雨の日のポートレート撮影は、晴れの日と比べるとほんのり暗めの写真になっていましますが、その「ほんのり暗め」がシネマティックな写真になります。
今回は雨の日のポートレート撮影で、シネマティックな写真を撮る方法、雨の日にオススメの環境について紹介したいと思います。
今回の雨の日ポートレート撮影のアイデアがあれば、モデルの魅力をさらに上げることができて、信頼感もアップします。
目次
雨の日ポートレートに集中できる環境
雨の日の撮影で気になることといえば、「一眼レフが濡れて故障してしまわないか」と言うこと。
そうやって一眼レフの心配に意識が向いてしまって、撮影に集中できないと思う人も多いでしょう。
だけど、少しの工夫で雨の日のポートレート撮影に集中することができます。
そこで雨の日のポートレート撮影でオススメの環境が、撮る側に屋根があってモデル側には雨の中で傘をさして撮影ができる場所で、室内より屋外がオススメです。
たとえば、以下のような場所が 思い浮かびます。
- 電車が走る線路の高架下
- 車が走る幅の広い道路の高架下
- 川をまたぐ大きな橋の下
雨の日らしさを演出するなら、屋外で撮影するのほうが魅力的な写真になります。
せっかく晴れの日とは違った魅力的な写真が撮れるのに、室内での撮影に変更するのはもったいない。
室内になると費用も掛かるし、ライティングの準備などにも時間が掛かります。
では、雨の日のポートレートにオススメの環境を紹介します。
ちなみに今回は関西を中心に紹介していますが、探せばどこにでもあるような場所なので、探してみてください。
あと前に下見(ロケハン)をしておくと、より写真のイメージができて、スムーズなポートレート撮影をすることができます。
電車が走る線路の高架下
大阪にある阪急『中津駅』の線路の高架下。
どんな写真になるのかは、僕が撮影した写真があるので後ほど紹介いたします。
車が走る幅の広い道路の高架下トンネル
ここは、京都府久御山町の国道の下にある高架下トンネルです。
京滋バイパス(有料道路)の下を走る国道があり、さらにその下にあるトンネルになります。
クリップオンストロボとは、カメラに標準で付いているストロボではなく、色々な角度から被写体に光を当てることができるストロボです。
クリオップオンストロボを使うことで、好きな角度から光をあてることができるので、アートな写真を撮ることもできます。
高架下トンネルで撮影をする時に注意することは、歩行者やそこを通る車の迷惑にならないように撮影すること。
人や車が通るときは撮影を中断して、通り過ぎたあとに撮影を再開するようにしましょう。
当たり前のことですが、撮影に集中しすぎて周りが見えず、通行人とのトラブルになるケースも多いようなので、決して「撮影優先」ではなく「通行人優先」を心がけましょう。
あと高架下トンネルは暗い場合もあるので、僕は外部ストロボ(クリップオン)は必ず持っていきます。
一眼レフに付いてるストロボでは綺麗に撮ることができないので、できれば外部ストロボ(クリップオン)を使うことをオススメします。
外部ストロボ(クリップオン)について解説している記事もあるので、そちらを参考にしてみてください。
川をまたぐ大きな橋の下
上記の写真の場所は、兵庫県の国道2号線の武庫川をまたぐ『武庫大橋』という場所で、地図で見るとこのような感じ。
川をまたぐ大きな橋の下は、時期によっては人通りが少ないため、雨の日の撮影に集中する場所としても使えます。
とくに大きな橋の下は散歩道として潜れる場所もあって、コンクリートと鉄骨が見えてダークな世界観を演出してくれます。
橋げたも電灯がない場所がほとんどなので、外部ストロボ(クリップオン)は必須になります。
ただし、橋げたで雨の日のポートレート撮影をする場合は、事前にモデルと相談しておくことをオススメします。
その理由は、雨の日の橋げたは人通りが少なく、明かりもない場所が多いため、不安になるモデルが多いからです。
とくに初対面のフォトグラファーとのポートレート撮影の場合は、モデルの警戒心も強くなっています。
フォトグラファーとして信用してもらうまでは、ある程度、人通りがある場所を選ぶようにしましょう。
ポートレート撮影では、モデルの不安を取り除くことも重要で、それが魅力的な写真にもつながります。
こちらの記事を読んでもらうと、モデルの不安要素をなくすことができるはずです。
傘をさしながら一眼レフを構えるのはオススメしない
雨の日の撮影で、撮る側が傘を持って撮影するのはあまりオススメしません。なぜなら、撮影に集中できないからです。
傘をさしながらもう片方の手で一眼レフを持もって撮影となると、トラブルを引き起こすリスクが高まります。
片手に傘、片手に一眼レフ。この状態が長い時間続くと、腕が疲れてブレ写真が増えたり、一眼レフが濡れて故障したり、一眼レフを落としたり。
たとえ1時間のポートレート撮影でも、疲れてしまって集中力が持ちません。
