った瞬間に写真が完成するのではなく、それはまだ途中段階。
現像をすることで、自分らしく独創的な写真に仕上げることができます。
目次
RAWは未完成なデータである
RAWデータは、よく「生データ」と言われます。
それは決して誇張ではなく、RAWは最初から未完成な状態として存在しています。
JPEGはカメラがすでに判断したデータで、コントラスト、色、シャープネス――すべてが自動的に決められてしまいます。
なのでJPEGは、撮った写真データを現像せずに、そのまま納品する場合に向いているデータです。
いわゆる『撮って出し』と呼ばれるもの。
一方RAWは、「どう仕上げるか」を写真家に委ねたデータです。
情報が多く残っているため自由度も高く、そして同時に「どう仕上げるのか」の判断も必要になります。
クライアントのイメージに寄せるのか、
自分らしい写真の質感を載せて仕上げるのか。
写真はシャッターで決まらない
写真は、シャッターを切った瞬間にすべてが決まるわけではありません。
撮影は、あくまでも素材を集める工程に過ぎず、RAW現像は、その素材から何を選び取るかの工程です。
同じRAWデータでも、人が違えば仕上がりはまったく変わります。それは操作の違いというより、何を大切にするかの違いです。
写真の質感をどのように見せるか、自分がイメージしたカラーをどのように再現させるかなど。
心の中にある世界を、撮影した写真に載せていくようなものだと僕は思っています。
RAW現像で最初に見るのはスライダーではない
RAW現像を始めるとき、いきなり露出やコントラストを触ることはほとんどありません。
まず見るのは、写真の中の光です。
・どこが一番明るいのか
・視線はどこへ流れるのか
スライダーを動かす前に、写真の中で起きていることをじっくり観察し、そして理解します。
自分で撮った写真だけどこの部分の理解ができていないと、独自性のある写真を作ることはできません。
RAW現像は、「直す作業」ではなく「読み取る作業」から始まります。
そして、仕上がりイメージを目指してスライダーを調整していく。
それが、RAW現像です。
明るさを直すのではなく、光を整える
RAW現像でここがよく勘違いをされることなんですが、露出補正は、暗いから明るくするためのものではありません。
RAW現像は、光の流れを整えるためのものです。
全体を明るくすることで写真が平坦になることもあれば、少し暗さを残すことで空気感が生まれることもあります。
特に雨の日や曇りの日の写真は、無理にコントラストを上げない方が、その場の静けさが残ります。

無理に明るくしてしまうと『雨の日』らしさがなくなってしまい、静けさより違和感が前に出てしまいます。
「暗すぎる」と感じた時に、ほんのり露光量を加える程度。
これが、『光を整える』考え方です。
完成させすぎないという選択
RAW現像では、「どこまでやるか」を決める必要があります。
例えば、コントラストを上げれば写真は分かりやすくなります。シャープをかければ輪郭はハッキリします。
だからと言って、やりすぎると写真から余白やストーリーが消えてしまいます。
つまり、完成させすぎないこと。
見る人の感情が入り込む余地を残しておくこと。それが、僕がRAW現像で一番大切にしていることです。
まとめ
RAW現像は操作の技術ではなく、『現像をどこで終わらせるかを決める時間』なんです。
何を足すかより、何を残すか。
シャッターのあとに続く、もうひとつの写真制作とも言えるでしょう。
次回は、「光をどう読むか」について、もう少し深く掘り下げていきたいと思います。
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