「いい写真」とは何か? 時代とともに変わる写真の評価基準

写真の『良し悪し』はいったい誰が決めるのだろう?

自分が撮影した写真が「いい写真ですね!」 と言われると、やはり嬉しいものだ。

しかし、よくよく考えてみると「いい写真」とは一体どんな写真なんだろう?

技術的に完璧な写真が「いい写真」なのか、それとも見る人の心を動かす写真こそが「いい写真」なのか。

写真の評価の基準は、時代と共に変化するはずだ。

フィルム時代、デジタル時代、SNS時代――それぞれの時代で「いい写真」は違うだろうし、さらに撮影する目的によってもその基準は変わってくるだろう。

そこで「いい写真とは何か?」について、少し深掘りしてみようと思う。

とても単純な言葉だが、何だか奥が深いように感じているのは、僕だけだろうか?

時代によって変化する『いい写真』の基準

『いい写真』とされる基準は、技術の進化や時代の流れによって変化するものだと僕は考えている。

写真においては、次の3つの時代に分けられるのではないだろうか。

・フィルム時代のいい写真
・デジタル時代のいい写真
・SNS時代のいい写真

フィルム時代の「いい写真」

フィルム時代のいい写真は、正確な露出とシャープなピントが求められた写真で、光の使い方や構図の完成度が重視され、プリントの美しさや現像技術も評価ポイントになる。

なぜなら、フィルムカメラでは撮影後すぐに確認ができないため、1枚1枚に対する慎重さが必要だったからだ。

僕も子供の頃に、簡易なフィルムカメラで写真を撮っていた時期があったが、今のように撮影した後にモニターで画像を確認することができない。

どんな構図で、どんな明るさなのか、写真屋さんに出して初めてその写真を見ることができる。

それは今とは違って、実際に写真を見るまでのワクワク感が魅力でもあった。

そんなことからフィルム時代の写真は、技術的なミスが少ない写真が「良い」とされていたのだろう。

デジタル時代の「いい写真」

デジタル時代のいい写真は、デジタル一眼レフの誕生によって、高画質で豊かな色表現ができ、編集の自由度も増した。

たとえば、AdobeのLightroomを使えば自分らしい質感の写真を現像することができるし、SkylumのAI搭載のRAW現像ソフト『Luminar Neo』を使えば、芸術的な写真をつくることもできる。

そのため「正確さ」よりも「表現の幅」が評価されるようになる。

デジタル時代になると、記憶する写真ではなく、表現をするために撮る写真家がどんどん増えていった。

これにより、これまで以上に自由な発想で「作品」として写真を追求することが、写真の魅力として広がっていった。

SNS時代の「いい写真」

SNS時代のいい写真とは、目を引く色彩、構図、インパクトが求められる写真で、短時間で「いいね」が得られる写真が重視されるようになった。

いわゆる『映え写真』と言われるもので、加工やフィルターの使い方で写真の評価が左右され、若者を中心に映える写真が広がっていった。

SNSでは、写真が一瞬で流れていくため「パッと見で印象に残る写真」が高評価されるが、じっくりと時間をかけて鑑賞するタイプの写真は評価されにくいといった傾向がある。

それは、今の時代も変わらない。

SNSでバズりたければ、ストーリー性のある写真ではなく、インパクトのある映え写真が効果的だと言えるだろう。

そういった意味では、僕の写真はSNS向きではないかもしれない。

どちらかといえば、じっくり見てもらって心でその質感を感じて欲しい。

京都の写真家リョウのポートフォリオサイト
画像引用元 : 写真家リョウのポートフォリオサイトより

「いい写真」は見る人によって変わる

そして「いい写真」と感じるかどうかは、見る人の立場だったり環境だったり、その人のこれまでのストーリーによっても大きく変わる。

例えば、

一般の人は、「綺麗」「映える」「オシャレ」と感じる写真に惹かれる
写真家は、技術や構図、光の使い方、物語性を重視する写真
クライアントは、ブランドの意図に合っているか、商業的に価値があるかを判断する

そして、写真のジャンルによってもその基準は変わってくるだろう。

商業写真は、ブランドや商品の魅力を最大限に引き出すことが求められる
ドキュメンタリー写真は、リアルな瞬間を捉え、メッセージ性があることが重要
アート写真は、撮影者の独自の視点やコンセプトが評価される
SNS向けの写真は、「共感を得やすいか」「シェアされやすいか」が評価基準になる

つまり、「いい写真」にはルールや正解はなく、目的や受け手によって変わる ということになる。

「いい写真」とは結局何なのか?

結局、「いい写真」とは何なのか?

僕は「技術的な正確さ」よりも、心に残る写真が本当にいい写真 だと思っている。

  • 多少ピントが甘くても、見る人の心を揺さぶる写真
  • 完璧な構図でなくても、その瞬間の空気感が伝わる写真
  • 美しさよりも「何か」を感じさせる写真

例えば、雨の中で傘をさした女性が立ち尽くしている写真。

東京モデル撮影

たとえ画質が粗くても、その表情に「何かを語る力」があれば、人はその写真を見て心が揺さぶられるはずだ。

写真は技術だけでなく「どんなメッセージを伝えたいのか」「どんな感情を引き出したいのか」が重要になる。

また、時代の流れに影響されすぎず、自分が「いい」と思える写真を大切にすることも大事だ。

流行りの編集に合わせるのも良いが、そればかりでは「個性」がなくなってしまう。

まとめ:あなたにとっての「いい写真」とは

「いい写真」の基準は時代によって変わるが、絶対的なルールや正解はない。

SNSの評価がすべてではなく、自分が「本当に撮りたい写真」を追求することが写真の魅力を高める秘訣である。

最終的に「いい写真」とは、見る人の心が揺さぶられる写真で、そこから物語るを想像してしまう写真。

いくら時代が変わっても「写真で何を伝えたいのか」という本質的な部分は変わらないだろう。

その答えを探し続けることこそが、写真を撮り続ける価値なのではないだろうか。

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