「心を揺さぶるエモい写真はどうやって撮るの?」
感情が揺さぶられる「エモい写真」が撮れるようになると、映える写真以上に興味をもってもらうことができます。
SNSでフォロワーを増やすためには、独自性があって心を揺さぶる『エモい写真』を投稿するのが効果的。
今回は、一眼レフ初心者でもエモい写真が撮れる方法についてまとめてみたので、ぜひ最後まで読んでみてください。
本記事を書いている僕は現在シネマティック写真を撮ることが多く、常に心を揺さぶる写真いついて研究しているため、今回の記事を書きました。
アート写真家リョウの写真撮影のコンセプトはこちら。
目次
「エモい写真」とは心を揺さぶる写真
『エモい写真』とは、心が揺さぶられる写真のことだと僕は考えています。
Googleで調べると「エモいという言葉は感情を揺さぶるエモーショナルからきている」と説明をしている記事を見ませんか?
本記事でも「心が揺さぶられる写真=エモい写真」と説明しています。
『エモい写真』は、映え写真のようにインパクトを与える写真ではなく、感情に訴えかけることを目的にした写真。
例えば、映え写真は見た目に対して見栄えをよくしたり派手にするなど、写真写りに対してこだわった写真という印象。
映え写真は「カラフル、かわいい」と言ったのが映え写真の特徴だと言えます。
【映え写真の場合】
UnsplashのBoba Jaglicicが撮影した写真
そして『エモい写真』は、その写真を見た人の感情を揺さぶって、行動したくなるような写真。
【エモい写真の場合】
UnsplashのErik Witsoeが撮影した写真
エモい写真を見ていると、次のような要素があることに気がつきました。
- ほんのり暗め
- その写真の見えない背景(情景)を想像してしまう
- 映画のワンシーンみたい
ほんのり暗め
エモい写真を見ていると、ほんのり暗めの写真が多いことに気がつくと思います。
もちろん中には明るめの写真もありますが、感情が揺さぶられる写真は『ほんのり暗め』の写真が多いです。
例えば、こちらのインスタアカウント『@miyu_sparkle』様のような写真です。
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全体的に映え写真のようにカラフルで明るめというより、感情が揺さぶられるような写真が多く、ほんのり暗めでドラマチックな写真が多いです。
僕の写真もほんのり暗めですが、暗さの種類が違いますよね。
この投稿をInstagramで見る
僕の写真は『ダーク』感が強いんですけど、『@miyu_sparkle』様の写真は同じ暗めでもオシャレですよね。
その写真の見えない背景(情景)を想像してしまう
そしてこれもエモい写真の特徴で、写真を見ていると撮影している時の情景、写真家の人生、その写真の未来のストーリーを想像してしまいます。
「どんな場所で、どんな環境で撮られた写真なのだろう?」
「この写真にはどんな想いが込められているのだろう?」
「この写真の場所に行って自分もドラマチックな写真が撮りたい!」
というように、頭の中で見えない背景を想像したり行動に移したくなります。
映画のワンシーンみたい
エモい写真を見ていると、映画のワンシーンのように物語の一部を切り抜いたような写真に見えてきます。
僕はこれを「シネマチック写真」と呼んでいて、僕自身の写真の特徴を『映画のワンシーンのようなシネマティック写真』と名付けました。
下記の写真が『シネマティック』を意識して撮った写真です。
実は、エモい写真とシネマティック写真は『感情が揺さぶる』という点で似ています。
なので、エモい写真を撮ることができたらシネマティック写真を撮ることもできます。
エモい写真の撮り方
それでは、エモい写真はどうやって撮るのかですが、エモい写真は、あなたが「この瞬間、すごくドラマチックだ」と感じたものを撮ればいいんです。
と言うと漠然としすぎて解説になりませんよね。
では僕がいつも、エモい写真(僕の場合はシネマティック写真)を撮る時に意識していることを共有します。
エモい写真は「構図」を意識する
「エモい写真」を撮るには、ドラマチックに感じる構図を意識して撮ることです。
構図とは
構図とは、被写体をフレーミングのどの位置に置いて、どれだけ背景を入れて余白をどのように入れるかを考えて写真のバランス作り上げることです。
