僕は映画を見るのが好きで、とくに中世のヨーロッパのようにレトロな世界を感じる古びた映像が好きだ。
もしかすると、そのような映画ばかり見ているから「レトロな質感」の写真を撮っているのかもしれない。
オールドレンズを使わず、Canon 6Dと50mm単焦点レンズで撮るレトロな質感は、僕のイメージしている写真にすごく合っている。
今回は、オールドレンズを使わずに、一眼レフでレトロ質感にする設定についてシェアしたいと思う。
「映画のような質感を出したい」
「心が惹きつけられるレトロでアートな写真が撮りたい」
そんな写真家を目指したいと考えているなら、今回の記事を参考にすれば芸術写真家としての道を歩くことができるだろう。
目次
どんなレトロ感をイメージしている?
ざっくりと「レトロ感のある写真」と言っても、ゴールを明確にしなければ、あなたらしいレトロ感のある写真を撮ることはできない。
自分が、どんなレトロな世界を表現したいのかをイメージし、そこから一眼レフの設定を見つけていくことが大切である。
例えば、僕がいつも意識しているレトロな世界は、洋画の「幻影師アイゼンハイム」のようなレトロな質感である。
画面全体がほんのり暗く、画角の四隅に薄い黒の円形のフィルターを重ねて、古いフィルムの質感を表現している。
参考に「幻影師アイゼンハイム」の画像を載せよと思ったが、映画の世界の著作権が厳しいため引用元を下記へ貼り付けておくので、興味があれば参考に見てほしい。
引用元 :「映画ポツプコーン」サイトより
このように、あなたがイメージしてるレトロな世界に近いもの、あるいは「この質感出したい」と思う見本になるものを探して、それを参考にすることが魅力的な「レトロな写真」にする近道である。
映画を参考にしてもいいし、写真集でも、SNSでも、サイトで探す事もできる。
見本の「レトロな質感」を分析する
そうやって参考にする「レトロな質感」を見つけることができたら、その質感に近づけるために分析する。
分析する方法として、次の項目を意識して考えてみると、だんだん「レトロ感」を出す方法が見えてくる。
- ホワイトバランスは赤より青より?
- 絞り(F値)は開放気味か絞り気味か?
- 明るさはどれくらい?
- どんな加工をされてる?
ホワイトバランスは赤より青より?
ホワイトバランスとは「色温度」のことで、写真に赤味を出したり青味を出したりするための設定項目。
写真を撮った後、Photoshopでもホワイトバランスを細かく調整することができるが、なるべく撮影時から一眼レフの設定で決める方が、撮影技術は向上する。
一眼レフのホワイトバランスの設定について詳しく解説している記事があるので、そちらを参考にしてもらうといいだろう。
絞り(F値)は絞りか開放か?
絞り(F値) とは、カメラに光を取り込む量を調整する設定で、「絞り気味で」とか「開放で」のような言い方で使われることが多い。
「絞り気味で」と言われたら、F値の数字を大きくする。(F8、F11など)
「開放で」と言われたら、F値の数字を小さくする。(F1.8やF2.8など)
最初は少しややこしく感じるが、次のように覚えておくといいだろう。
「F値の数字を大きくする」→光を取り込む量が少なくなって暗くなり、背景のボケ感がなくなる。
「F値の数字を小さくする」→光を取り込む量がい多くなって明るくなり、背景のボケ感が強くなる。
どれくらいのボケ感が目安なのかは、その時の環境や被写体と背景の距離によって違うので、実際に撮影して覚えるしかない。
参考にしている「レトロな質感」を見て、背景にどれくらいのボケ感があるのか、明るさはどれくらいなのかを、よ〜く研究してみよう。
明るさはどれくらい?
大体のレトロな質感は「ほんのり暗め」になっていて、明るい部分と暗い部分の差がそれほど強くないことがわかる。
明るさの調整は、一眼レフの設定項目で「ここを調整する」と言いきることが難しい。
なぜなら「シャッタースピードを遅くしたり、絞りを開放(数字を小さく)にしたり、ISO感度を上げたり」など、色々な方法があるからだ。
一般的には、シャッタースピードと絞りの組み合わせで明るさを調整する。
できればISO感度は「ISO/100〜400」あたりで設定するが理想だが、暗さが物足りないと言う場合は、適正露出のメモリを「-1、-2…」のように下げて暗さを調整するといいだろう(適正露出についてくわしくは、後日に改めて解説する予定)。
参考にしているレトロな質感の明るさをじっくり研究してみると、どこを調整すればいいのかが見えてくる。
どんな加工をされてる?
