「せっかく楽しみにしていたポートレート撮影なのに、雨が降って残念…」
そう思ったことはないだろうか?
しかし、雨の日のポートレート撮影は、チャンスだと思った方がいい。
なぜなら、映画のワンシーンのように、シネマティックな写真を撮ることができるからだ。
モデル側からしても、「いつもと違う表情で素敵に撮ってもらえた」と喜んでもらうことができる。
雨の日ポートレートの定番は『透明傘』
雨の日ポートレート撮影をするとき、僕は必ず撮影用の透明傘(ビニール傘)を持っていく。
普段自分が使っている透明傘ではなく、撮影専用としてコンビニで購入した安いビニール傘でもいい。
撮影用にする理由は、普段使っている傘だと汚れが目立ったり、知らないうちに骨組みが壊れている場合があるからだ。
それに、自分が使っている透明傘をモデルに持たせるのは失礼になる。
透明傘が雨の日ポートレートに使える理由は、次の3つ。
・透明傘越しでモデルを撮る事ができる
・雨粒がついた透明傘はエモい写真になる
透明傘は顔に影ができにくい
雨の日ポートレートで透明傘を使うのは、顔に影ができにくいのが理由の1つだ。
雨の日は周りの環境が薄暗くなるため、色付きの傘だと顔が暗くなりやすい。
後の項目で色付きの傘で撮影した写真も載せているが、色付きの傘だと顔に不自然な色の影ができてしまう。
傘の色によっては、モデルの顔色が悪く見えてしまうこともある。
その点、透明傘だとほんのりした光でも傘越しに入ってくるため、自然な雨の日らしい明るさで写真を撮ることができる。

透明傘越しでモデルを撮る事ができる
よく、アクリル板越しにモデルをとっている写真を見るが、わざわざアクリル板を持参しなくても、透明傘で代用ができるし、自然な雨の中で透明傘越しにモデルを撮ることができる。

これだけで、シネマティックな世界観になるが、仕上げとして現像の際に、ほんのり青み、フェードをかけると、より映画のワンシーンのようになる。
Lightroomでもできるが、現像に慣れていない場合は『Luminar Neo』が現像しやすい。
詳しくは、別の記事でまとめている。
雨粒がついた透明傘はエモい写真になる
傘越しに撮る場合、自然と傘には雨粒がついているので、それほど意識する必要はないだろう。
ただし、傘越し、雨粒がついた傘越しに撮る場合、気をつけるべきことは、『親骨』と呼ばれる骨組みの部分と傘を丸めて止める留め具だ。
モデルの顔に被ってしまうと、せっかくのシネマティックな表情が台無しになってしまう。
留め具がなく、親骨と親骨の間をうまく使って、モデルの横顔を撮ると、とてもエモい写真になる。
撮影時の傘の持ち方
雨の日ポートレート撮影で、不自然にならない傘の持ち方について。と言っても、難しいものではない。
簡単に言えば、傘の中棒と呼ばれる部分を肩に乗せてもらうだけで、自然な写真を撮ることができる。

宣材写真や記念写真を撮る場合は、正面でカメラ目線でもいいが、シネマティック写真にするには、あえてカメラから目線を外す方がストーリーを想像してもらえる。
透明傘を肩に乗せて撮る時は、写真家から見て奥の肩に柄の部分を乗せてもらい、斜め『45°〜90°』くらい横に向いてもらうと、綺麗なアゴのラインが見えて、憂鬱で雨らしい写真になる。

では、透明傘と色付き傘の違いについて。
色付きの傘の場合
色付き傘は写真にメリハリが出しやすいが、普通に撮ると顔に傘の色の影がついてしまう。
顔に色の影がついてしまうと、レタッチをする際に、とても時間がかかるので、できるだけ使用しないほうがいいだろう。
どうしても色付きの傘を使いたい場合は、赤い傘がオススメだ。
赤は雨の日の環境だと差し色になるので、写真にメリハリがついてアートな写真になる。

ただ、色付き傘の場合は顔に傘の色の影がつきやすいので、持ち方に工夫をする必要がある。
例えば、顔に傘の赤い影ができないように、モデルの顔前方から光が当たるようにしたり、傘を高く上げて顔に傘の影が入らないようにする。

赤い傘を高く上げてもらうことで、真上からの光でも顔に赤い影ができるのを防ぐことができる。
このように、持ち方や光の当たり方を工夫すれば、赤い傘も雨の日の撮影には効果的に使えるアイテムになる。
ちなみに、モデルが持っていた紫色の傘で撮るとこんな感じになる。

紫色の傘は、レタッチをするのはとても難しくなる。
色温度を少しいじると、紫の傘がおかしな色になるし、傘の色に合わせると、人の肌の色がくすんでしまう。
そういった意味でも、透明傘が撮影もレタッチもしやすい。
透明傘越しの2つの撮り方
雨粒のついた透明傘越しは、芸術的な写真になるのでよく使われる撮影法だ。
雨粒のついた透明傘越しにモデルを撮る時のポイントは、次の2つ。
・雨粒にピントを合わせてモデルをぼかす
まずは、モデルにピントを合わせて雨粒をぼかすと、モデルの表情が際立つ。
ぼかした雨粒が、ほんのりとウェットな質感を出して、雨の日らしさを演出してくれる。

