エモい写真の撮り方。構図を意識してストーリー性を感じるエモい写真にする方法を公開
こんにちは、アート×写真家リョウ(@ryo_creativephoto)です。
最近よく聞く「エモい写真」。「エモい」とは、感情が揺れ動かされた状態を表した言葉で、20代〜30代を中心に使われるようになった言葉。
流行というのは早く「インスタ映え」という言葉も古く感じるようになってきました。
今の時代は、人の心を揺さぶる「エモい写真」が人気を集め、スマホでもエモい写真を撮ってインスタグラムに投稿する人がどんどん増えているので、写真家としてすごく危機感を感じています。
と言っても、どれだけ進化したスマホのカメラ機能をでも、一眼レフで撮る「エモい写真」は、また一味違った魅力的な写真になります。
ということで今回は、一眼レフを使って「エモい写真」を撮る方法についてまとめてみたので、ぜひ参考にしてください。
これから写真家を目指す人の、撮影技術向上になりますよ。
目次
「エモい写真」とはどんな写真?
冒頭でも言ったように、心が揺さぶられる写真のことを「エモい写真」と言われています。
「エモい写真」には光と影のメリハリがあり、その写真を見て頭の中で情景を想像させる楽しさを味わうことができたり、感動してしまうような写真です。
例えば、当記事のサムネイルにもなっている、僕がフリーモデルを撮影したこちらの写真。
この写真は、Canon7D MarkⅡに15-85mm標準レンズを付けて撮影した写真です。
夕暮れ時に半逆光で撮影して、オールドレンズで撮影したような光のフレア効果を入れて被写体にかぶせて撮りました。
多少、撮影した写真をAdobeの「Lightroom」でレタッチをしていますが、光(フレア)は撮影した時のままです。
このように、被写体のシルエット効果と光のフレアを入れることで「エモい写真」になります。
こういった写真は「インスタ映え」のようにインパクトのある写真と違い、写真を見た人が自分なりにその時の情景を想像してしまうため、心が揺さぶられて興味をもってしまうんです。
エモい写真の撮り方
ではここから「エモい写真の撮り方」についてシェアしていこうと思います。
「エモい写真」を撮る方法は、自分が一眼レフのファインダーをのぞいて
「この瞬間、なんかドラマチック」
と感じたものを撮ればいいんです。
「・・・・・・・?」
少し漠然とした説明になってしまいましたが、安心してください。
僕がいつも「エモい写真」を撮る時に意識していることをお伝えしますので、どうか最後まで読んでくださいね。
今回は、一眼レフ、ミラーレスで撮ることを前提に話していますが
「スマホでもエモい写真が撮りたい!」
と思った場合は、この後に話す「構図」と「被写体の光の当たり方」の項目を参考にしてください。
エモい写真は単焦点レンズが撮りやすい
エモい写真を撮る時におすすめのレンズが「単焦点レンズ」です。
単焦点レンズとは、ズームレンズのようにズームリングを回してその場でズームしたり広角にしたりするレンズではなく、写真を撮る自分自身が被写体に近づいたり離れたりして撮るレンズ。
よく「50mm単焦点レンズ」とか「85mm単焦点レンズ」とか言われているもの。
単焦点レンズは、背景のボケ感を柔らかくしたり、ズームレンズより明るく撮ることができるので、ポートレート撮影では写真家にもモデルにも人気のあるレンズです。
もしあなたがポートレート撮影でモデルに声をかける場合、「単焦点レンズも持っています」と伝えると快く依頼を受けてもらえるでしょう。
とくに「85mm単焦点レンズ」は、光の「玉ボケ」が可愛いと評判でモデルにすごく喜ばれる魅力的なレンズです。
そんな「85mm単焦点レンズ」について書いた記事もあるので、詳しく知りたい場合はそちらをご覧ください。
僕がいつもエモい写真を撮るときに意識していることは、次の3つ。
- ストーリーが想像できそうな構図を意識する
- 光と影のバランスを意識する
- 映画のような質感に加工する
「エモい写真」は構図を意識する
「エモい写真」を撮る時に意識している1つ目は、ストーリーが想像できそうな構図を意識して撮ることです。
構図とは、写真の中に被写体をどの位置に配置して、背景と余白をどう使うかなど、絵や写真全体のバランスを考えて作品をつくり上げていきます。
構図について詳しくはこちらの記事で解説しているので、ぜひそちらも読んでみてください。
構図について少し簡単に説明すると、次のような構図の種類があります。
- 黄金比
- 白銀比
- 青銅比
- 三分割構図
- 日の丸構図
こういった構図に被写体を当てはめていく事で、写真のバランスが良くなり心が揺さぶられる「エモい写真」を撮ることができます。
慣れないうちは構図について難しく思うかもしれませんが、街にあるポスターや広告、テレビドラマや映画を見ていると、ヒントとなる構図がたくさんあります。
そんな中でもよく使われている構図が「三分割構図」です。
瞬時にイメージがしやすい三分割構図は、ファインダーの画面を縦横三分割にして、交わる点の部分に被写体の見せたい部分を配置するだけでいいので簡単に使うことができます。