どんな加工がされているのかと言われても、写真を加工することに慣れていなければ、どんな加工がされているのかがわからないだろう。
なので、下記に見てほしいポイントをまとめてみた。
- ノイズがどれくらい出ているか
- コントラストはどれくらいか
- フィルターはかけられているか
この3つを主に意識して見てほしい。
ノイズがどれくらい出ているのか
最近の一眼レフはとにかく画質が良く、モデルも喜ぶほど綺麗で明るい写真が撮れるようになっている。もちろん、写真家の技術もそれに合わせて上がってきている。
だだ古びた写真風にする場合は、一眼レフの設定だけでは難しく、AdobeのPhotoshopを使ってノイズ調にする方法が用いられることが多い。
映画の質感のように劣化した感じに加工する方法について解説している記事があるので、そちらを参考にしてみてほしい。
コントラストはどれくらいか
コントラストの強弱は一眼レフの設定でもできる。
例えば、Canonの一眼レフの場合は、ピクチャースタイルの「コントラスト」を調整すれば、ある程度は古びた写真のような感じにすることができるが、味付け程度。
下記の写真は、一眼レフの設定だけでレトロ感を出した写真。
当記事のサムネイル画像にも使用しているが、ピクチャースタイルのコントラストを「+2」、絞りの数字を小さめで開放気味「F2.8」、ISO / 100、シャッタースピード「1/500」あたりで撮影した写真。
画角の周りに、ほんのり黒いぼかしフィルターの効果ができていて、レトロ感を演出してくれている。
最終的には、PhotoshopやLightroomで調整する方がイメージに近いコントラストになるだろう。
フィルターはかけられているか
SNSなどで聞き慣れているかと思うが、フィルターとは色調変化やモノクロなど、写真に加工を施す機能のこと。
よく「撮った写真に明るめのフィルターをかけてます」と言ったように、現在のスマホなら簡単に加工することができる機能。
例えば、下記のVSCO(ヴィスコ)と言うアプリも有名で、ワンクリックでオシャレなレトロ感のあるフィルターを適用することができるものもある。
そのようなフィルターをどんな感じでかけられているのか、どれくらいフィルターを強くかけているのかを、よ〜く観察してみよう。
分析したら練習を重ねるのみ
「レトロな世界」を分析することができたら、一眼レフの設定をいろいろ変えて撮ってたり、アプリで加工してみたりを、何度も繰り返す。
偶然、一眼レフの設定だけでレトロ感が出る場合もあるが、大半はアプリで加工することになるだろう。
その場合にオススメのアプリが「Adobe Photoshop」である。
Photoshopは、プロの写真家やデザイナーなどが使用している、定番の写真編集アプリ(ソフト)で、写真加工のの技術を上げるのにも向いている。
それに、Photoshopのスキルを身に付けることで、写真の仕事以外にもデザインに関わる仕事にもつながる。
Photoshopを使用することで、目指しているレトロ感のある写真に加工することができる。
最後に
今回は一眼レフでレトロ感を出す設定方法について話してきた。
何もないところからレトロ感のある写真にすることは難しく、まず参考にしたい物を見つけて分析し、それを目標にする方が写真の技術はどんどん上がる。
プロの写真家の質感を分析してもいいし、お気に入りの映画の質感を参考にしてもいいだろう。
何か目標がある方がモチベーションも上がるし、その分析の楽しさが、さらに新しい質感を求める気力にもつながる。
写真家に大切なことは、思い描いている世界をどのように写真に落とし込めばいいのかを常に追求し、自分らしい世界を表現すること。
そして、プロの写真や好きな世界を再現すてみようという意識をもつ、つまり「TTP」を意識すること。
ちなみに「TTP」とは、「徹底的にパクる」と言う意味で、マーケティング業界でよく使われている言葉。
成功した写真家の写真を分析して、その世界観を「徹底的にパクる(TTP)」。
ただここで間違えてはいけないのが、成功した人の技術を丸々パクるのではなく、それをベースに自分らしい要素を掛け合わせると言うこと。
ただパクっただけだと、クレームになって写真業界から追放されてしまうので、あくまでも参考程度にパクること。
そうすれば、どんどんオリジナリティーのある写真作品へとつながり、ファンを増やすことができるだろう。
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