雨粒にピントを合わせてモデルをぼかすことで、寂しげな表情を倍増させ、はっきり見えないモデルの表情が「なんか気になる」感を押し出す。
余白を広く使った構図で撮ってみよう
雨の日ポートレート撮影に慣れていないうちは、一眼レフが濡れないか気になって、どれも同じような写真になってしまう。
そんな写真ばかりだと、モデルからすると「私って表現力がないのかな?」と不安にさせてしまったり、「また同じ写真」と思われてしまう。
そんなときは、モデルの気分を変えてもらうために、色々な構図で撮って、「この構図面白い!」「こんな構図でも撮ってみましょう!」と、一緒に撮影を楽んでいる感をだす。
僕がよく気分転換をするために使う構図は、人物をあえて小さめにして、上下左右のどこかの余白を広めにとる構図。

よく不思議な世界観のある映画を見ていると、余白を広くとった構図を見ることがあり、アートのようにもなる不思議な構図だ。
人物をフレームの3分の1の部分に収めるイメージで、残りの3分の2に余白をつくる。
ただし、気をつけなければいけないのは、余白の広い構図を多用すると写真に自信がなさそうに見えてしまう。
なので全体の1〜2割程度にして、気分転換のために撮影するだけに使うこと。
ストロボを使った撮影もアートになる
雨の日ポートレート撮影は、晴れの日と違って太陽の光が雲に隠れてしまうため、午前中でも暗くなりやすい。
そんな時に活躍するのが『クリップオンストロボ』だ。
クリップオンストロボとは、外部ストロボ(スピードライト)を、カメラから離した位置に設置して被写体に光を当てる技法。
クリップンストロボの作例
クリップオンストロボを使って、雨の日に撮影した写真がこちら。

[ ƒ/5・1/100・50 mm・ISO 640 ]
モデルの背面に隠れるように、ストロボを地面に立ててクリップオンストロボで撮影。
このように撮影すると、モデルがシルエットになってアートな写真を撮ることができる。
ちなみに、現在でも僕がよく使っているストロボは、『Godox TT600』と言う機種だ。
コスパも良くて『GN(ガイドナンバー)60』と発光量も強く、安定して使えるストロボなのでとても重宝している。
傘なしでも撮影できる場所がある
雨の日のポートレート撮影では、定番の透明傘で撮ることが多くなると思うが、トンネルや高架下のように屋根のある場所も効果的だ。
雨の日の高架下で普通に撮影すると、とても暗い写真になってしまう。
意図があって暗くなるのはいいが、意味もなく顔が見えないくらいに暗くなると失敗感が出てしまう。
だからと言って、ストロボを使うと不自然な光が入る。そんな時は、『ISO1000』より上げることも多い。
ISOを上げると画像にノイズが入ってしまうが、それが古びたフィルム感のような効果になることもある。
ISOを上げて撮る場合は、何度かその場で試しながら、一番バランスの良い設定を見つけながら撮ること。

僕が雨の日をシネマティックに撮る時に意識していることは、憂鬱な感情を表現した写真にするために暗めに設定すること。
適正露出を1〜2段下げて、色温度を青よりにする。
これだけでも、今回紹介した写真のように、憂鬱な感情を表現することができる。
絞り開放で光の玉ボケを効果的に使う
そして、モデルの顔により気味で、背景にイルミネーションなどの光があれば、絞りを開放(F2.8〜5.6)で『玉ぼけ』を撮るのも効果的だ。
こうすれば映画のワンシーンのように、ストーリー性のある写真になる。

雨の日ポートレートでは、透明傘を使うのが定番で、透明の素材を利用して色々なアングルでの撮影ができるのも、透明傘のメリット。
色付きの傘を使う場合は、顔に色の影が入らないように工夫して撮る必要があり、アングルの自由度も狭くなる。
雨粒をうまく使えば、モデルをシネマティックに撮ることもできるだろう。
雨の日の撮影はカメラにとってリスクが高くなるが、一眼レフのメンテナンスをマメにすることも、写真家にとって大切なこと。
当日キャンセルはモデルが困る
ここで一つ、雨の日のポートレート撮影で、意識しておいてほしいことがある。
撮影当日が雨だからといって、直前になって一方的に撮影のキャンセルをするのは、モデルにとって失礼なことになる。
モデルにも、スケジュールの都合や収入の都合もあるかもしれない。もちろん、雨が嫌いなモデルもいるだろう。
だからと言って、せっかく撮影のために時間をあけてくれているのに、雨が降っただけでキャンセルされるのは、いい気はしないだろう。(台風や自然災害は別として)
多少の雨なら撮影を決行した方が、魅力的な写真を撮ることができて喜んでもらえる。
どうしても雨が気になるなら、一方的にキャンセルの申し出をせず、モデルに相談してみよう。
最後に
雨の日のポートレート撮影は、シネマティックな写真が撮れるチャンスだ。
透明傘を使えば、モデルの素の表情が撮れて、雨の日の撮影も魅力的で楽しく思えてくる。
雨に特化した写真を撮り続けていくうちに、どんどん自分の得意な環境での撮影が見えてくる。
僕の場合は『雨の日』にまつわる世界観が自分らしい写真となって、ポートフォリオサイトに統一感を作っている。
よければ参考に、僕の「静けさ×雨」をテーマにしたポートフォリオサイトを覗いてみてほしい。
写真家リョウの
ポートフォリオサイト
忙しない日常に、ほんの少しの静かな時間。
色のない日常の街は、心に『余白』をつくります。
静けさ、余韻、余白のある写真。その一枚一枚が、あなたの心の中の静けさを映し出します。
その世界を、作品ギャラリーでゆっくりとご覧ください。
そっと、静かな余韻の中へ。


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