人はいつかはいなくなるもの。
両親だったり、兄弟だったり、パートナーだったり、友人、大切な人など。
とても悲しいことだけど、それが現実だと思うことがある。
だけど、そのような人たちの思いに関われる写真撮影って、どんなことよりも価値を感じるのは僕だけだろうか。
先日、仕事の帰りにとても幻想的な夕暮れに出会い、その夕暮れを見ていると、ある話を思い出した。
心温まる作品「最後の夕暮れ」
僕が撮った写真で制作した、今回紹介する作品は『最後の夕暮れ』。
この作品の『最後の夕暮れ』というタイトルを見ると、悲しい話に思うかもしれないが、そういった意味で付けたわけではない。
その作品には、年老いた画家とその孫の心温まるストーリーがある。
ある年老いた画家がいた。
彼は長年にわり、秋の幻想的な夕暮れの景色を描き続けてきたが、ある病によって絵を描くことができなくなってしまった。
そんなある日、お見舞いにやってきた孫が、祖父(画家)にこう聞いた。
「もし、また最後に絵が描けるならどんな絵が描きたい?」
すると、画家はこう答えた。
「これまでたくさん夕暮れを描いてきたから、やっぱり最後も夕暮れを描きたい。夕暮れの色は、私の画家人生には必要な色だからね」
孫はその言葉を胸に刻み、祖父が描いた夕暮れの作品をたよりにその場所を巡りながら、画家がこれまでに見てきた夕暮れの写真を撮り続けたのである。
やがて画家が旅立ち、その後、孫は祖父の遺したスケッチと自分の撮った写真を並べ、一枚の額装作品にして部屋に飾った。
その今井の額装作品は、祖父の人生そのものでもあり、観る人の心に静かな感動を与え続けている。
僕が見た夕暮れ
この話はずいぶん前に聞いた話で、詳しいところまでは覚えていないが、写真家をしているとこう言った話を聞くこともある。
各地で写真を撮り歩いていると、いろいろな人に声をかけられることもあり、さらに他の写真愛好家と撮影を共にすることも。
僕は仕事の帰りに風景写真を撮ることがあるが、この日の夕暮れはとても幻想的で、綺麗なオレンジ色の水彩絵の具で空を描いているかのようだった。
その夕暮れを見ると、さっき話した『年老いた画家とその孫の心温まる話』を思い出した。
僕はその孫のように、2種類の夕暮れの額装作品をつくることにした。
年老いた画家の思い描いた夕暮れ
上記の額装写真は年老いた画家が描いた作品ではないが、僕が出会った夕暮れは、もしかするとその画家が思い描いた最後の夕暮れだったかもしれない。
そう思うと、いつの間にか一眼レフを取り出して写真を撮っていた。
画家と孫の共演作品
もちろんこの2つの作品は画家と孫の作品ではないが、僕はどうしても、年老いた画家が描いた夕暮れの作品と孫が撮り歩いた写真が額に入れた作品をイメージしてつくりたかった。
こうして生まれたのが、上記の額装作品である。
1枚目は僕が見た夕暮れの写真をそのまま使い、2枚目の作品では、中央に夕暮れのシェイプを反転させている。
この写真作品は、高品質なジークレー印刷で仕上げられ、美しい色合いを再現できる素材で印刷されていて長期間飾られても色が劣化しないのが特徴だ。
最後に
今回紹介した夕暮れの写真作品は、実際に僕が滋賀県のある町で撮影した夕暮れ写真。
見る人によってはただの夕暮れの写真かもしれないが、僕はこの時の夕暮れを見て、以前に聞いた、年老いた画家と孫の心温まる話を思い出して撮った写真である。
今でもこの写真を見ると「親孝行したい」と思えるのは、画家と孫の強い絆を感じたエピソードを思い浮かべて撮ったからかもしれない。
ぜひあなたもこの夕暮れの写真を見て、家族との絆を大切にしてほしい。

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