写真家をしていると、「あなたの写真を見てみたい!」と言われることが多いが、SNSだと他の写真家が撮る写真との差別を感じてもらえないことがある。
「自分はSNSで作品を発信しているからポートフォリオサイトなんて必要ないし、 サイトを制作する時間が無駄だ」と思っていたが、それは間違いだった。
SNSは気軽に写真を投稿できるが、自分の写真をアピールするのには向いていないし、高画質で写真を見ることができない。
では仕事のアピールに使えて、高画質で写真を見てもらうにはどうすればいいのかを考えて出た答えが、ポートフォリオサイトをもつことだった。
もちろん、ただ撮影した写真を公開するだけではポートフォリオサイトを作成する意味はない。
では写真家は、どのようにポートフォリオサイトを活用すればいいのだろう。
ポートフォリオサイトとは
そもそもポートフォリオサイトとは、写真家、芸術家、デザイナーなどが、自身で作成した作品を企業やユーザーに向けてアピールするために、作品、実績、経歴、スキルなどをまとめたサイトである。
ちなみに、現在写真家をしている僕のポートフォリオサイト(フォトギャラリーサイト)がこちら。
ポートフォリオサイトとSNSは別もの
ポートフォリオサイトは、SNSのように気軽に毎日投稿するものではなく、作品が完成したら、制作日、作品テーマ、コンセプト、作品制作の背景を、企業やクライアントに向けて公開(アピール)するもの。
ポートフォリオサイトをもっていると、24時間365日休むことなく世界中に作品を見てもらうことができるので、自動で営業をしてくれているのと同じである。
SNSはフォロワーと交流することを目的にしているので、作品をアピールすると売り込み感が出てしまって、フォロワーがどんどん離れてしまう。
だけどポートフォリオサイトは、自分の作品に興味をもった人がもっと色々な作品を見たくて訪れるサイトになるため、少しくらいの売り込みは気にならない。
なので一番効果的な営業方法は、SNSでフォロワーを増やしてポートフォリオサイトに誘導して、さらに作品に興味をもってもらう活用の仕方がいいだろう。
ポートフォリオの更新頻度
ポートフォリオの更新頻度の目安は、月に1回が理想。
新作や制作実績をメインに更新し、「なぜその写真を撮ろうと思ったのか」「その写真を撮った時のストーリー」などを伝えながら、自分らしい世界観のあるポートフォリオサイトにアップデートしていくことが大切なのである。
もちろん最初は、どうやってポートフォリオサイト作ればいいのかわからなかったので、まずは、参考になるポートフォリオサイトをたくさん見てイメージを固めていった。
僕がよく参考にするサイトは、マイナビクリエイターというサイト。
イケてるポートフォリオサイトが20種類も見ることができるので、ポートフォリオサイトをつくる際に、とても参考になる。
イケてるWebデザインで作られたポートフォリオサイト20選まとめ
(引用元 : マイナビクリエイターのサイト)
ポートフォリオサイトは強い営業ツール
「クリエイティブ系の仕事をするなら必須」と言われるほど、とても重要なポートフォリオサイト。
たとえば、飛び込みで営業に行くと、相手から「まずポートフォリオサイトのURLを送っといて」と言われることも多い。
それは当たり前のことで、訪れた時間帯は相手にとって忙しい時間帯かもしれないのに、自分のことばかり考えて、いきなり作品集を出されたら迷惑でしかない。
そのような時の対策として、ポートフォリオサイトのQRコードを載せた名刺を渡しておけば、空いた時間にじっくりと作品を見てもらえる。
ポートフォリオサイトをもつデメリット
ポートフォリオサイトがあると、24時間365日オンラインで営業しているのと同じだが、デメリットもある。
ポートフォリオサイトを運営するのには時間と費用が掛かる。
サイトが重くならない程度に写真のサイズを縮小したり、作品を各ジャンルに分けて見やすく工夫する必要もある。
しかも、自分らしい世界観を出さなければ、他のポートフォリオサイトとの差別化ができず、どんどん埋もれてしまう。
あと無料で作成できるポートフォリオサイトもあるが、できることならオリジナルドメインを取得してオリジナリティーのあるポートフォリオサイトをもつ方が信頼感をもたれやすい。
時間と費用をかけるからポートフォリオサイトをつくる価値があるわけで、デメリット以上に「ポートフォリオサイトをつくっておいて良かった」とメリットを感じる方が大きい。
ポートフォリオサイトをもつメリットは次の3つ。
- 自分らしい世界観を表現できる
- 仕事につながりやすい
- いつでも作品を見てもらえる
ポートフォリオサイトで自分らしい世界観をつくる
最近では写真家も、撮影した写真をSNSに公開して、仕事に繋げている人もいるが、そういった人は、もともと影響力があった上でSNSを活用して、さらにファンを増やしている。
