2つの『ストーリー性のある写真』の違い
僕は「“ストーリー性のある写真“には2つの種類がある」と考えています。
一つは、芸術的な意味でのストーリー性のある写真。
アート作品として捉えたもので、ある写真を見た人がその写真の見えない背景を想像したり、未来の姿を想像したくなる写真。
主に心の癒しを目的にしたり、新しいアイデアを浮かばせるための、心に刺激を与えるためのストーリーです。
もう一つは、仕事につながるストーリー性のある写真。
ある商品の写真を見て、自分がその商品を使用しているのをイメージして購入したくなる写真。
こちらは主に、写真を見た人が『自分ごと』として感じて、未来の行動に繋げるためのストーリーです。
「未来の姿を想像する」と言った点を考えれば、どちらも同じ『ストーリー性のある写真』と言えるかもしれません。
だけど前者は「未来の自分への憧れを想像させるもの」で、後者は「現在の自分に必要なものだと認識させること」だと僕は考えています。
では「現在の自分に必要なものだと認識させること」について、もう少し考えてみましょう。
商品価値を伝えるストーリー
商品の価値を伝えるストーリーとは、ある商品を実際に使用していることが想像できて、その商品が今の自分に必要だと感じてもらうためのストーリー。
では3つの写真の例を見てみましょう。
【スキンケアのイメージ写真】
UnsplashのToa Heftibaが撮影した写真
上記のスキンケアのイメージ写真を見ると、自分から見た目線でスキンクリームを手に取る様子をイメージして「このクリームをつければ写真のようなスベスベ肌になって恋人が『綺麗だね』と喜んでもらえる」と言うストーリーが想像できます。
【グルメのイメージ写真】
UnsplashのFarhad Ibrahimzadeが撮影した写真
上記のグルメのイメージ写真を見ていると、自分がそのお店に行ったことを想像し、ゆったりした空間で目の前に置かれたその料理を堪能している姿を想像することができます。
味、香り、ゆったりした感覚、店内に流れてくるBGMも頭によぎって、だんだんそのお店にいきたくなる。
そのようなイメージ写真を撮ることで写真を見ている人が、“自分ごと”として印象をもって行動に移すことができます。
【お出かけのイメージ写真】
UnsplashのNick Linnenが撮影した写真
そして上記は旅やお出かけの時に持っていく、オススメのリュックをイメージした商品写真。
「このリュックの大きさならちょっとしたお出かけ時でも持ち運びがしやすくて、疲れにくく色々な場所を巡ることができそう」と言うイメージをもつことができます。
このように、その写真を見た人が自分ごととして感じ取ることができて、さらにその商品をもっている、あるいいはその場にいるかのようなストーリーを想像できる写真。
それが、商品価値を伝えるストーリー写真というものだと僕は考えています。
写真家に求められるスキル
これからの写真家に求められるスキルは、写真を見た人が『自分ごと』として考えることができる写真を撮ること。
ここまで話してきた『ストーリー性のある写真』は、アート写真のような非日常的な写真作品とは違い、その先の行動に移せる写真でなければいけません。
なのでアート写真のように自分の心の中の世界を表現した写真より、写真家自身が行動したくなる写真を撮ることが求められています。
料理の写真を斜め45°から撮った写真では心を動かすことはできないので、その写真を見て「このお店に行きたい!」と思ってもらうには、どんな効果を写真に入れれば良いのかを考える必要があります。
そうなってくると写真家に求められるスキルは、写真技術プラス『マーケティング』のスキルが必須となるでしょう。
マーケティングのスキルを身につけることができれば、アート写真の作品を購入につなげたり、写真撮影の依頼につなげることができ写真の魅力へとつながるでしょう。
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