僕が写真家を目指すきっかけとなったのは、ニューヨークが生んだ伝説の写真家『ソール・ライター』の写真を見たからだ。
写真家ソール・ライターの写真には、懐かしさと人間らしい日常と見えない部分のストーリーを感じる。
もしかすると僕は、写真家ソール・ライターの熱狂的なファンなのかもしれない。
どんな表現をしているのか?
自分の写真をどのように伝えているのか?
撮影のコンセプトは?
何に心が動かされてその写真を撮っているのか?
そう考えながら写真家ソール・ライターの写真集を見ると、自分にはなかった新しいアイデアがどんどん生まれてくる。
そんな写真家ソール・ライターの写真の魅力について話したい。
目次
はじめに
「ストーリー性のある写真を撮りたい!」
「人の心を動かす写真を撮りたい!」
そんな写真を撮ってみたいと思ったら、ぜひ写真家ソール・ライターの写真を見てほしい。
彼の写真への想いや写真を撮り続けた想いに触れると、今の自分の悩みが小さなことに思えてくる。
写真の魅力は、ただ綺麗な画質でキレに撮るだけではなく、写真の中にある見えないストーリーに心が動かされてしまうところではないだろうか。
写真家ソール・ライターは、どのような思いを込めて写真を撮り続けたのだろう。
写真家ソール・ライターという人物
出典元 : Wikipedia『ソール・ライター』より
写真家ソール・ライターは、1923年12月にペンシルベニア州ピッツバーグで生まれ、12歳の時に、母親からもらったカメラをキッカケに写真を始めた。
1946年には、アーティストを目指すためにニューヨークへ移る。
当時のソール・ライターは絵画に興味をもっていたことから、芸術家の「リチャード・パウセット=ダート」に出会う。
そんな親しくしていたアーティストからすすめられて、35mmライカを使ってモノクロ写真やカラー写真を撮り始めるようになった。
そんなソール・ライターが撮影した写真は、マンハッタンの大混乱の中にある静かな街の中にある、人間らしい日常を撮った写真だった。
中でも有名な写真が、雪道を赤い傘をさして歩く人を捉えた写真ではないだろうか。
Footprints 1950 ソール・ライター《足跡》1950年頃 発色現像方式印画 ソール・ライター財団蔵 ⒸSaul Leiter Estate
僕はそんな写真家ソール・ライターが撮影した、映画のようにストーリー性を感じる写真を見て心が惹きつけられていった。
写真家ソール・ライターの生き方
写真家ソール・ライターの生き方にも、心が惹かれる部分がある。
ピッツバーグで生まれた写真家ソール・ライターがニューヨークに移り住んだ理由は、画家になるためだったらしい。
ピッツバーグと言えば、有名な「芸術家アンディ・ウォーホル」が思い浮かぶだろう。
実はアンディ・ウォーホルの写真を撮っていたのが、写真家ソール・ライターだった。
写真家ソール・ライターとアンディ・ウォーホルの生まれが同じだったことから、アンディ・ウォーホルの写真を撮る機会が多く、自己流で写真の技術を磨き上げて、その後、世界で注目されるようになる。
画家として絵画を描いたり、人間らしい日常の写真を撮影したり。その時に自分が感じた世界を自分らしく表現することで、人を巻き込む作品が生まれたのだろう。
そんな写真家ソール・ライターの写真を見ることができる写真集が『永遠のソール・ライター』である。
写真集『永遠のソール・ライター』
写真集『永遠のソール・ライター』は、ニューヨークが生んだ伝説の写真家ソール・ライターの魅力が詰まった1冊と言えるだろう。
写真にドラマがあり、色づかい、フレーミング、構図など、芸術的な要素を感じるのは、写真家ソール・ライターも絵を描いていたからなのかもしれない。
その写真こそ、いま僕が写真活動のコンセプトにしている『心が惹きつけられるストーリー性のある写真』である。
では少し写真家ソール・ライターの作品と、それを見本にして僕が撮影した写真を紹介させていただこうと思う。
特徴的な赤い傘の写真
僕が写真集『永遠のソール・ライター』を見て魅力を感じた写真がこちらの写真。
雪の中で赤い傘をさして、寒そうに歩いている女性のスナップ写真。
「写真家ソール・ライターといえば赤い傘」と思い浮かぶ人もいるほど、写真家ソール・ライターの赤い傘の写真は有名だ。