無名のうちは、どんなに魅力的な写真をSNSに投稿しても、ファンを増やすことは難しい。
だから24時間365日、世界のどこからでも見てもらうことができるポートフォリオサイトがあれば、興味づけの部分をカバーできるだろう。
ポートフォリオサイトで大切なのは、独自性のある世界観を演出すること。
たとえば、僕のポートフォリオサイトには、雨の日に撮影した写真をまとめている『Rainy day』というカテゴリーがある。
雨の日に人物を撮影することで、憂鬱な感情が自然に表現できるため、人間味のある写真になる。
雨の日のポートレートを魅力的に伝える4つの方法について話している記事はこちら。
マーケティングのスキルでさらに知名度アップ
もう一度言うが、ポートフォリオサイトは24時間365日休まずに営業してくれているのと同じこと。それと並行してマーケティングをすることで、さらにファンが増えていく。
もちろんそれには「マーケティングの仕組みの知識」が必要になるが、もしマーケティングの仕組みをうまく活用できれば、あとは全て自動で集客することも可能になる。
ポートフォリオサイトがあればいつでも写真を見てもらえる
ポートフォリオサイトを制作するメリットの3つめは、空いた時間にゆっくり自分の写真を見てもらうことができるところ。
営業へ行った先が偶然写真家を探していたけど、ちょうど忙しいタイミングだった場合を考えてみましょう。
その場では作品集などの冊子を見ることができなかったが、後ほどサイトで見てみたいと思ってくれているかもしれない。
それなのに、ポートフォリオサイトをつくっていなかったせいで、仕事を逃してしまう恐れがある。
たとえ公開する写真が少なくても、24時間365日いつでも見てもらうための場所は準備しておく方がいいと僕は思います。
ゆっくり見てもらうことで「どの写真も独自性があって写真撮影を頼んでみたい」と思ってもらえるかもしれません。
もちろん、常に作品集と名刺を持ち歩くことも大切です。オンラインだけではなく、オフラインでも作品を見てもらう準備をすることは大切で、そうすることで、さらに強い営業力を身につけることができるでしょう。
作品集(冊子)があれば、いちいちサイトにアクセスしなくてもその場で作品を見ることができるので、オンラインとオフラインで作品が見れる準備をしておくことも大切です。
せっかく営業ツールとして冊子を使うなら、しっかりした紙質の作品集の方が評価は高く仕事につながりやすいです。
僕が写真家として持っているポートフォリオサイトを以下に貼っておくので、参考にしてみてください。
とてもシンプルですが、最低でもこのくらいのポートフォリオサイトを準備しておくことを、おすすめします。
ポートフォリオサイト『PHOTOGRAPHER RYO』はこちら
SNSでは伝えきれない部分がある
サイト制作になれていないと、
「いちいちポートフォリオサイトをつくるのが面倒」
「SNSでもいいんじゃないの?」
と思うかもしれませんが、SNSとポートフォリオサイトでは作品の伝え方が変わってきます。
先ほども話したように、SNSの場合はレイアウトが決められたり投稿がどんどん埋もれてしまうため、写真の魅力を伝えきれない部分があります。
SNSはポートフォリオではない
SNSは作品をアピールするというより、フォロワーさんと交流することを目的とした使い方が効果的なツールです。
SNSにはSNSに向いてる使い方があるので、SNSは仕事につなげるための効果がないわけではありません。
SNSでは、フォロワーさんが欲しがっている情報を発信したり、撮影の様子などを発信したり、お互いのもっている情報を公開したり。
今の時代は、SNSでやり取りをすることも多くなってきているので、それはそれで重要な部分になります。
SNSがポートフォリオに向いていない理由
たとえば、インスタグラムの場合、一眼レフと縦横の比率が変わるため、こだわって撮影した写真の印象が変わってしまうことがあります。
Twitterの場合は、自分が投稿したものが数分で埋もれてしまうため、作品を見られる率が極端に少なくなってしまいます。
もちろん、SNSをうまく活用してクライアント様から仕事をもらっている写真家もいます。
だけどそれはごく稀なケースで、もともと知名度があるか、偶然にも投稿がバズった場合で、SNSだけで仕事につなげるのは難しいのが現状です。
僕の場合ですが、下記のようにGoogleで検索してサイトを見にきてくれている率が「94.4%」、SNSからサイトを見にきてくれている人がわずか「1.2%」しかいません。
Googleの検索からサイトへ訪れている人が多い理由は、当サイトのブログを定期的に更新しているからなんです。
そこからSNSを見てくれたり、ポートフォリオサイトを見てくれたりしているので、写真家リョウの紹介サイト『Creator Of Art』の運営に集中しているんですね。
