モデルと写真家の関係は、写真の魅力に影響を与えるとても重要な部分で、モデルが不安や悩みを抱えていると、最高のパフォーマンスを引き出すことが難しくなって、魅力的な写真を撮ることができなくなってしまう。
だから写真家は、モデルが抱える問題をどのように解決し、いかに安心して撮影をしてもらえる環境を作るのかも、写真の魅力を左右する鍵となる。
今回は、実際にモデルを撮影していて、いろいろなモデルに聞いた『多くのモデルが抱えているる撮影についての悩み』と、それを解決するための具体的な方法について考えてみた。
写真家をしていると、写真のクオリティーばかりに意識がいってしまいがちだが、時にはモデルの悩みを一緒に解決することも大切だと気づいた。
モデルと写真家の関係を理解することで、より魅力的な写真を撮ることができる。
目次
自然な表情が作れない悩み
多くのモデルが抱える悩みかもしれないが、特に経験の浅いモデルはカメラを前にすると表情が硬くなってしまうことも多いらしい。
その原因として考えられるのが、緊張や不安から思うような表情が出せなかったり、うまく感情を表現できないこともあるとのこと。
何度か撮影を繰り返すことで自然な表情がだせて、周りの視線を気にせずに、心の中の感情を表現できるようになる。
写真家としての解決方法:リラックスできる環境づくり
そういったモデルと撮影をする場合、写真家として最初にすべきことは、モデルがリラックスできる環境を作ることである。
例えば、撮影前に会話をしたり、モデルの好きな音楽を流したりして緊張をほぐすための環境を作り、他にも、シャッターを切る前に雑談をすると、モデルもだんだん緊張がほぐれて自然な表情になってくる。
「撮りますよ」と構えてしまうのではなく、「ちょっとカメラの設定を整えるので今は楽にしててください」とテスト撮影と言いつつ、少し気が抜けている自然な表情を撮ったり、連写することで、自然な表情や動作を捉えることができ、モデルのプレッシャーを和らげることができる。
その他には、モデルが喜ぶ単焦点レンズで撮影して、その写真をその場で一緒にチェックすると、モデルの輪郭が綺麗に際立って喜んでもらうことができる。
ポージングが難しいという悩み
特に初心者モデルにとっては、ポージングが難しいと感じることが多いようで、「どう動けばいいかわからない」「ポーズが単調になる」という悩みは、撮影がスムーズに進めれない原因になってしまう。
写真家としての解決方法:簡単なポーズからステップアップ
写真家としては、ポージングの指示を段階的に出すことが効果的だ。と言いつつも、僕はポージングの指示はあまり得意ではなく「空を見上げて」とか「遠くを見て」とか簡単な指示しかしないが、この指示がモデルからすると簡単で良いらしく、自然でドラマチックな写真になる。
写真家のイメージが強すぎて、最初から複雑なポーズを求めると、モデルも緊張して表情が硬くなるらしい。
まずは立ち方や手の置き方など、シンプルな動作から始めると、モデルも自信を持って動けるようになる。
また、モデルにインスピレーションを与えるために、撮影前に参考になるポーズ集や撮影コンセプトを共有するのも良い方法で、無理なポージングを指示するより、自然体の方が映画のワンシーンのようなシネマティックな写真になる。
撮影場所やシチュエーションに不安を感じる悩み
特定のシーンやイメージに合うと言われた場所で、どう自分を表現すればいいのか悩むモデルも多く、特にテーマ性の強い撮影では、どのような感情や動きを表現すればよいか戸惑うこともあるようだ。
写真家としての解決方法:撮影意図の共有とアドバイス
そんなモデルの悩みをなくすために、写真家は撮影前にモデルとしっかりコミュニケーションを取り、撮影のテーマやコンセプトを丁寧に説明することが大切だ。
「この場所ではこういう雰囲気を出したい」
「このシーンではどんな感情を表現してほしい」
という具体的なビジョンを共有することで、モデルが撮影に向けた準備がしやすくなる。そのように努力をしているモデルの表現を褒めたり「今の表現よかったね!さらにこうしてみよう」などと言った言葉をかけると、モデルが不安を感じることなくポーズや表情を調整してくれる。
