【Photoshop写真加工術】撮影した写真をシネマティックに加工して映画風の質感にする方法

こんにちは、アート×写真家リョウ(@ryo_creativephoto)です。

「映え写真」「エモい写真」などという言葉が日常的になってきましたね。

今の世の中では写真家は、モデルに依頼してポートレート撮影をするだけでは、知名度を上げることが難しくなってきています。

スマホのカメラ機能の進化や一眼レフカメラを持つ人が多くなってきたことで、写真を撮影して公開する人が増えてきたことが1番の理由です。

僕の予想では今後、シネマティック写真やアートな写真を撮る人がさらに増えて、写真家としての知名度を上げるために「撮り方動画」を公開する人がもっと増えていくと予想しています。

いやすでに出尽くしていると言ってもいいでしょう。正直、アート×写真家をしていて危機感を感じています。

でもそんな時代がきても、写真家として差別化にできる方法があります。

その方法とは「経験と技術 × 自分なりのこだわり × ブランディング」の仕組みです。

僕が現在コンセプトにしている写真というものが、僕だから撮影できるストーリー性のあるシネマティック写真です。

今回はその中の「シネマティック写真に加工する方法」について話したいと思います。

僕が何を使ってどのようにシネマティック写真をつくっているのか、ぜひ参考にしてもらえると嬉しいです。

リョウ

僕が写真加工に使うアプリは「Photoshop(フォトショップ)」です。ぜひ今回の記事を参考にして、あなたらしい写真をつくってください。

Photoshopについて詳しい記事を、芸術系のブログ「理想的芸術生活」の方で解説しているので、詳しくはこちらをご覧ください。



Photoshopでシネマティック加工

僕が写真を加工する時に使うアプリは「Photoshop」のみです。

ポートレートで撮影した写真をレタッチする時はLightroomを使いますが、Lightroomは肌の補正、色調補正、サイズ調整に使用し、アートのような質感に加工をするのは全て「Photoshop」を使います。

では早速、僕が研究してきたシネマティックな写真の、左 / 加工前(Before)と右 / 加工後(After)の写真を見てください。



僕の頭の中でイメージしている古びたフィルム感を出すために、1年間かかりました。

まず、頭の中でイメージしている質感がどんなものか明確にするために映画を見て研究し、古びた色の出し方、古いカメラで撮影したらどんな質感になるのか。フィルムっぽく見えるみは何が必要なのか

現在はスマートフォンでも一眼レフでも、カメラの性能が進化して画質も輪郭も色も全て綺麗に写すことができます。

だけど僕のように、レトロ調のシネマティック写真を撮る者にしてみると、綺麗すぎてレトロ感を伝えにくいところがデメリットなんです。

そこで僕はグラフィックデザイナー時代に身につけた、Photoshopのスキルを使って写真をシネマティックに加工をすることにしました。

最初は納得がいかず、何度も作り直しましたが、研究を続けてきたことでようやく頭の中のイメージを形にすることができました。

Photoshopで映画風に加工する流れ

それではここから、僕がシネマティック写真に加工をする流れを解説していきますが、人物を撮影した写真は、あらかじめLightroomでレタッチしておきましょう。

自然な美肌補正(レタッチ)はこれ!Lightroom CCで簡単に美肌にする方法

リョウ

ここでは僕が使用している「iMac」と「Photoshop CC2020」で解説しています。

新規でカンバスを作成する

まず最初に「ファイル」→「新規」→ドキュメントの種類をカスタムで、幅「1080px」縦「1350px」解像度「72」でカンバスを作成します。

幅「1080px」縦「1350px」解像度「72」のカンバスを作っているかというと、今回の場合はSNSに投稿をすることを目的としているからなんです。

上記のサイズであれば、インスタグラム、Twitter、Lemon8など、どのSNSにも対応ができるサイズになっています。

Lemon8については、芸術系のブログ「理想的芸術生活」の方で解説しているので、詳しくはこちらをご覧ください。



元の写真を配置する

次に、元となる写真を先ほど作成したカンバスに配置します。

今回のような加工をする場合は、人を惹きつけるようなストーリーが想像できる写真だと、より魅力のある写真になります。

エモい写真の撮り方。構図を意識してストーリー性を感じるエモい写真にする方法を公開

今回の場合は、こちらが元になる写真です。

ただこのままだと、作成したカンバスと元の写真の比率が違うので、元の写真を拡大して左右をカンバスに合わせます。

少し上下が切れてしまいますが、左右の余白がなくなりました。

拡大する時のポイントは、バウンディングボックスの角を「shift+command」を押しながら左クリックしたまま外側にドラックすると、写真の比率がそのままで拡大したり縮小したりできます。

