写真の世界に足を踏み入れた瞬間、無意識のうちに「美しい写真」を追い求めている気がするのは僕だけだろうか。
写真において『美しさ』とは一体何なのだろう?
単に見た目が整った構図や、色鮮やかな写真だけを指すものではないのかもしれない。
僕が写真を始めた頃は、バランスの整った写真やコントラストが強く輪郭が綺麗に見えている写真が美しさだと思っていた。
だけど、ある一人の写真家の写真に出会ったことで、その考えが大きく変わった。
その写真家とは、当サイトで何度も話している、ニューヨークが生んだ伝説の写真家『ソール・ライター』だ。
雨の日の日常で見つけたドラマチックなスナップ写真。
被写体の表情が明確に見えるわけでもないのに、彼の写真にはなぜか心を打たれるものがある。それは、彼の写真が「瞬間の真実」を映し出していたからではないだろうか。
写真における美しさとは、見る人の心に触れる「物語」や「感情」を宿す力だと感じている。
撮影技術だけでは伝えることができない、写真に込められた思いや見えない背景が、真の美しさを生むのではないだろうか。
たとえば、雨に濡れる街並みを撮る時、ピントが完全に合わなくても、その場の冷たい空気感や湿度、雨の音を感じ取れるような写真には、言葉では説明できない美しさがある。
また、人物写真においても、モデルの笑顔が完璧でなくても、その目に宿る微かな希望や不安を捉えた瞬間は何よりも美しい。
もちろん、美しさの定義は人それぞれなので、ある人にとっては整ったシンメトリーや鮮やかな色彩が美しく感じるだろうし、また別の人にとっては暗い部屋で表情がはっきりと見えない写真に美を感じるかもしれない。
その多様性こそが、写真を芸術として豊かにしているのではないだろうか。
もしあなたが写真を撮ることがあれば、ぜひ「自分は写真で何を伝えたいのか?」「誰の心に響かせたいのか?」と問いかけみてほしい。
その答えを探しながら写真を撮ることで、技術的な美しさを超えた本質的な美しさに気づくはずだ。
最後に
写真における美しさとは、技術や形式を超えた「その人がもつ想像の世界」を表現したものであり、写真家自身が何を大切にし、何を感じたかが映し出されるものだと僕は考えている。
あなたにとっての「美しさ」とは何ですか?
その問いに向き合うことができたとき、写真家として新たな作品に出会い自分自身の成長にも繋がるだろう。
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