構図について、詳しく下記で解説しています。
構図には次のような種類があります。
・黄金比
・白銀比
・青銅比
・三分割構図
・日の丸構図
こういった構図に被写体をはめていくことで写真のバランスが良くなり、エモい写真を撮ることができます。
中でもよく使われている構図が「三分割構図」です。
三分割構図
三分割構図は、画面を縦横三分割にして交わる点の部分に被写体の見せたい部分を配置するだけでいいので、瞬時にイメージがしやすくて簡単です。
被写体を配置していない部分、つまり余白部分にドラマが生まれやすいのでオススメです。
モデルの右側にできた余白にストーリーが生まれます。
この余白にできたストーリーが写真を見た人の心を揺さぶって、未来の行動につながります。
【余白にできたストーリーとは?】
余白にできたストーリーとは「何もない部分だけど何かの意図があって作られた」と写真を見た人がその余白の意味を想像して頭の中で物語を作ってしまうこと。
例)撮影した時の情景を想像する、その写真が伝えたえたいことを想像するなど。
これが『エモい写真』です。
「エモい写真」は光と影を意識する
「エモい写真」を撮るときに意識することは、光と影の使い方もポイントになります。
フォトグラファー(Photographer)とは、ギリシャ語で「光を操る人」と言う意味があります。
光を上手に使うことが写真上達につながると言われるほど、光の使い方はとても重要なこと。
心が揺さぶられるエモい写真を撮るには光と影のバランスを考えて、自然光をどのように使うかで写真の見え方が違ってきます。
では、エモい写真によく使われる光を2つほど紹介します。
オレンジの夕日で「エモい写真」にする
夕日のオレンジ色の光は人物の感情を表現しやすく、撮られる側(モデルさん)もリラックスした表情になって「エモい写真」になります。
この撮り方のポイントは、モデルから見て夕日が目の前にある位置で撮ること。
ただモデルからしたら目の前に光がくるので、眩しい 表情になってしまいますよね。
なので上記の写真のように、下を向いてもらうか横を向いてもらうことがコツ。
それだけでもエモい写真を撮ることができます。
逆光でシルエットに撮って「エモい写真」にする
[ Model 海国りんさん(@mikunirin_)]
あえて逆光(モデルの真後ろに夕日がくる位置)で人物をシルエットに撮るのも、エモい写真にはオススメです。
さらにシースルーの長めの布を羽織ってもらうと、アートのような写真にもなります。
一眼レフの設定は、表情がほんのりと見えるか見えないかくらい暗めにして、何回か試し撮りしながら明るさを調整していきます。
【明るさを調整するコツ】
できればISO感度は小さく『シャッタースピード』か『露出補正』で明るさを調整するのがオススメです。
レトロな質感で「エモい写真」にする
最近は一眼レフもさらに進化して、色調、コントラスト、明るさなど、とても綺麗な画質で撮ることができます。
ただ「全て明るく綺麗に撮るのがエモい写真ではない」と僕は思っています。
その理由は、少しノイズが入った写真の方がレトロで懐かしさを感じるエモい写真になることもあるからです。
これはあくまでも僕の考えであって、明るくて綺麗な写真が悪いわけではありません。
ほんのり暗めでノイズが入った写真の方が、フィルム感が出て感情が揺さぶられやすくなるんです。
どちらかといえば僕の写真は少し暗めでノイズ調に加工することが多く、レタッチをしていて僕自身が感情が揺さぶられます。
例えば、こちらの写真。
夕暮れ時にススキの広がる草原で、モデルさんを撮影した写真です。
僕がイメージしていたレトロ感を表現しましたが、映画のワンシーンみたいにストーリーを想像したくなります。
次の下記の2枚の写真は、Lightroomでレタッチをした後に、Photoshopで古びたフィルム映画風に加工してみました。
ちなみに、古びたフィルム映画風の写真に加工する方法は下記の記事で解説しているので、そちらを参考にしてください。
僕はPhotoshopをメインに使ってレタッチをしています。
だけど2021年から知名度が上がってきたRAW現像ソフト「Luminar(ルミナー)シリーズ」も、Adobeのソフトと組み合わせて写真作品をつくることもあります。