話がそれてしまいましたが、せっかくこだわって撮影した写真なら、作品専用のサイトで公開する方がアーティスト感があって、モチベーションにもつながります。
SNSでの売り込み投稿はスルーされる
SNSはプライベートなつながりを求めている人が多く、作品のアピールばかりの投稿は相手にとって「売り込み」と勘違いされてしまい、フォロー解除されてしまうこともあります。
できれば、撮影の様子や写真家の日常の様子などを投稿して興味をもってもらい、プロフィール欄に貼り付けた、ポートフォリオサイトURLをタップしてもらう方がいいでしょう。
そうすることで、コアなファンを増やしていくことができて「信頼関係」をつくることができます。
ポートフォリオサイト制作は時間がかかる
先ほども言ったように、ポートフォリオサイトを制作するのには、それなりに時間も費用もかかります。
- 公開する写真を選定
- Web閲覧に合うサイズ調整
- 作品の説明
- プロフィールページ
- 撮影のコンセプトページ
- SNSと連動
- オリジナルドメインを取得
- レンタルサーバーに契約
- 有料版ポートフォリオサイトで作成
少なくともこれくらいは必要になるため、1人で制作するのには時間がかかります。
しかもサイト制作に詳しくない場合は、外部のデザイナーさんに依頼する必要もあるので、その分、費用もかかってきます。
ですが、一度ポートフォリオサイトをつくってしまえば、あとは写真の更新や時期を見て説明を修正するだけでいいので、ポートフォリオサイトを制作する価値は十分にあります。
ポートフォリオサイトを制作しておくことで、独自性のある自由度の高い魅力的な作品公開サイトをつくることができて、それをSNSのプロフィール欄にURLを貼り付けておけば、投稿が埋もれるという心配もありません。
僕が使ってきたポートフォリオサイトの印象
僕はこれまでにポートフォリオ制作サイトをいくつか使ってきました。
- Portfoliobox
- Tumblr
- Wix
どれも、レイアウトの自由度や文字のバランスがしっくりこなかったため、しばらくポートフォリオサイトを作りませんでした。
だけど本格的にアート×写真家として活動をしていく中で、名刺交換をする時に「ポートフォリオサイトはどこから見れますか?」と言われることが多かったんです。
その時は、自分のインスタグラムのアカウントを伝えていましたが、相手の反応は微妙なもので、後に話を聞くと、
「こだわりのある写真が見たかったのに、魅力が伝わりにくいSNSだったから仕事を依頼しようか迷った」
という言葉が返ってきました。
要は、SNSはプライベートな投稿をするツールとして認識されていて、ポートフォリオサイトは仕事としてプロ意識が強い印象をもってもらえるということなんです。
それを聞いて僕は、すぐに「アート×写真家のポートフォリオサイトをつくろう」と決めました。
簡単にポートフォリオサイトを作る方法
先にいっておきますが、仕事につながる可能性が高くなるポートフォリオサイトは、妥協せずにこだわって時間をかけてつくる方が、ポートフォリオサイトとして価値が上がります。
それでも「サイト制作が苦手だ」という写真家(フォトグラファー)も多いでしょう。
そこでポートフォリオサイトをつくるときに、僕自身が使ってみて簡単だと思ったポートフォリオ制作サイトを紹介しておきます。
サイト制作に慣れていない人でも、まとまりのあるポートフォリオサイトがつくれるので、試しに使ってみてください。
何度も言いますが、ポートフォリオサイトを制作する一番のメリットは、24時間365日自動で動いてくれる営業ツールになるということ。
それを考えると、時間をかけてでもポートフォリオサイトをつくる価値はあります。
Adobe Portfolioがオススメ
正直、僕がおすすめするポートフォリオ制作サイトは『Adobe Portfolio』の1択です。
理由は、管理画面がシンプルで使いやすいからです。
画像引用元 : Adobe Portfolioサイトより
AdobeのPortfolioはシンプルで使いやすい
僕が『AdobeのPortfolio』を使うと決めた理由は、次の3つです。
- 操作がシンプルでレイアウトもそこまで気にならない
- 画像間の余白も調整しやすい
- おしゃれなフォントもあってみやすい
WordPressでのポートフォリオ制作も考えていましたが、僕の場合は、作品数がそれほど多くないため、しばらくはAdobeのPortfolioを使っていこうと思います。
作品数がもっと増えてきたら、自由度の高いWordpressのポートフォリオサイトを制作しようと思います。
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