4つの角(どの角でもOK)にあるポイントに合わせて、「shift+command」を押しながら左クリック。

先ほど配置した元の写真をわかりやすいように、レイヤー名を「photo-1」などに変更しておくと、後の作業で見失うことがありません。

元の画像を複製して非表示にしておく

先ほど配置した元の画像「photo-1」を「command+J」で複製し、レイヤー名を「photo2」に変更して非表示にしておきましょう。

今の時点では「photo-1」が表示されているということになり、後ほど「photo-2」を使います。

「photo-1」を白黒にする

次に「photo-1」の写真に、画像に書かれている「1→2」の順にクリックして「白黒」を適用します。

「白黒」を適用するとこのようなモノクロ写真になりました。

今回使用している写真の場合、「白黒」を適用しただけだと全体が暗い写真になってしまうので、上記画像の右側の数値を変更していきます。

プリセット→「初期設定」
レッド系→「70」
イエロー系→「57」
グリーン系→「32」
シアン系「58」
ブルー系「58」
マゼンタ系「105」

にすると適用しただけより、ほんのりと明るくなりました。

それでも暗い場合は、「レベル補正」や「トーンカーブ」を適用して明るくしたり、コントラストを調整していきます。

「photo-1」に「ぼかし(ガウス)」を適用する

ある程度モノクロの調整ができたら、「photo-1」の写真にほんのりとぼかしを入れます。このぼかしを入れることで、フィルムカメラのような少しぼやけた輪郭を表現することができます。

まず「ぼかし(ガウス)」を適用する前に、「photo-1」レイヤーを選択→右クリック→「スマートオブジェクトに変換」を適用してくと、ぼかしの修正がしやすくなります

「photo-1」のレイヤーを選択して、ツールバーにある「フィルター」→「ぼかし」→「ぼかし(ガウス)」を選択。

今回の写真では「半径 : 2.4pixel」にして適用しました。

現時点で、モノクロ写真がほんのりとぼやけた感じになっているはずです。

ポイントは、ぼかしすぎず、ほんのりボケている感じを出すこと

複製した「photo-2」を表示する

ここでようやく最初の方で複製した「photo-2」のレイヤーを表示(下記画像の1)し、描画モードを「スクリーン(下記画像の2)」にします。

 

すると、少し色あせた古びた写真のような質感を出すことができます。

このままでもオールドフィルムっぽくなるのですが、もう少し味付けをしていきましょう。

劣化した感じを表現する

まず、下記のような傷のような画像素材を用意し、レイヤーの一番上に配置します。

こういった素材はフリーのものもあれば、有料のものがあるのでGoogleで探してみてください。

ちなみに僕はよく使うのは、「Pixabey(ピクサベイ)」というフリー素材のサイトを使ったり、仕事で素材を使う場合は有料の「iStok」というサイトを使います。

テクスチャをレイヤーの一番上に配置したら、描画モードを「スクリーン」→不透明度を「24」にします。

すると、先ほどよりリアルに劣化した古い写真のようになってきます。

上記の画像では少しわかりにくいかもしれないので、配置したテクスチャのレイヤーの左にある目玉マークを非表示しして見比べるとわかりますよ。

最後に黒ぼかし枠で映画風の写真の完成

最後は写真の4隅にほんのりと黒いぼかし枠を重ねることで、レトロで古びたシネマティック写真の完成です。

では、黒のぼかし枠を作っていきましょう。

一番上に新規のレイヤーを作成し、黒く塗りつぶします。ツールバーの「編集」→「塗りつぶし」→「内容 : ブラック / 描画モード : 普通 / 不透明度 : 100%」→「OK」。

レイヤー名を「黒ぼかし枠」など、わかりやすい名前に変更しておきましょう。

マスクを適用し、中央の黒い部分をブラシツールで消していきます。

マスクツール(1)をクリック→ブラシツール(2)を選択→カラー(3)が黒になっていることを確認→マスクのアイコンが選択されていることを確認する。

写真の中央部分の黒塗りが消えて、4隅にほんのりと黒い縁が残る程度になるまでブラシツールで消していきます。

この時のブラシの設定は、「ぼかしブラシ30」不透明度「100%」流量「100%」滑らかさ「60%」にしました。

そのままだと4隅の黒い部分が目立つので、「黒ぼかし枠」レイヤーの不透明度を「56%」まで下げました。

こうして完成した写真がこちらです。

リョウ

ここまでお疲れ様でした!Lightroomではここまでできないので、加工する場合はPhotoshopを使った方が効率もよく、写真の自由度も上がります。

まとめ

今回は僕が撮影した写真をシネマティックな質感に加工する方法を解説してきましたが、いかがでしたか?

少し劣化した古びたレトロ写真のような味のある写真にしたい場合によく使う手法ですが、全ての写真に合うわけではありません。

元となる写真によっては、逆効果で魅力が下がってしまうこともあるので、まずは上記の手法を試して合わなかった場合は、今回の方法を参考にして、あなたらしいシネマティック写真に加工してみてください。

こうやって研究していくうちに、自分らしい写真の質感を見つけることができて、他の写真家との差別化をすることができます。

まずは、あなた自身が好きな写真家の質感の真似をすることが大切で、それを元にオリジナル化していけばいいのです。

成功している写真家の技術を、どんどん真似していきましょう。

最近は写真家の中で話題になっている『Luminar Neo(ルミナーネオ)』だと、Adobeよりも簡単に映画風の写真を作ることができます。

実際に僕が『Luminar Neo(ルミナーネオ)』を使った感想をまとめた記事があるので、興味があればそちらを読んでみてください。

Luminar Neoレビュー | Adobeとは違うRAW現像ソフトを使った感想