エモい写真とは、その写真を見た人の感情を揺さぶって心を惹きつける写真。
だけど実際に「エモい写真ってどうやって撮ればいいの?」という写真愛好家も多いだろう。
そこで今回は、京都でシネマティック写真を撮り続けている写真家として、僕が思うエモい写真について解説しようと思う。
「一眼レフでエモい写真を撮る方法を知りたい」
そういった人向けの内容になっているので、ぜひ参考にしてほしい。
目次
「エモい写真」は感情を刺激する写真
まず『エモい写真』とは、心が揺さぶられるような感情を刺激する写真だと僕は考えている。
その理由は、『エモい』という言葉が『エモーショナル=感情を刺激する』からきている言葉だからだ。
そんなエモい写真を撮るポイントとして、以下のように意識するとエモい写真を撮ることができる。
・懐かしさを写真に入れる
・人物の自然な表情を撮る
オレンジ色の光をねらう
人物でも風景でも、エモい写真を撮りたいときは昼間の晴れた空の下で撮るより、夕暮れ時や夜明けの時間帯に撮る方がエモい写真になりやすい。
なぜなら、オレンジ色の太陽の光が写真にドラマを生んでくれるからだ。
例えば、下記の写真のような写真。
この写真は、僕が夕方に大阪でモデルの方と撮影について打ち合わせに向かう途中に夕日が沈む直前の河川敷で撮った写真で、ほんのりオレンジがかった空に心が揺さぶられた瞬間である。
無理に明るく撮ろうとせず、メインの被写体が暗くなってもエモい写真になる。
懐かしさを写真に入れる
すごく曖昧な言い方になってしまうが、懐かしさを写真に入れるとエモい写真になりやすい。
例えば、下記のような写真。
先ほどの項目『オレンジ色の光をねらう』のように、真冬の夕暮れ時に滋賀県の雪の積もる道路脇でとった写真だが、オレンジ色の光と背景の雪、雑草で田舎の雰囲気を出している。
デジタル化が進む今の時代でも、こういった田舎のような雰囲気を味わえる写真は、懐かしく感じてエモい写真になりやすい。
人物の自然な表情を撮る
エモい写真が一番効果的を発揮するのは、人物の自然な表情を撮ることで、よりドラマチックな写真になるところ。
例えば、下記のような写真。
『オレンジ色の光×懐かしさ×人物の自然な表情』をかけ合わせると、さらにエモい写真になって、テレビドラマのワンシーンのように心が揺さぶられる写真になる。
この3つのポイントを意識することで『エモい写真』を撮ることができる。
では、そんなエモい写真をどうやって撮るのかについて話していこう。
エモい写真の撮り方
エモい写真を撮るには、あなた自身が「今のこの瞬間、心が揺さぶられる」と感じたものを撮ればいいのである。
と言うのが本音だが、それだと漠然としすぎてわかりにくいので、僕がいつもエモい写真を撮る時に意識している3つのポイントについてお話ししよう。
・構図
・光と影のバランス
・写真の質感
では最初に『構図』について。
エモい写真は「構図」を意識する
まずは、ドラマチックに感じる構図を意識して撮ることでエモい写真になる。
構図とは、被写体をフレーミングのどの位置に置いて、どれだけ背景を入れて、余白をどのように入れるかを考えて写真のバランスを整えること。
構図について下記で詳しく解説しているので、そちらをご覧ください。
構図には次のような種類がある。
・黄金比
・白銀比
・青銅比
・三分割構図
・日の丸構図
こういった構図に被写体を配置することで、写真のバランスが良くなって、エモい写真を撮ることができる。
ただ、毎回これらの構図を意識するのは大変なので、瞬時に意識できるオススメの構図をお伝えしよう。
その構図が『三分割構図』である。
三分割構図
三分割構図は、フレームを縦横三分割にして交わる点の部分に被写体の見せたい部分を配置する構図。
この三分割構図は、瞬時にイメージがしやすくて簡単なので、僕も三分割構図で写真を撮ることが多い。
三分割構図のおすすめポイントは、瞬時にイメージできるところと、被写体を配置していない余白部分にストーリーを想像させやすいところ。
例えば、下記の写真参考にすると、モデルの右側にできた余白にストーリーを想像してしまう。
「隣にいる誰かとどんな会話しているのだろう?」
「この人は今どんな気持ちで横を向いているのだろう?」
「もしかしたら大切な人を待っているのかもしれない」
など、だんだん気になって、その写真を見た人の感情を揺さぶって心を惹きつけて、未来の行動につながりやすくなる。
僕がよく使う手法で、余白にできたストーリーに意味をもたせる写真を撮ると、反応が高くなる。
【余白にできたストーリーとは?】
余白にできたストーリーとは「何もない部分だけど何かの意図があって作られた」と写真を見た人がその余白の意味を想像して頭の中で物語を作ってしまうこと。
これが『エモい写真』を撮る方法の一つである。
「エモい写真」は光と影を意識する
そしてエモい写真を撮るには、光と影の使い方もポイントになる。
そもそも『フォトグラファー』の本当の意味をご存知だろうか?