意外だったのが、撮影当日が雨でも楽しんで撮ってくれるモデルがいたこと。
先日に東京で撮影したが、あいにくの雨だった。僕的には嬉しいシチュエーションだったが、この時のモデルさんも雨の世界観が好きだったようで、少し強い雨の中でも楽しく撮影をしてくれた。
自分の外見に対する不安
モデルは自分の外見や体型に対して敏感で、「自分が魅力的に撮れているか」「このファッションが写真家のイメージしている写真に合っているのか」といった悩みを抱えることもよくあると言う。
写真家としての解決方法:ポジティブな印象を伝える撮影技術
写真家としてそういったモデルの不安を軽減するためには、まずモデルの長所を引き出す撮影技術が必要になる。
アングルや自然光を工夫して、モデルが最も魅力的に見える構図を見つけ、さらに、撮影中にポジティブな言葉をかけることで、モデルの自信を高めることができる。
「この角度は素晴らしい」
「今の表情がとても良い」
という具体的な言葉でモデルを励まし、自己肯定感を育てることも写真家にとって大切なことである。
コミュニケーション不足による不安
撮影中の指示がわかりづらかったり、写真家との意思疎通がうまくいかないと不安になるのも、モデルにとって大きな悩みの一つになる。
特に現場での緊張感が高まると、うまくコミュニケーションを取ることが難しくなって「本当に私でよかったのだろうか?」とネガティブになってしまう。
写真家としての解決方法:明確な指示とオープンな対話
写真家は、モデルに対してできるだけ具体的で簡潔な指示を出すことを心がけ、また、撮影中だけでなく、撮影前後にも何気ない会話を重ねることで、お互いの意図や期待をすり合わせることができる。
撮影に入る前に「こういった感じを出したい」とイメージを共有し、撮影中には「もう少し右に動いてみて」「そのまま自然に笑って」といったシンプルでわかりやすい指示を出すことも効果的で、コミュニケーションが円滑になることで、モデルもリラックスして撮影に挑めるようになる。
撮影結果に対する不満
モデルが撮影結果に満足できない原因は、撮影のスタイルやイメージのすり合わせ不足によるものがほとんどだと聞いたことがある。
モデル自身が「自分が思い描いていたイメージと違うけど、これで大丈夫なんだろうか?」と不満になるようだ。
そういった場合は、事前のすり合わせがなく、イメージの共有ができていないことが原因である。
写真家にとっての解決方法:撮影前のイメージ共有と柔軟な対応
このような問題を防ぐためには、撮影前にモデルとしっかりイメージを共有することが重要だ。
事前にどのような写真を撮りたいか、具体的なビジョンをモデルと話し合い、理解を深めることで、撮影後の不満を減らすことができる。
DMにイメージしている写真を送って「この写真のような感じ」と抽象的な言葉ではなく、「この写真のようにほんのり暗めで憂鬱な表情が人らしくていい」とわかりやすく伝えると、撮影当日に表現してもらえる。
もし結果に不満が出た場合でも、写真家としては柔軟に対応し、再撮影や編集でモデルの期待に応える努力をすること。
撮影のペースやスケジュールに対する不満
モデルが撮影のペースやスケジュールに疲れを感じることは多いらしく、特に長時間の撮影や複数日程にわたる撮影では、体力的な負担が大きくなって、疲れが顔に出てしまう。
写真家としての解決方法:適切なペース配分とモデルへの配慮
写真家は撮影スケジュールを調整し、モデルにとって無理のないペースで進めることを心がけなければいけない。
適度に休憩をとり、モデルの体調を確認しながら撮影を進めていくことで、パフォーマンスの維持が可能になる。
万が一、撮影スケジュールがタイトになる場合には、モデルに事前に相談し、負担を軽減できるように調整することが大切だ。
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