「エモい写真」の光と影の使い方
「エモい写真」を撮るときに意識することは「光と影の使い方」もポイントとなってきます。
フォトグラファー(Photographer)とは、ギリシャ語で「光を操る人」と言う意味があり、光を上手に使うことが写真上達につながると言われるほど、光の使い方はとても重要です。
心が揺さぶられる「エモい写真」を撮るには、光と影のバランスを見て、自然光をどのように使うかで写真の見え方が大きく違ってきます。
下を向くだけでも「エモい写真」になる
とくに、夕日のオレンジの光は人物の感情を表現しやすく、撮られる人もリラックスした表情になるので、とても「エモい写真」になります。
上記写真のように、夕日が当たっている時に、ただ下を向いてもらうだけでも感情が溢れてきます。
完全な逆光で顔が見えなくても「エモい写真」になる
[ Model 海国りんさん(@mikunirin_)]
あえて逆光で人物をシルエットに撮る。このような光の使い方も「エモい写真」になって心が揺さぶられる写真になります。
一眼レフの設定は、表情がほんのりと見えるか見えないかくらい暗めにして、何回か試し撮りしながらバランスの良い「エモい写真」にしていきます。
上手く撮ることができたら、さらにLightroomでオールドフィルム調にレタッチすれば、シネマティックな写真にもなります。
映画のような質感にすると「エモい写真」になる
最近は一眼レフもさらに進化して、色調、コントラスト、明るさなど、とても綺麗な画質で撮ることができます。
だけど僕は、写真は全て明るく綺麗に撮ればいいわけではないと考えています。
その理由は、少しノイズが入った写真の方がレトロで、懐かしさを感じる心が揺さぶられる「エモい写真」になるからです。
これはあくまでも僕の考えであって「明るくて綺麗な写真が悪い」と言っているわけではありません。
ほんのり暗めのノイズが入った写真は、フィルム感が出て感情が揺さぶられやすくなるんです。
どちらかといえば、僕の写真は少し暗めでノイズ調に加工することが多く、レタッチをしていて自分自身が感情が揺さぶられことが多いんです。
例えば、こちらの写真。
夕暮れ時にススキの広がる草原で、モデルさんを撮影した写真です。
僕がイメージしていたレトロ感を表現しましたが、映画のワンシーンみたいにストーリーを想像したくなってきませんか?
次の下記の2枚の写真は、Lightroomでレタッチした後に「Photoshop」で古びたフィルム映画風に加工しています。
ちなみに古びたフィルム映画風の写真に加工する方法は、こちらの記事で解説しているので参考にしてみてください。
Photoshopを基本に使っていますが、2021年頃から知名度が上がってきたRAW現像ソフト「Luminar(ルミナー)シリーズ」も、Adobeのソフトと組み合わせて写真作品を作ることもあります。
「Luminar(ルミナー)シリーズ」を使ってみた感想を話している記事もあるので、そちらも読んでみてください。
「エモい」の本当の意味
ここまでエモい写真の撮り方について話してきましたが、そもそも「エモい」ってどう言う意味なのでしょうか。
当記事の冒頭でも話したように「エモい」は、感情が揺れ動かされた状態を表した言葉で、20代〜30代を中心に使われるようになりました。
その「エモい」の語源は、エモーショナル(emotional)からきていていると言われています。エモーショナルとは、感情的、情緒的、感動的のように「感情」を表している言葉。
そう言ったことを考えると、現在僕が撮影している「シネマティック写真」と「エモい写真」とは、区別がしにくいのかもしれませんね。
「シネマティック写真」は未来のストーリーが想像できる写真で、「エモい写真」はその瞬間に心が動かされた写真。というように、僕の中では区別しています。
COAフォトのシネマティック写真
[ Model Tomomiさん(@ikatomomi)]
現在僕が撮影しているシネマティック写真は、映画のワンシーンのように心にひびくストーリー性のある写真。
そのシネマティック写真には次の3つの要素が入っているんです。
- ドラマのようにストーリーが想像できる構図
- 映画の質感(オールドフィルム調)にレタッチした写真
- 撮影した背景(過程)がイメージできるタイトルと解説
少し簡単に説明をすると、日常でよく見る街の風景を撮る時に、カメラを向けた先の風景の中にいる人たちが、次に何をしようとしているのかをイメージしながら撮影する。
未来をイメージして撮影をすることで、被写体を構図のどこに置くとストーリーが想像できるのかを考えながら撮ります。
楽しかった1日の余韻に浸って歩く人
友達と買い物をして帰宅するために駅に向かうシーン(想像)ですが、人ごみを避けて都会の裏道でゆっくり友達と話しながら帰りたそうな感じに見えてきました。
ポイントは、人物を遠くに置いて後ろ姿を狙いゴチャッっとした風景を撮ることで「帰宅感」を表現しています。
寂しく1日が終わろうとしている休憩室
この場所は、奈良の平城宮跡歴史公園の休憩室。