『フォトグラファー(Photographer)』とはギリシャ語で「光を操る人」と言う意味があり、光を上手に使うことが写真上達につながると言われるほど、写真家にとって光の使い方はとても重要な知識になる。
心が揺さぶられるエモい写真を撮るには光と影のバランスを考えて、自然光をどのように使うかで写真の見え方が大きく違ってくる。
では、エモい写真によく使われる光を2つ紹介しよう。
オレンジの夕日で「エモい写真」にする
夕日のオレンジ色の光は人物の感情を表現しやすく、撮られる側(モデルさん)もリラックスした表情になって、その人の自然な表情を撮ることができる。
このようなエモい写真を撮るときのポイントは、モデルから見て夕日が目の前にある位置で撮ると光と影が出やすくなる。
ただし、モデルからすると目の前に太陽の光がくるため、眩しそうな表情になったり、直視するのは目に良くないので、上記の写真のように下を向いてもらうか横を向いてもらのがコツで、カメラ目線を外す方がエモい写真になりやすい。
逆光でシルエットに撮って「エモい写真」にする
[ Model 海国りんさん(@mikunirin_)]
あえて逆光(モデルの真後ろに夕日がくる位置)で人物をシルエットに撮るのもオススメで、人物の表情が見えないのもまた感情が揺さぶられてエモい写真になる。
一眼レフの設定は、表情がほんのりと見えるか見えないかくらい暗めにして、何回か試し撮りをしながら明るさを調整していけば良い。
【明るさを調整するコツ】
できればISO感度は小さく『シャッタースピード』か『露出補正』で明るさを調整するのがオススメ。
レトロな質感で「エモい写真」にする
エモい写真にするために欠かせないのが『レトロな質感』である。
これは僕のこだわりだが、エモい写真を撮る時は「全て明るく綺麗に撮るのがエモい写真ではない」と思っている。
その理由は、少しノイズが入った写真の方がレトロで懐かしさを感じるエモい写真になるからだ。
ほんのり暗めでノイズが入った写真の方が、フィルム感が出て感情が揺さぶられやすくなる。
どちらかといえば、僕の写真は少し暗めでノイズ調に加工することが多く、レタッチをしていて僕自身が感情が揺さぶられてしまう。
例えば、こちらの写真。
夕暮れ時に、ススキの広がる草原でモデルを撮影した写真。
僕がその時に感じたレトロな世界を表現した写真だが、映画のワンシーンのようにストーリーを想像してしまう写真になる。
僕はこれを『シネマティック写真』と呼んでいるが、それについては、下記の記事で話しているので参考に読んでほしい。
次の2枚の写真は、Lightroomでレタッチをした後に、Photoshopで古びたフィルム映画風に加工した写真。
ちなみに、古びたフィルム映画風の写真に加工する方法は下記の記事で解説している。
このように、撮った写真をそのまま公開するのではなく、レタッチや加工をして自分らしい写真にすることは写真家にとっては大切で、独自性をだして他の写真家との差別化をすることができる。
独自性のある写真をSNSで公開することで、信頼できるファンがどんどん増えていく。
エモい写真に加工するオススメのソフト
こうしてエモい写真にすることで、人の感情を揺さぶって心を惹きつける写真にすることができる。そこで、写真を加工するときに必須になるのが『現像ソフト』である。
現像ソフトで有名なのがAdobeのLightroom。写真加工ソフトで有名なのが同じくAdobeのPhotoshopである。
そんな中、最近は写真家の中で話題となっているのが、AIが搭載された現像ソフト『Luminar Neo(ルミナーネオ)』である。
『Luminar Neo』を簡単に説明すると、AIが搭載されているため、被写体(人物)の切り抜きをワンクリックでできたり、電線やをホコリをワンクリックで消せたり、アートな写真を効率よく作ることができるソフト。
実は僕も写真を加工するときに『Luminar Neo』を使うことが多く、Adobeのソフトと使い分けて写真作品をつくることが多い。
『Luminar Neo』を使った感想については、下記の記事で公開している。
最後に
ここまで「エモい写真」を撮るための構図や光の使い方について話してきたが、いかがだっただろうか。
構図や光を意識してエモい写真を撮って、さらに未来を期待させるようなストーリを載せればもっと価値のある写真になる。
おまけ「エモい写真」
おまけに、僕が心を揺さぶられた風景を撮影した2枚の写真を紹介しよう。
これから見てもらう写真は、僕が大阪のモデルの方と打ち合わせをするために大阪へ向かった途中に撮った写真だ。
大阪に着いたのは夕暮れ時だったが、大阪の河川敷横の車道を車で走っていると、遠くまで見える河川敷の景色と鉄橋が、沈みかけている太陽のオレンジ色の光に照らされた部分と影になっている部分のバランスに心が揺さぶられて、その日が沈む瞬間をずっと見ていた。
その時に撮った写真がこちらです。
打ち合わせに向かう前は一眼レフを持って行こうか悩んだが、その時はなぜか「もしかしたら今日の天気だと幻想的な世界が撮れるかも」と思った。
もしかしたら僕は感が鋭いのかもしれない。そう思って、一眼レフを持って自宅を出たのが正解だった。
幻想的な瞬間って、いつどこで撮れるかわからないので、今後も出かけるときは一眼レフを持って出かけるようにしよう。
もしかすると、思いもよらない幻想的な世界が撮れるかもしれない。
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