一眼レフのホワイトバランス(WB)を「AWB(オートホワイトバランス)モード」で撮っているフォトグラファーは多いのではないだろうか。
一般記念撮影、スナップ撮影をする場合はAWB(オートホワイトバランス)モードで撮る方がいいが、写真を作品としてつくる場合は「手動」で撮る方が独自性(オリジナリティー)が出せる。
写真家の作品として写真を撮るなら、色温度を自由に扱えると自分らしい世界観を表現することができます。
ということで今回は、手動ホワイトバランスの知識について話したいと思う。
目次
ホワイトバランスを操る
ホワイトバランス(WB)とは、色温度とも呼ばれていて、写真の色を青っぽくしたり赤っぽくしたり、写真の色温度を調整する機能のこと。
以前にも話したことがあるが、ホワイトバランスを操れるようになると、自分がイメージした写真を自由に撮ることができるので、独自性のある写真を撮ることができる。
ホワイトバランスの基礎知識については、下記の記事で詳しく解説しているので、今回は割愛させてもらう。
では、同じ写真でホワイトバランスでどのような違いが出るか見てみよう。
ホワイトバランスで青味を強した写真
ホワイトバランスで青味を強くした(3000Kあたりに設定した)写真がこちら。
ホワイトバランスの青味を強くすると、クールで寒い印象になるので、青味を強くして撮るシチュエーションは、次のような場面に効果的だろう。
・青空の下で爽やかな写真にしたい時
・夏の海で涼しげな写真にしたい時
では次に、赤みを強くした写真を見てみよう。
ホワイトバランスで赤味を強した写真
ホワイトバランスで赤味を強くした(6000Kあたりに設定した)写真がこちら。
ホワイトバランスを赤寄りにした場合は、暖かくて懐かしくノスタルジックな印象になるので、赤味を強くして撮るシチュエーションは、次のような場面に効果的だ。
・ススキが広がる草原で民族風な写真にしたい時
・昭和レトロで懐かしさを感じる写真にしたい時
ちなみに、僕なりにホワイトバランスを調整した写真がこちら。
今回のブログ記事のサムネイルにも使っている写真だが、11月の少し肌寒い時期、撮影した時間は15:00頃だった。
空は晴れていて雲ひとつない天気の良い日だったので、一眼レフ側で次のように設定した。
・レンズ「18-200mmの望遠レンズ」
・F値(絞り)「F5」
・シャッタースピード「1/2000」
・ISO感度「ISO100」
・WB「K(ケルビン)4300」
本来なら赤味を強くして、枯れススキを幻想的なオレンジ色っぽく撮るが、15時の晴れた空を効果的に表現するためにススキを白っぽくした。
この写真が撮れるまでに何度もホワイトバランスを調整して、最初はホワイトバランスを5200Kで撮影し、イメージしている色味が出るまで下げて4300Kあたりで、ようやくイメージした写真になった。
と言うように、イメージに合う写真を撮るには少しずつ設定を変えながらイメージした写真を撮ることが大切である。
レトロ感を出すなら赤より
オシャレな写真といえば、レトロ感のある写真が思い浮かぶが、そんなレトロ感のある写真を撮るっばいは、ホワイトバランスを赤寄りにするとオシャレな写真になりやすい。
例えば、下記の写真のように、枯れススキを背景に入れて人物を撮る場合、赤味を強くした方が懐かしさやレトロで幻想的な写真になる。
[ Model レナさん(@rnea_1998)]
「このような写真はLightroomで色温度を補正してもいいんでしょ?」
もちろんそれも、レトロでオシャレな写真をつくる一つの方法だろう。
だけど昼間の自然光は青っぽいので、Lightroomのホワイトバランスで赤味を加えると、写真全体の色温度が不自然になってしまう。
できれば夕暮れの写真は、その時の太陽の光が作り出した環境の方が魅力的でその時の状況を想像しやすい写真になる。
Lightroomのホワイトバランスは、ほんのりと味付けとして調整する方がいい。
ホワイトバランスは『ケルビン(K)』で撮る