真っ白な雪の中、背景の窓ガラスに描かれている落書きの前に偶然通りかかった赤い傘をさして寒そうに歩く女性。絵画のようにも見えて、とても魅力を感じる1枚だ。
そんな写真家ソール・ライターのような写真を撮りたくて、僕なりに写真を撮ってた。
ソール・ライターを意識して撮影した写真①
こちらの写真は、写真家ソール・ライターの『赤い傘』の写真を意識して撮影した写真。
天候は雪ではないが、これでも僕は『雨の日が好きな写真家』として、近しい人から認知されている。
上記の写真はモデルを撮影をした写真で、撮影当日の朝に雨が降っていたので、撮影の小道具である赤い傘をさして歩いてもらった写真。
まさか僕自身が「写真家ソール・ライターのように赤い傘で撮ってみたい」という夢が、この時に実現できるとは思わなかった。
撮影場所はニューヨークのような街中ではないが、雨らしさを演出するために、河川敷の水たまりのある場所を歩いてもらった。
一応、写真家ソール・ライターのフレーミングを意識して撮影した写真だ。
余白がストーリーを想像させる
次に僕が『永遠のソール・ライター』の写真集の中で魅力を感じた写真がこちら。
写真に写っている赤い傘をメインに、広いボケた背景の余白に何かのドラマを感じるのは、僕だけだろうか。
ぼかされている背景を見ると混雑した街の中のようだが、雨の日に傘をさしている自分の目線から見た背景を撮影し、その背景に、雨の日の街の騒がしい中にいるの感じてしまう。
ただの白い背景ではなく、街の背景をほんのりぼかすことで、そこにドラマが生まれる。
ソール・ライターを意識して撮影した写真②
そんなソール・ライターのように、余白を広くとった構図で撮った写真がこちら。
シンプルだけど余計なものを入れず、雨の雫がついた透明傘越しに、雨の日の憂鬱な感情を表現している。
写真家ソール・ライターのように、混雑した街の背景ではないが、透明傘についた雨粒にピントを合わせることで、雨らしい憂鬱さが表現できる。
僕はその世界を「その時に感じた心揺さぶられる瞬間」をテーマに、雨の日の写真集を作ったことがある。
写真集『永遠のソール・ライター』を見た感想
このように、写真家ソール・ライターの写真には心が動かされる魅力がある。
その魅力を感じることができたのは、写真家ソール・ライターの写真集『永遠のソール・ライター』を見たからだ。
ページ数も表紙合わせて「312ページ」とボリュームがあり、写真だけではなく写真家ソール・ライターが描いた絵画の写真もあったり、写真家としての想いを伝える言葉が書かれている。
この写真集『永遠のソール・ライター』を読むだけでも、写真の魅力を知ることができるだろう。
画家になるためにニューヨークに出てきた写真家ソール・ライターの生き方。
写真家ソール・ライターが見た世界は、どんな世界だったのか。
写真の中の余白には、どんなドラマがあるのか。
写真家ソール・ライターの生き方を知れば、写真の見方も変わってくるだろう。
ソール・ライターの生き方がわかる写真集の紹介
写真集『永遠のソール・ライター』 | |
購入価格(税込) | ¥2,750(楽天販売価格) |
発売年月 | 2020年 10月 |
著者 / 編集 | ソール・ライター財団 |
出版社 | 小学館 |
発行形態 | 単行本 |
ページ数 | 312ページ |
魅力度(個人的な感想) | ★★★★.5(満点5評価中) |
出典元 : 楽天ブックス『永遠のソール・ライター』口コミより
最後に
ニューヨークが生んだ伝説の写真家ソール・ライターがのこした写真集『永遠のソール・ライター』。
写真家の僕にとって、写真の魅力を改めて考えさせられる1冊となった。
「自分が撮影した写真に魅力を感じないのはなぜだろう?」
「心が惹きつけられる写真ってどんな写真だろう?」
その答えを知るための写真集である。
写真家ソール・ライターが遺した写真世界は、『永遠のソール・ライター』でしか見ることができない世界。
本当に魅力のある写真とは、綺麗な画質でおしゃれに撮るのではなく、自分が感じた何気ない世界の魅力をどのように伝えるのかだと思う。
写真集『永遠のソール・ライター』は、そんな写真の魅力を教えてくれる1冊だと僕は感じた。
ぜひこの機会に手に取ってみてほしい。
もし見たという場合は、当記事のコメント欄に感想を書いてほしい。
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