写真には、被写体の一瞬の表情や動作を通じて『人らしさ』を表現する力がある。
そもそも、写真撮影において『人らしさ』とは何を意味するのだろうか。
写真を撮影する上での『人らしさ』とは、強い部分ばかりではなくネガティブで弱い部分や暗くて影のある部分も含めて自然に溢れでた感情を撮った写真ではないだろうか。
人物写真とは、ただ笑顔やポージングを撮影するだけではなく、カメラの前に立つ人のもつ感情や生きざま、さらに、その人の人生のストーリーが想像できるもの。それが『人らしさ』ではないだろうか。
そんな『人らしさを感じる写真』を意識すれば、もっと魅力的な人物写真を撮ることができるだろう。
ポートレートに込められたストーリー
ポートレート写真は、ただ美しく綺麗に撮ればいいものではない。
カメラの前に立つ人の、これまでの人生や心の内の見えない感情、何気ない仕草、一瞬見せた表情、それらを写真で捉えることができた時、初めてその写真に『人らしさ』を感じる。
そう言った写真を撮るには、まず写真家がカメラ越しに会話を交わしながらリラックスした状態をつくり、自然な表情を引き出すことで、その人らしい世界がつくれる。
リラックスした状態を作ることができれば、下記の記事の東京撮影のような、映画のワンシーンのような写真を撮ることができるだろう。
その人のストーリーは、その人にしか表現することができない魅力的な物語。だから、そのような写真を撮ることができれば、それが唯一無二の写真になるだろう。
映画のワンシーンのような「人らしさ」
どれだけ魅力的な人だとしても、たとえその人が経験豊富でポージングができる人だとしても、それに頼らず、その人のあるがままの姿を捉えること。
例えば、映画のワンシーンのようなに、人間の本質を映し出した写真には、心が惹きつけられるものがある。つまり『シネマティックな写真』と言うもの。
シネマティック写真については、下記で詳しく解説している。
日常の風景を撮ることも、偽りのない「人らしさ」が溢れ出て心が和む写真になる。
最後に、写真を通して伝わる「人らしさ」とは
写真を通して「人らしさを撮る」とは、外見を綺麗に明るく写すだけではなく、写真を通してその人の本質や感情を伝えること。
きっとその写真が、見る人の心を揺れ動かす写真になる。時にそれは、撮る側にとっても学びや発見となって、それが写真技術向上にもつながることになる。
屋外でモデルを撮影していると「マニアだ」とか「若い女性が好きな人だ」と言われることがあるが、僕が女性モデルを撮る理由は、ネガティブで人らしさが伝わりやすいからである。
もちろん、男性モデルでも表現の上手いモデルはいるが、どうしても『力強さ』がメインになってしまって、僕がデーマにしている『シネマティック写真』にはならない。
『ネガティブな世界観』は、柔らかさ、か弱さ、美しさなどの要素が重なった時に感じるモノ。そんな弱い部分に人らしさを感じてしまうのは僕だけかもしれない。
これからも、カメラを通じて人の多様な魅力や人間らしさを追求し、その瞬間を写真に残していきたい。
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