僕がいつもアートな写真を撮る時は、ホワイトバランスを『ケルビン(K)モード』で撮っている。
その理由は、K(ケルビン)モードで撮影ができるようになると、同じ写真でも印象を変えて見せることができるし、独自性のある写真を撮ることができるからだ。
例えば、雨の日に写真を撮ったとしよう。
「せっかくの雨だし雨の日らしい憂鬱な感情をだするためにホワイトバランスを青よりの4500Kあたりで撮ってみよう」と言うように、瞬時にホワイトバランスの基準を見つけることができる。
モデル : KAORIさん(@mrsearth_kaori)
夕暮れの写真では、暖かさや懐かしさを表現するために、ホワイトバランスのK(ケルビン)モードを赤よりにすると幻想的な写真になる。
写真撮影 : 写真家リョウ / 場所 : 宇治川
というように、ホワイトバランスを『K(ケルビン)モード』で設定できるようになると、写真の表現の幅が広がる。
さらに写真の表現の自由度を上げたい場合は、撮影モードを『M(マニュアル)モード』で撮影すること。
M(マニュアル)モードで写真が上達する
魅力的な写真を撮りたいのであれば、一眼レフの撮影モードを『P(オート)モード』ではなく『M(マニュアル)モード』で撮影すること。
『M(マニュアル)モード』とは、絞り、シャッタースピード、ISO感度を全て手動で合わせて撮影するモード。
一眼レフの撮影モードのツマミを『M』に合わせると、『M(マニュアル)モード』になる。
一眼レフを始めたての時は、一眼レフの撮影になれるために『P(オート)モード』を使って練習をする方がいいが、ある程度なれてきたら『Av(絞り優先)※2』を試したり『Tv(シャッタースピード優先)※2』を試す。
※2「Av」「Tv」は、 Canonカメラの場合の表記です。
そこで「絞り、シャッタースピード、ISO感度」の仕組みやバランスがわかってきたら『M(マニュアル)モード』と言うように、徐々に撮影レベルを上げていくことが一眼レフ上達のコツだ。
その上で、プロ写真家の作品を見ることも撮影技術を上げるためには必要なことである。
プロの写真家の作品を参考にする
僕はこれまでに、何人もの写真家の作品を見て研究をしてきたが、中でも僕が心を揺さぶられた写真家がソール・ライターである。
写真家ソール・ライターについては、下記で紹介しているのでここでは割愛させてもらう。
日本にも僕が魅力を感じている写真家がいて、僕が唯一衝撃を受けたのが、写真家高橋伸哉さんである。
日常的な写真だけど、そこにはドラマがあってストーリーが想像できる写真。
モデルの自然な表情と、そのストーリー性のある写真に惹かれた。
僕はこういったシネマティックな世界を感じる写真が好きで、自分が目指している写真でとても参考になる。
その写真を見て自分なりに分析し、さらに写真技術を上げるために、雨の日や日常の写真も撮ることにした。
最後に
ホワイトバランス(WB)は、色温度を調整することで同じ写真でも印象が大きく変わる。
ホワイトバランスの『K(ケルビン)』を調整することで、青っぽくクールな写真にしたり、赤っぽく懐かしさを感じる写真にすることができる。
もし写真家を目指していくのであれば、一眼レフ撮影は『P(オート)モード』で撮影するのではなく、『M(マニュアル)モード』で撮影する方が技術は向上する。
憧れの写真家の作品を見て自分なりに分析し、その技術を身につけていくことで、自分にしか撮れない写真を撮ることができるのである。
最近はAIが搭載されたRAW現像ソフトもあって、それを使うことで、さらにアートでオシャレな写真を作ることができる。
そのソフトとは『Luminar Neo(ルミナーネオ)』と言うが、実際に僕も使っているが、アートな写真が作れるだけではなく作業効率が格段に上がるので、よく使っている。
AdobeのLightroomやPhotoshopとは違った魅力があるので、興味があるなら下記のレビュー記事を読むといいだろう。
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