ある日、僕はいつものようにお気に入りの一眼レフを持って街を歩いていた。撮影に使うのは50mmレンズ。
このレンズは僕にとって特別なレンズだ。
50mmレンズを最初に手にしたとき、「標準レンズ」と呼ばれる理由がいまいちピンとこなかったが、使っていくにつれてその意味が少しずつ理解できるようになった。
先日僕が大阪の街を撮り歩いていると、一人の女性が目の前から歩いてくるのが見えた。
真夏に差し込む暑い太陽の光をさけるように、高いビルの影に隠れて日傘をさして歩く一人の女性。その女性の歩く歩道と並行して建てられた、レトロ感あふれる背の高いビル。
一見狙ったかのように思うかもしれないが、偶然に僕お前から歩いてくる女性の日常的な風景に目を奪われた。
僕は遠目から50mmレンズでシャッターを切ったが、その距離がちょうど良く、驚くほど自然で美しい写真となった。
この写真を見た人は、まるでその場にいるような感覚になるだろう。50mmという焦点距離は、僕たちが日々見ている視野とほぼ同じ。だからこそ、撮るたびに「日常」をそのまま切りとったような自然さが出る。それ意外にも50mmレンズには特徴がある。その特徴とは、開放にした時の美しいボケ感だ。
背景に美しいボケ感が出る事で被写体がより際立ち、背景が柔らかく溶け込んでいく。以前に僕がモデルを撮影した時のような写真になる。
モデルの輪郭がクッキリと浮かび上がり、背景の人々や通りの喧騒はまるで絵画のように柔らかくぼけていた。50mmレンズが描き出すこのボケ味は、まるで映画のワンシーンのようなシネマティック感がある。そこから僕は、この『50mmの世界』を世の中に届けることにした。
50mmレンズは、軽量でコンパクトなので長時間の散歩でも疲れない。普段見慣れた日常の景色が特別に見える。
そういえば、あるベテランの写真家が50mmレンズについて教えてくれたことがあった。「このレンズはまるで人の目そのもので、軽量だからどこにでも持って行けるし、どんな瞬間も切り取れる。このレンズがあれば、特別なものを見つけられるはずだよ。」その言葉を思い出しながら、僕は街中を歩き続けた。
この50mmレンズは僕にとって日常の中の特別な瞬間を見つけるための相棒である。誰にでも手に入れられるこのレンズだが、あなたも特別な瞬間に出会えるはずだ。
もし、まだ試したことがないなら、ぜひ一度手に取ってみてほしい。そのシンプルさは「物足りない」と言う印象があるかもそれないが、きっとすぐにこのレンズの魔法に気づくはずだ。
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