「傘の柄の部分を肩にかければ一眼レフを両手で支えれるんじゃない?」
と思うかもしれませんが、傘の柄の部分を肩にかけると不安定になって、傘のバランスをとることに意識が向いてしまいます。
僕も経験がありますが、少し強い雨の中で肩に傘の柄の部分を乗せて撮影していると、傘が肩から落ちて、結局一眼レフが雨にぬれてしまいました。
そんな時に限って、レンズのフタを落としたり、ストロボを落としたり、傘が壊れたりするものなんです。
すぐに屋根のある場所へ移動して、一眼レフを専用の布で拭いたので、故障にはつながりませんでした。
ただ自宅に戻って写真を見てみると、ブレた写真が多かったり、モデルの表情も不安そうに見えて、モデルからも「今回は公開NG」と言われたことがあります。
その失敗を改善するために、雨の日のポートレート撮影の場合は、屋根のある場所で撮影するようにしたら、撮影に集中できて良い写真を撮ることができました。
雨の日のポートレート撮影4つのアイデア
ではここから、雨の日のポートレート撮影4つのアイデアについて紹介します。
モデルをより魅力的に見せることができて喜んでもらえるので、ぜひ参考にしてみてください。
ここで紹介する「雨の日ポートレート撮影の4つのアイデア」はこちら。
- 透明傘をうまく活用する
- 濡れたアスファルトのリフレクション効果をねらう
- 足下ズームで想像を膨らませる
- さびれた古い壁でレトロ感を出す
透明傘をうまく活用する
雨の日のポートレートを魅力的にするアイテムといえば、やはり「透明傘(ビニール傘)」です。
雨の日のポートレート撮影で透明傘が良いところは、次の3つ。
- 背景が見える
- 傘についた雨粒がさらに魅力を上げてくれる
- 透明傘越しにモデルを撮影するとシネマティックになる
透明傘の使い方につて解説している記事があるので、そちらを参考にしてみてください。
もし色付きの傘で撮影すると、顔に傘の色が反射してしまって、レタッチする時にとても大変です。
傘の色が顔に反射してしまうと、顔色が悪く見えてしまうこともあるので。
顔に傘の色を反射させないようにするには、傘の柄を肩にかけてもらって撮影すればいいのですが、そうなると背景が隠れてしまいます。
僕はまれに「赤い傘」を持ってもらうことがありますが、傘を高く上げて顔に赤い傘の色が反射しないように工夫して撮ります。
赤い傘を使う理由は、僕が好きな写真家ソール・ライターの世界観をイメージしている時です。
濡れたアスファルトのリフレクション効果をねらう
雨の日のポートレートでは、濡れたアスファルトのリフレクションがシネマティック効果を演出してくれます。
シネマティック写真とは、僕なりに考えてあみだした、映画のワンシーンのようにストーリー性のある写真です。
こちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ読んでみてください。
ちなみに「リフレクション効果(リフレクト効果)」とは、「反射した・反響した」という意味があり、濡れたアスファルトが鏡のようになって上下反転して映ること。
ただ、モデルを撮影する時に注意しておかなければいけないことがあります。
その注意点とは、モデルにリフレクト効果を撮ってもいいか確認すること、撮影後にチェックしてもらうことです。
なぜかと言うと、モデルの中には「アスファルトに反射する」ということに、違和感を感じる人もいるかもしれないからです。
ロングスカートやロングパンツスタイルなら問題ないのですが、ショートパンツや短めのスカートの場合、
「反射してスカートの中が見えていないかなぁ…」
「ひょっとして狙われてる…?」
と不安になるかもしれません。
僕は次のような写真を撮影する場合は、モデルに確認するようにしています。
- リフレクション効果(雨や反射する床などある場合)
- 極端なローアングルからの撮影
- 極端なズーム(顔、手など)
- 足元だけの写真(この次に説明してます)
そのような写真を撮りたい場合は、事前に相談して、撮影後は「こんな感じはどうですか?」と一眼レフのモニターを見てもらうようにしています。
足元ズームで想像を膨らませる
濡れた地面のリフレクション効果があると、足元をズームして撮影するだけで、その先のストーリーを想像したくなります。
この写真を見る人によっては、ネガティブに見えたり、ポジティブに見えたりして、
「雨でも前向きな感情表現に見える」
「憂鬱な感情を表している写真に思える」
と、見る時期や見る人の想像をふくらませることができるため、心がゆさぶられる写真になります。
ただし先ほども話したように、足元を撮る場合も、モデルさんに確認してから撮影するようにしています。
それに、リフレクション効果、足元、手、顔などをズームで撮影したあと、モデルと一緒にカメラモニターでチェックするようにしています。
モデルと一緒にチェックすることで、
「もっとこんな感じにした方がいいかも」