ちなみに「Luminar(ルミナー)シリーズ」を使った感想はこちら。
「エモい写真」にオススメのレンズ
エモい写真を撮る時におすすめのレンズが「単焦点レンズ」です。
【Canon85mm単焦点レンズ】
単焦点レンズは、ズームレンズのようにズームリングを回してその場でズームしたり広角にしたりするレンズではなく、写真を撮る側が被写体に近づいたり離れたりして撮るレンズです。
よく「50mm単焦点」や「85mm単焦点」とか言われているレンズで、通称「ポートレートレンズ」とも呼ばれています。
単焦点レンズは、背景のボケ感を柔らかくしたり、ズームレンズより明るく撮ることができるので、ポートレート撮影では写真家にもモデルにも人気のあるレンズなんです。
もしあなたがポートレート撮影でモデルに声をかける場合、「単焦点レンズも持っています」と伝えると快く依頼を受けてもらえるかもしれません。
とくに「85mm単焦点レンズ」は、光の「玉ボケ」が可愛いと評判で、モデルにすごく喜ばれる魅力的なレンズです。
そんな「85mm単焦点レンズ」について書いた記事もあるので、詳しく知りたい場合はそちらをご覧ください。
僕の写真は「シネマティック写真」
ここまで「エモい写真の撮り方」について話してきましたが、僕が撮っている写真のテーマは「シネマティック写真」です。
元をたどると「エモい写真」も「シネマティック写真」も感情が揺さぶられる写真で似ています。
「エモい」の語源は、エモーショナル(emotional)からきていていると言いました。
一方、僕がテーマにしている「シネマティック写真」は、映画のワンシーンのようにストーリー性のある写真をイメージしています。
シネマティック写真を始めるキッカケとなったのは、僕が憧れているニューヨークが生んだ伝説の写真家ソール・ライターの作品を見たからなんです。
日常的でどこにでもある風景の中に、隠れた魅力的なワンシーンを撮った写真。
僕は写真家ソール・ライターの作品を見た瞬間、心が揺さぶられて写真家になろうと決めました。
そしてテーマにしたのが「シネマティック写真」だったんです。
写真家リョウのシネマティック写真を公開
[ Model Tomomiさん(@ikatomomi)]
現在僕が撮影している写真は「心が惹きつけられるストーリー性のある写真を撮影する」がコンセプト。
そんな写真には、次の3つの要素が入っているんです。
・映画のワンシーンのように見えるシネマティッイクな構図
・映画の質感(オールドフィルム調)にレタッチした写真
・撮影した背景(過程)がイメージできるストーリーを添える
少し簡単に説明をすると、日常でよく見る街の風景を撮る時に、カメラを向けた先の風景の中にいる人たちが、次に何をしようとしているのかをイメージしながら撮影する。
未来をイメージして撮影をすることで、被写体を構図のどこに置くとストーリーが想像できるのかを考えながら撮ります。
楽しく過ごした1日の余韻に浸る仲間
友達と買い物をして帰宅するために駅に向かうシーン(僕の想像)ですが、人ごみを避けて都会の裏道でゆっくり友達と話しながら帰りたそうな感じに見えてきました。
ポイントは、人物を遠くに置いて後ろ姿を狙いゴチャッっとした風景を撮ることで「帰宅感」を表現しています。
1日が終わろうとしている寂しそうな休憩室
この場所は、奈良の平城宮跡歴史公園の休憩室。
外からガラス越しに休憩室の中を撮影した写真です。
誰もいなくなった休憩室。夕日が反射したガラスに撮って、1日の仕事を終えた感を表現してみました。
このように何気ない日常的な風景を撮影して、その写真をLightroomを使って映画のような質感にレタッチします。
そうすることでその写真が、さらにストーリーを想像させて心を揺さぶってくれる写真へと進化します。
風景写真をシネマティックに撮る
日常的な風景写真も、シネマティックを意識して撮ると写真のイメージも違ってきます。
こんな感じに人物がいなくても、
「懐かしい」
「心が和む」
「この場所に行きたい」
と言うように、心が動かされることが「エモい写真」や「シネマティック写真」というものなんですね。
人はストーリーのあるものに興味をもつ
ここまで「エモい写真の撮り方」について話してきましたが、人はなぜ「エモい写真」に感情を揺さぶられるのでしょうか?
