「写真撮影は単なる記録をするためのモノではない」
写真は、偶然に見つけたその美しさを切り取るだけではなく、自分の心の中にある感情や、自分自身で感じた視点を映し出すクリエイティブな表現方法である。
なぜか最近、僕のところにモデル志望の方からよく相談がくる。
その相談内容とは、「自分らしく表現する方法を教えてほしい」「他の人とは違った表現をするためのアドバイスをしてほしい」というもの。
もちろん僕にはモデル経験はないが、写真家をしていると、いろいろなモデルと撮影をする機会がある。
写真家としての撮影人数は少ないかもしれないが、僕がこれまでに撮影をさせていただきたモデルの方は、皆、独自の世界観をもっている。
例えば、俳優志望のモデルの場合は、これまでに経験してきた演技力を僕の写真で発揮し、映画のワンシーンのような写真を作り上げてくれた。
かっこいいモデルの場合は、他のモデルが真似できないような動きで、クリエイティブな表現をして、まるで芸術作品のような写真を作ってくれた。
どんな表現をすればいいのか悩んでいる場合は、まず今の自分がどんな環境にいるのか、周りにどんなエモい世界があるのかをよく観察してみてほしい。
夕暮れに染まった京都の観光地にある和風漂う橋が、幻想的に照らされていたり。
雨の上がった後に、水たまりに反射した人物のシルエットもアートになる。
光の白飛び、人物の頭が下向き、通常ならNGとされるこのような写真も、さくひんとして 意図的に使えば芸術作品になる。
周りを気にせず、何にも縛られず、あなたの視点と感情を自由に表現できたら、どれだけ素晴らしいことだろう。
なにも『ルール』に従った表現をする必要はない。斜め45°を向いてカメラ目線で笑顔にならなくてもいい。
魅力的な写真とは、自分らしさをうまく表現している写真だと僕は思っている。
もちろん、構図や露出などの技術的な基礎は必要になるが、それを踏まえた上で型にとらわれることなく、自由にシャッターを切ることができるのが写真の魅力で、むしろ、他人の目や評価を気にせずに写真を撮ることができれば、自分が撮る写真は、より個性的で感情が豊かに伝わるものになる。
ある写真家は、京都の名所を暗いトーンで撮影して、それが独自性のある写真となる。それはその場所が持つ神秘的な雰囲気を強調し、見る人に独特の感情を呼び起こすこともあり、一方で、同じ場所でも明るく鮮やかな色彩で撮り、陽気で活力ある京都を表現する写真家もいるが、どちらの写真も、技術的な基準で見れば「正しい」かどうかは別として、表現の自由という観点から見れば、どちらも個々の写真家にとって唯一無二の写真ではないだろうか。
では、どうすればこの自由な表現を実現できるのかと言うと、まず、他者の評価や既存の技術的なルールにとらわれないこと。
SNSでの『いいね』の数やフォロワーの反応を気にしすぎると、本来もっている自分の感性が引き出せなくなってしまう。それよりも、自分自身が何を感じ、どう伝えたいかを大切にした方が良い。
次に、自分の感性を信じて行動すること。どんなに小さなことでも、自分が「これだ!」と感じた瞬間を逃さずに捉えることが重要だ。
技術的な完璧さを追求するのではなく、感情や感覚に従ってシャッターを切ることこそ、写真家における本当の魅力ではないだろうか。その結果、自身が撮影した一枚一枚が、他の誰にも真似できない独自性のある作品になる。
写真を撮る際には、常にその瞬間の世界観や気持ちを意識してみてほしい。そうすれば、その表現が、見る人の心を動かす力になるだろう。自分が表現したいものと言うのは、誰にも決められないも。
だから、あなたらしく表現することができたら、クリエイティブの表現者としての道が開けるだろう。
そんな自分らしく表現したいと考えている人ほど、僕と撮影をする価値を感じることができるはずだ。
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