「こっちの背景でも撮ってみたい」
などお互いの提案をだし合うことで、一緒に魅力的な写真をつくっている感覚になって、撮影のモチベーションを上げてもらうことができます。
さびれた古い壁でレトロ感を演出する
さびれた古い壁は、レトロ感があってオシャレな写真にするのに効果的です。
しかも壁が雨に濡れて、その時にしかできない模様になるため、世界に1枚しか撮ることができない魅力的な写真にもなります。
ポイントは、壁に高さがあれば上に余白をつくることでさびれた古い壁が強調され、よりレトロな写真にすることができます。
上記の撮影で背景にした壁がこちら。
大阪の阪急十三駅から中津駅の間にある壁で、阪急中津駅を降りて線路沿いに十三駅側へ歩いていくと、この壁が見えてきます。
頭上には阪急電車が走っていて線路の真下にもなるので、電車が通るときは大きな音がします。
線路と線路の間には屋根がなく、交互に雨が降るポイントがあるります。
この場所では、撮る側は屋根のある真下で撮影できるので、雨の日のポートレート撮影に集中することができます。
雨の日のポートレート撮影に限らず、ポートレート撮影をする場合に必要なことが『ロケハン(下見)』をすること。
ロケハンをすることで、雨が降った場合にどのようなイメージになるのか、撮影場所のベストなポイントなどを知ることができます。
今回の雨の日ポートレートのモデル紹介
今回は、雨の日ポートレート撮影に集中できる環境と、4つの撮影アイデアについて話してきました。
心をゆさぶる魅力的な写真をつくるにはモデルさんの協力も必要で、そのモデルさんの表現した魅力が伝わる写真にするのも大切なことです。
偶然にも雨の日の撮影ができた
今回僕は、ポートレート撮影をするにあたって、モデル『葵まりあ』さんのSNS投稿写真を見たときに、
「クールで自分がイメージしている雨の日を魅力的に演出してくれそうな人」
と思ったことでコンタクトをとり、ポートレート撮影をお願いしたモデルさんです。
雨の日をイメージしていても、撮影当日が雨になる確率は低いもの。
だけど今回は、運良くポートレート撮影をする当日が雨になったので、僕自身楽しく撮影ができました。
『葵まりあ』さんの印象
モデル葵まりあさんは、YouTubeを定期的に更新されていたり、音楽活動をされていたり、ご自身でもカメラをしていたり。
多趣多彩な才能を持っているモデルさんです。
最初に葵まりあさんのSNSを見たのは、
オレンジ色の柄入りのスーツを着た、クールでおしゃれな投稿写真でした。
そこから投稿している写真を見ていくと、僕の好きなクールで少し暗めのオールドフィルム調の写真が多かったんです。
「この人を撮影して見たい!」
と思い、すぐにポートレート撮影について、DMでメッセージを送らせていただきました。
すると快くポートレート撮影を受けてくれたので、とても柔軟に対応してくれる人だと思いました。
だけどこだわりも持っていて、『自分らしさ』も持っているモデルさんなので、今回の記事で紹介させていもらいました。
◆モデル『葵まりあ』さんの情報
[ Twitter ]
https://mobile.twitter.com/maria010____n
[ Instagram ]
https://www.instagram.com/maria010____n/
[ YouTube ]
https://www.youtube.com/channel/UCnBINxzqIaaP8QZwiv8ARkg
[ 音楽活動 ]
https://www.tunecore.co.jp/artists/aoimaria
ライブ配信(ポコチャ)が審査をしているオーディション『 #被写体で生きていく』に参加されています。
(現在、オーディションは終了されていますが、葵まりあさんの活動状況などが見れます。)
是非、下記の『葵まりあさんのTwitterアカウント』から情報を確認してください。
#被写体で生きていく というオーディションに参加しています。
宜しくお願い致します。 pic.twitter.com/hQmqpZwOLC
— 葵 まりあ (@maria010____n) June 15, 2022
最後に
こうしてモデルとイメージやテーマを共有することは、ポートレート撮影の魅力を上げるために大切なことです。
自分が有名な写真家だったら、撮りたいものを撮ることに集中してもいいのかもしれません。
ですが僕のように写真家として知名度がない間は、モデルに協力してもらうことも大事で、モデルと一緒に魅力のある写真を作ることで、お互いの価値を高めることができます。
ポートレート撮影に限ったことではなく、プロフィール写真撮影をする場合も、依頼をしていただいた人と一緒に価値のあるプロフィール写真を作ることが大事だと考えています。
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