外からガラス越しに休憩室の中を撮影した写真です。
誰もいなくなった休憩室。夕日が反射したガラスに撮って、1日の仕事を終えた感を表現してみました。
このように何気ない日常的な風景を撮影して、その写真をLightroomを使って映画のような質感にレタッチします。
そうすることでその写真が、さらにストーリーを想像させて心を揺さぶってくれる写真へと進化します。
こうして完成した写真を僕は「シネマティック写真」と呼んでいます。
スナップ写真でエモい写真を撮る
感情を揺さぶられると言う意味もあるエモい写真は人物写真だけではなく、日常的な風景写真でもエモい写真を撮ることができます。
こんな感じに人物がいなくても、
「懐かしい」
「心が和む」
「この場所に行きたい」
と言うように、心が動かされることがエモい写真というものなんですね。
人はストーリーのあるものに興味をもつ
ここまで「エモい写真の撮り方」について話してきましたが、人はなぜ「エモい写真」に感情を揺さぶられるのでしょうか。
それは、人はストーリーを感じるものに興味をもつ生きものだからです。
例えば、下記のような人物のシルエット写真。
こちらの写真を紹介するときに、
「シルエットの写真を撮りました」
と説明するよりも、
「幻想的なエモい夕日の写真を撮ることをイメージしていたので、16:00から撮影をスタートしました。空が晴れていたこともあり、予想以上の幻想的な夕日だったのでモデルの方に夕日に背を向けてもらって、急いでイメージの合う撮影ポイントへ向かい、シネマティックなシルエットを撮りました」
と書いた方がその時の状況をイメージしやすく、その撮影した写真の背景を想像してその写真に『期待感』や『共感』が生まれて興味を持ってもらえるんです。
SNSの投稿はストーリー性を出す
いくらエモい写真を投稿したからと言っても、ただ載せるだけでは見ている人からすればただの写真にしか思われません。
「へー、、、すごい」だけで終わってしまって、『いいね』はしてくれてもフォローやサイトへ訪れるまではつながらないんです。
SNSのアカウントに価値をつくるためには、そのアカウント全体にストーリーを感じる投稿をしていくことが重要なんですね。
先程のように「撮ってみました」の一言では、ストーリーを伝えることができません。
- いつ
- どこで
- 誰と
- 何を撮って
- 何を感じたのか
を意識してコメントを書くだけでも、興味を持ってもらえます。
ただし、ストーリー性のある内容を入れて投稿したからといって、フォロワーが急激に増えるわけではありません。
大切なのは、ストーリーを感じる投稿を続けていくことなんです。
未来に期待させる
SNSの投稿で成功している人、いわゆるインフルエンサーの方の投稿を見ていると、ストーリー性があり未来に期待させる投稿が多いことがわかります。
「今日は〇〇でお茶をしました」
「前から行ってみたかった場所、〇〇へ旅をしてきました」
など、出発してから巡った場所、おすすめのものなどを上手に入れながら投稿しています。
そうした投稿を続けているとフォロワーから、
「次はどんな場所で何を進めてくれるんだろう」
「自分もこんな人生を過ごしい」
と未来に期待を持たせているんです。
写真も同じで上手に撮れた写真を投稿する場合、
「なぜその場所で撮影したのか」
「撮影した感想はどうだったのか」
と言う文章を書くことで、写真の中にストーリーが見えてきてそこから、
「次はどんな写真をアップするのだろう」
「自分もこんな写真を撮りたい」
と未来に期待をもたせることができます。
エモい写真の撮り方の最後に
ここまで『エモい写真』を撮るための構図や光の使い方について話してきましたが、いかがだったでしょうか。
構図や光を意識してエモい写真を撮って、さらに未来を期待させるようなストーリを載せればもっと価値のある写真になります。
おまけ「エモい写真」
おまけに、先日僕が撮影した写真を紹介します。
以前に僕は「モデル×着付け師×シネマティック写真家」のコラボ撮影会を企画したことがあります。
僕が魅力を感じている、アートな表現力を持つモデルの方と打ち合わせをするために大阪へ行った時の写真です。
大阪に着いたのは夕暮れ時だったですが、大阪の河川敷横の車道を車で走っていると、遠くまで見える河川敷の景色と鉄橋が、日が沈みかけているオレンジ色の光の影になっている光景に心が揺さぶられて、その日が沈む瞬間をずっと見ていました。
打ち合わせに向かう前は一眼レフを持って行こうか悩んだんですけど、その時はなぜか、
「もしかしたら今日の天気だと幻想的な世界が撮れるかも」
と思ったんです。もしかしたら僕は感が鋭いのかもしれません。そう思って一眼レフを持って自宅を出たのが正解。
幻想的な瞬間って、いつ、どこで撮れるかわからないですよね。
これからも出かけるときは、カメラを持って出かけるようにします。
もしかすると、思ってもないような幻想的な世界が撮れるかもしれませんね。
その時に撮った写真がこちらです。
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