その答えは、人はストーリーを感じるものに興味をもつ生きものだからなんです。
例えば、下記のような人物のシルエット写真。
こちらの写真を紹介するときに、
「シルエットの写真を撮りました」
と説明するよりも、
「幻想的なエモい夕日の写真を撮ることをイメージしていたので、16:00から撮影をスタートしました。空が晴れていたこともあり、予想以上の幻想的な夕日だったのでモデルの方に夕日に背を向けてもらって、急いでイメージの合う撮影ポイントへ向かい、シネマティックなシルエットを撮りました」
と書いた方がその時の状況をイメージしやすく、その撮影した写真の背景を想像してその写真に『期待感』や『共感』が生まれて興味をもつことができます。
SNSの投稿はストーリー性をだすと共感されやすい
いくらエモい写真を投稿したからと言っても、ただ載せるだけでは見ている人からすればただの写真にしか思われません。
「へー、、、すごい」だけで終わってしまって、『いいね』はしてくれてもフォローやサイトへ訪れるまではつながらないんです。
SNSのアカウントに価値をつくるためには、そのアカウント全体にストーリーを感じる投稿をしていくことが大事なんですね。
先程のように「撮ってみました」の一言では、ストーリーを伝えることができません。
→いつ
→どこで
→誰と
→何を撮って
→何を感じたのか
を意識してコメントを書くだけでも、興味を持ってもらえます。
ただし、ストーリー性のある内容を入れて投稿したからといって、フォロワーが急激に増えるわけではありません。
大切なのは、ストーリーを感じる投稿を続けていくことなんです。
未来に期待させる
SNSの投稿で成功している人、いわゆるインフルエンサーの方の投稿を見ていると、ストーリー性があり未来に期待させる投稿が多いことがわかります。
「今日は〇〇でお茶をしました」
「前から行ってみたかった場所、〇〇へ旅をしてきました」
など、出発してから巡った場所、おすすめのものなどを上手に入れながら投稿しています。
そうした投稿を続けているとフォロワーから、
「次はどんな場所で何を進めてくれるんだろう」
「自分もこんな人生を過ごしい」
と未来に期待を持たせているんです。
写真も同じで上手に撮れた写真を投稿する場合、
「なぜその場所で撮影したのか」
「撮影した感想はどうだったのか」
と言う文章を書くことで、写真の中にストーリーが見えてきてそこから、
「次はどんな写真をアップするのだろう」
「自分もこんな写真を撮りたい」
と未来に期待をもたせることができます。
最後に
ここまで「エモい写真」を撮るための構図や光の使い方について話してきましたが、いかがだったでしょうか。
後半は僕がテーマにしている「シネマティック写真」について話していますが、基本を抑えれば似たような写真を撮りうことができるはずです。
構図や光を意識してエモい写真を撮って、さらに未来を期待させるようなストーリを載せればもっと価値のある写真になります。
おまけ「エモい写真」
おまけに、先日僕が撮影した写真を紹介します。
以前に僕は「モデル×着付け師×シネマティック写真家」のコラボ撮影会を企画したことがあります。
僕が魅力を感じている、アートな表現力を持つモデルの方と打ち合わせをするために大阪へ行った時の写真です。
大阪に着いたのは夕暮れ時だったですが、大阪の河川敷横の車道を車で走っていると、遠くまで見える河川敷の景色と鉄橋が、日が沈みかけているオレンジ色の光の影になっている光景に心が揺さぶられて、その日が沈む瞬間をずっと見ていました。
打ち合わせに向かう前は一眼レフを持って行こうか悩んだんですけど、その時はなぜか、
「もしかしたら今日の天気だと幻想的な世界が撮れるかも」
と思ったんです。もしかしたら僕は感が鋭いのかもしれません。そう思って一眼レフを持って自宅を出たのが正解。
幻想的な瞬間って、いつ、どこで撮れるかわからないですよね。
これからも出かけるときは、カメラを持って出かけるようにします。
もしかすると、思ってもないような幻想的な世界が撮れるかもしれませんね。
その時に撮った写真がこちらです。
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